出版社 : 角川春樹事務所
反粒子工学の権威バリー博士が家族とともに誘拐された。誘拐犯のルーバルはバリーの娘リーに体内爆弾を仕掛け、強大なエネルギーをもたらす謎のテグタニオ空間を操るために力を貸すことを迫る。バリーは高いサイ能力を持つレインに助けを求めるのだが…。発表当時、話題となった作品を全面改稿し、新たにシリーズ化した期待のスペース・アドベンチャー第一弾。
大手航空会社で「空の女」を夢見ていた夏川伊吹がかろうじて就職できたのは、地元の弱小ヘリ会社「ジュエルボックス・ナビゲイター」社。そこで待っていたのは地べた九割・空一割の雑用の日々だった!果たして伊吹の空への憧れはかなう日は来るのだろうか?『イカロスの誕生日』で話題を読んだ新鋭SF作家、小川一水が書くヘリコプター冒険小説、書き下ろし。
受験に失敗した従兄弟を励まそうとメールを書いている涼子の眼前に、当の渉がCRTから出現!一体、渉に何が起こっているの!?それは二人が正月に経験した神儀を契機とした、蛇神と巫の不思議な物語の始まりだった…。渉と涼子は、秘せられし神、言織比売を見出せるか?妹尾ゆふ子が巧みな筆致で、世紀末に舞う古き神々を描いた現代SFファンタジー、書き下ろし。
数百年前に那国文明圏が放った無人恒星間探査船が、後にエキドナ文明と命名される異星文明を発見した。合同調査隊は、産業革命後の文明を持った人類型異星人を発見する。しかも衛星ラミアには、彼らの技術水準では不可能な核融合炉、大規模マスドライバーなどの遺跡が存在していたのだ。そんななか、合同調査隊の帝都エクスカーナ代表部は、独自の極秘計画を発動する…。気鋭の作家が贈る新生ハードSFここに開幕。
大和国郡山藩の馬廻りの滝河克蔵が、赤羽橋附近で二人の刺客に襲われた。克蔵の剣術で一人は仕留めたものの、一人は素性も判らぬまま逃亡した。一方、三日市藩内で田畑を搾取されたという直訴状が、将軍家斉に届けられた。その裏探索の密命を受けた武田哲太郎と近藤輝之進は、意外にも滝河を狙った刺客が、三日市藩の徒士目付であることを知る。だが、双方の事件を探る二人に、次々と追手が襲いかかり…。書き下ろし時代長篇。
家庭でも職場でも今ひとつ冴えない野瀬真作は、準大手ゼネコン・樋田建設泉山営業所の次長だ。その真作へ思ってもみない大仕事が舞い込んで来た。泉山市の「コスモポリス計画」に樋田建設が取引先として指名されたのだ。真作は、市役所秘書室の桃原という男の言うまま、裏工作資金を会社から引きだしたが…。詐欺師に騙された窓際会社員の運命は!?気鋭・山本甲士が贈る、書き下ろし意欲作。
「“ニホン”はわたしの物だ…」血で血を洗う戦国時代、神威及ばぬ極東の地に、吸血鬼襲来す。その報を得たヴァチカンは対吸血鬼のための戦士“聖堂騎士”ステファンの派遣を決定する!果たしてルイス・フロイスや織田信長、柳生石舟斎らは、肉体を持つ悪魔“不死王”の牙より日本を守りきれるのだろうか!?戦国時代から江戸初期へ繋がる、伝奇SFいよいよ開幕。
長い黒髪をぬらし、汚れた着物姿で山道を歩いていた私を一人の警官が助けてくれた。私の名前は小夜子。それ以外の記憶はない。私はなにものかに導かれて新宿にたどり着いたが、そこには山梨で私を助けてくれた警官がいて、私にこう告げた。「きみは死んだ人間なんだ。人の後ろに立つと、その人間の怨みの中にきみの怨みが入ってしまう」とー。人間の心の闇を描き出す長篇ホラーの傑作。
天変地異や変事を扱う陰陽寮の頭、弓削是雄は当代一の術士と衆人より目されていた。彼は陰陽師の紀温史、蝦夷の淡麻呂、陸奥で山賊の女頭目であった芙蓉…と多士済済の者たちを配下に従え、忙しい日々を送っていた。そんなある日、羅城門に人の倍以上も背丈がある鬼“長人鬼”が現れた。一方、是雄は関白からの急な呼び出しがあり、「淡路行き」の命を受けるが…。是雄たちが怪異の謎に挑む、妖かしの新物語。
どこにでもある新興住宅街のアパートで、その前代未聞の事件は起った。血まみれの現場には、臓器を取り出され、全裸となって変わり果てた美人OLの姿があった。しかも臓器の一部を持ち去られてー。いったい被害者の身に何が起ったというのか?やがて、彼女を執拗につけ狙っていたものが、次々に浮かび上がるが…。鬼才・友成純一の描く戦慄のストーカー世界、書き下ろし。
徳川家康は南光坊天海ら密教僧に命じて、新たなる領地となった江戸を霊的防御都市とするべく開発、その力で豊臣家に成り代わって天下人たらんと目論んでいた。その動きに気付いた石田三成は、陰陽師半井を借り受け、家康の野望を粉砕するべく妨害工作を開始する。江戸と京都で繰り広げられる密教僧と陰陽師との法力合戦の勝敗はいかに!そして現代まで続く江戸ー東京の繁栄の源となった風水の秘密とは。
有田順二は通勤電車で「痴漢」の濡れ衣を着せられた。起訴された有田は争い続け、無罪が言い渡されたが、結局その間に職を失い、妻と離婚した。有田は心身ともに荒廃していった。そんなある日、飲み屋で熊谷という男に「雑談クラブ」へ誘われた。そこは心に深い傷を負った被害者たちの憩いの場であった。そんな折、有田を含む四人の常連たちの加害者たちが、相次いで死傷した…。心に傷を背負った人間たちを描くホラーミステリーの傑作。
グラフィックデザイナーの僕は、猫の手をコンピューター画像で作るという仕事の依頼を受ける。五回の試作を経てようやく完成した後、耳、しっぽ、ヒゲと、次々に依頼が続く。それらは依頼主のプログラマーによって、コンピューターの中で飼う「電子猫」となり、販売され大ヒットとなるのだが…。ヴァーチャルペットの世界を先取りし話題となった、著者初の長篇小説。
電話こそ知恵の根源であり、電話コードこそ人間の連帯の具現であるー「電話」を通し、現在の閉塞感を打破し、絶対的なコミニュケーションを実現しようと企てる“電話男”たち。到来したインターネット時代を早々と予見し、その果てにある光と暗黒を斬新な文体と秀れた想像力で描き出した不朽の名作。
八年前、卑劣な罠で新聞記者を追われた畝原は、以来探偵として一人娘の冴香を養ってきた。ある日、畝原は娘の通う学童保育所で美貌のデザイナー・姉川明美と出会った。悪意に満ちた脅迫状を送りつけられて怯える彼女の依頼を受けた畝原は、その真相を探りはじめたがー。畝原と姉川が出会う猟奇事件を描いた短篇「待っていた女」と長篇「渇き」を併録した、感動のハードボイルド完全版。
不可思議な現象が、奇蹟かトリックかを鑑定する、奇蹟鑑定人、魚間岳士のもとへ、瀬戸内海の鹿羽島というところから依頼がきた。島にある山の中で、木から鹿の首が生えていたのだという。早速、フリーの鑑定人、天倉真喜郎をひきつれて、鹿羽島へ向ったのだが…。前作『赤き死の炎馬』に続く、奇蹟鑑定人ファイル第二弾、渾身の書き下ろしで登場。
結婚を一ヶ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くがー。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる…。長篇旅情ミステリーの傑作。