出版社 : 祥伝社
性に飢えた男は、狙った女を妄想の中で弄ぶ。そして、それが現実の行動に及ぶとき…。ベストセラー『生贄』シリーズに続き、警察調書をもとに迫真の描写で読者を圧倒する『暴行』シリーズの第3弾。
「行方不明になった19歳の留学生ベティを捜してほしい」-ブロンド美女のリタ・ターナーは、新宿のうらぶれた見上の事務所でそう告げた。リタに恋の兆しを感じた見上は、さっそく調査を開始した。が、唯一手掛かりであった男が惨死体で発見され、事件は意外な展開を見せはじめた。リタとのベッドまでの距離を測りつつ、調査を続行する見上の前に、やがて奇妙な宗教団体が浮かび上がった…。大好評『ニヒリズム・バーゲン』に続いて描くニュー・ハードボイルドの第二弾。
3年半の刑期を了え、出所した柴山は思わず目を疑った。かつて雑木林だった場所に中学校が新設され、強奪した2500万を埋めた欅の巨木のそばに住込みの警備員室があった。これが複雑怪奇な事件の発端となった。夜の校庭に忽然と現われた机文字〈9〉、机に彫られた〈怨〉の鏡文字、またその文字が記された脅迫状、さらに欅の下の殺人…。これら一連の事件は同一犯の仕業か、それともー。巧妙なトリックと画期的な手法で読者に挑戦する長編本格推理の傑作。
かつて京都府警を戦慄させた“死人使い”で暴力団瓜生組の息子義龍が、名門敬神高校に入学した。時を同じくして中東ヨルダンからアブダル・パシャが転校して来た。それが古都の夜を恐怖に彩る暗闘劇の序曲となった。美人教師轟梨江子の死霊化と、義龍に送りつけられた20を超える同級生の死体。謎の道士の出現と彼を執拗につけ狙う妖鬼陣吾座竜。はたして、母葉子が願う義龍が継ぐべき“闇世界の覇王の座”とは何なのか?そして彼の命運を握る美少女雪絵の存在の意味とは?ベストセラー『魔界行』で読者を魅了した第2の主役を得て、妖悪の世界を描くファン必読の問題作ここに誕生。
ぐらりと赤い不思議なものが自ら湾曲し、水飛沫が上がった。やっぱり魚類だ。だが鮭ではない。鮭はこんな鮮明な赤地ではない。それに鮭が丸木舟のように2メートルを優に超えるはずがない…。山形・鳥海山麓の湖で、北峰太郎彦は思わずわが目を疑った。村人の誰もが信じなかった伝説の巨魚〈アカノスケ〉がその雄姿を現わしたのだったー。祖父、父、そして太郎彦の親子3代が巨魚に挑戦するさまを、気鋭の新人が劇的に描く感動の冒険小説、登場。
晩秋の昼下がり、東京湾岸の倉庫内の密室で、新進書家下条勝峰が何者かに撃たれ、重傷を負った。容疑は勝峰の母の愛人で、書道界を牛耳る評論家の稲村にかけられたが、まもなく彼は雪の山梨県内で他殺死体となって発見された。捜査陣が混乱するなか、今度は稲村を調査していた探偵渋川剛吉が交通事故に…。遺されたのは、渋川が手に入れた嬰児の毛で作った一本の〈胎毛筆〉。事件に巻き込まれたOL麻生遥子は恋人剣持澄人の力を借りて大胆な推理を試みたが、ふたたび第四の犯行が…。人気快調の著者が、伝統芸術“書”の世界に材を採り、軽妙洒脱な筆致で贈る本格推理の書下ろし傑作。
明治11年、長州出身の陸軍将校が相次いで斬殺された。大警視川路利良は死体検査証から〈暗殺者は左利きの剣の達人〉と断定した。折しも探索中の警視局探偵掛・藤田五郎は、榊原道場の門弟で、沖田総司に似た21歳の書生早乙女魁を下手人と睨んだ。が、魁は右利きで剣に才はないという。藤田は執拗に魁の過去を洗い始めた…。惨殺された父母の復讐に燃える無眼流の天才・左利き剣士の劇的生涯を、時の内務卿伊藤博文暗殺計画を背景に描く異色の時代小説。
「ただちに停船しないと爆破する!」1300人を乗せ、津軽海峡中央部に達した青函連絡船〈津軽丸〉に脅迫電話が入った。時あたかも、予想を遥かに上回るスピードで北上中の台風の影響で海峡は風速30メートル、波高6、うねり6という大時化に見舞われつつあった。停船は即、転覆を意味するー。船長は犯人の要求を無視したが、やがて後部甲板で爆発が起こった…。荒れ狂う海峡に青函連絡船へのレクイエムとして贈る著者渾身の力作サスペンス。
「超絶の美形で、超A級の精神ダイバー。俺が信用するのは、死体とやらせてくれた女と金だけ」と日頃から豪語する毒島獣太は、ある日、突然不能に陥った。美人女子大生とベッド・インの最中にである。そしてその直後、切断された女の手首が送り付けられ、さらにわけも判らぬまま異様な殺気を放つ男に襲われた。“突然の不能”“女の手首”“襲撃”これら三つの出来事は、いったい何を意味するのか?やがて一連の事件は、二年前、宗教団体黒蓮会の教祖千々岩三風にサイコダイブし、“ある風景”を、毒島が見たことが原因らしいとわかった。眠れる凶人三風の秘密とは?彼を慕う美女八人の思惑とは?事件は巨大な暗黒の顎を開けつつあった。人気絶頂の著者が、鮮烈の人物・毒島獣太と陰陽師ひるこを得た描く精神ダイバー・シリーズの第十弾。
“豪華客船へいあん丸の旅”に参加した、酒場の美人マダム青野瑠璃子が、最初の寄港地沖縄で何者かに襲われた。200人の乗客は、横浜を出発し那覇、マニラを経由して香港を回る2週間余の贅沢な船旅の最中であった。招待客として乗船していた作家・中小路信は、犯人は乗客の中にいると考え調査に乗り出した。やがて青野の愛人の存在が浮かび上がった。平和な旅は一転して不穏な空気に変わり、船は陽光きらめく南シナ海へ。そして、ついに殺人事件が発生した。豪華客船を舞台に交錯する乗客たちの過去。そして惨劇…。綿密な取材に基づき豊かな詩情で実力派作家が贈る初の船旅推理。
紅葉に彩られた10月の昼下がり、岩手県雫石川の河畔で横浜在住の藤本昌代(29)の死体が発見され、現場に遺された薬物混入のワインボトル、ダイイングメッセージなどから殺人と断定された。昌代の妹亜紀は6年余りも消息不明だった姉の悲劇的な最期を見、ルポライター浦上伸介とともに犯人追及を開始した。やがて昌代の元愛人牧内満広が浮かび上がった。だが、事件解決を目前に四国吉野川で女性死体が発見され、その犯人として牧内は逮捕され殺人を自白した。しかも犯行は昌代の死亡推定時と同日同時刻と証明されたのである…。当代一のアリバイ崩しの名手が、大胆な着想と緻密な構成で贈る本格推理の傑作!
富士山麓にいるばすの考古学者松原教授が、札幌で変死体で発見された。疑惑を抱いた有田と新沢大作は真相を探るべく、松原が生前、熱心に唱えていた“日本原住民・南方渡来説”と、彼の死との関連性を調べ始めた。手掛かりは、世界各地に眠る遺跡ー環状列石と日本の巨石の共通点。やがて浮かび上がる政財界に渦巻く巨大な陰謀と、失われた大陸アトランチスの影…。はたして事件の真相は?大好評の“空白”シリーズ第二弾!