出版社 : 筑摩書房
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたしはここにいる。想いよ、どうか世界に届け。 伝説の物語、ついに再始動!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベストセラー『包帯クラブ』続編。悲しみがあふれた世界で、戦わずに大切なものを守ろうと、6人がふたたび動き出した。天童荒太、待望の書き下ろし長編。関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作では前作の終わりから話が始まる。人が傷ついた場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。しかし、ひっそりと会うなかでバンドを始める。バンドの発表の場を求めながら、別の形での包帯クラブの実現を試みる彼ら。本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当することは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。自分たちのやり方で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第二幕が開く。「何も知らない子ども、として扱われていた頃から、日々、この社会の不公平さと不自由さと理不尽さにぶつかってきた。そのくせ、自分が、そんな社会に選ばれることを願い、あくせくしてきた。(中略)これは一人きりでは、古い世界につぶされてしまっただろうぼくたちが・・・・・・自分たちのやり方で、危機を切り抜け、少しずつ望んでいた道へ進むことが叶った・・・・・・いや、いまもまさに叶いつつある日々の、途中報告書であり、感謝状だ。」(「第二部 遠くて近い、あの日のきみに」より)装丁:名久井直子 装画:田雜芳一
幼い頃に母に棄てられ、施設で育ったひかる。ふとした瞬間甦るあやふやであたたかな記憶、そして手元に残された母子手帳が唯一の母とのつながりだった。ある日、公園のベンチで拾ったのは、自分と同じ名前、生年月日の母親が落とした母子手帳。他人とは思えないもう一人のひかるがどんな母親なのか見届けるため、ひとり待つー。『birth』は第37回太宰治賞受賞作品。『彼女がなるべく遠くへ行けるように』は第34回太宰治賞最終候補作品を加筆修正。
一発屋以前の芸人・根尾。ものまねが縁で声のかかった声優の道を進むのか?元相方とまだ夢を追い続けるのか?若者たちの思いと諦めたものの思いが交錯する物語。
仕事も恋も活発な長女・貞子、体育会系で素直だが男運の悪い次女・夏子、シニカルだけど憎めない文化系の三女・陽子、末っ子にしてその美貌で誰からも愛され自由に生きる恵美里。時は流れ人は変われど、横浜は戸塚区原宿の睦家に集う女たちの絆は変わらない。熟達の筆致で送るお茶の間平成ヒストリー、ここに開幕!
舞台は横浜。志村亮子は才気と実行力を買われ孤児院「双葉園」の運営に奔走する。そこへアメリカ人実業家、文芸評論家、婦人運動家と三流プロ野球選手など、個性的な人物が集まりドタバタ劇が始まる。一方、夫の志村四方吉は戦争による虚脱症で無為の生活を送っているように見えたが…。戦後の社会問題を巧みに取り込み、鋭い批評性と高い諧謔性で楽しませる傑作。