出版社 : 角川春樹事務所
森の奥で刺し殺された一色舞子の遺体状況から、里見捜査官は犯人が左利きではないかと疑う。だが、捜査の進捗をみないうちに、こんどはFM局の人気DJ日向基樹が放送中に射殺された。しかも目撃された犯人は身体が人間で顔は鹿!異形の殺人鬼は「時の杜」地区に住む誰かと思われたが、奇人ばかりのこの町では、みんながみんなウソをつき、犯人像は全く絞れない。そしてついに連続殺人の犠牲者は捜査陣の中からも出た。
わずか三日で四件の殺人事件が発生した高原の町「時の杜」。県警本部から鯨岡警視も応援に駆けつけ懸命の捜査にあたる中、最初の犠牲者となった一色舞子の父が経営する新聞社に一通のFAXが届いた。文面は「私は犯人を見ています」!一方里見捜査官は、時の杜地区の地下に巨大な都市構造が存在するのではないかという疑念を抱き、実地調査に乗り出した。読み返す手間がはぶけて便利な1&2巻のダイジェスト付き。
引退を決意した落語家・伊呂八亭破鶴の最後の演目ーそれはごく少数の客を招いての奇妙な“二人羽織”だった。独演会の席上、破鶴は怪死を遂げる。集まった客は五人。うち四人までが彼を殺す動機を持っていた!幻の探偵小説誌「幻影城」新人賞人選作である表題作をはじめ、二転三転する展開で、ミステリーの醍醐味を存分に堪能させてくれる全九篇を収録した傑作小説集。
超常能力ゆえに、自らに滅びの運命を課す独覚一族。その一人である結城弦は、長老から、人類を第三次世界大戦の危機に陥れようとする、正体不明の独覚の存在を知らされる。ところが、一族の掟に従い、悪しき独覚を除こうとする結城たちの前に姿を現したのは、ブッダ入滅後五十六億七千万年を経て現世に出現し衆生を救うといわれる弥勒だったのだ…。“神”をテーマに描く傑作SF。
森と湖に囲まれた不思議な町「時の杜」。外部と隔絶された奇妙な異次元世界の森の奥で、女子高生・一色舞子が殺された。県警本部から現場へと急行した里見譲捜査官がそこで見たものは、スギの巨木に埋め込まれ、カチカチと静かに時を刻む謎の柱時計。死体の直腸温にフェチを感じる病院長の内村英太郎。捜査を露骨に妨害する地元巡査。奇怪な人間模様の中で起こったその殺人は、神をも恐れぬ壮大な陰謀の序章にすぎなかった。
若き天才情報工学者、島津圭助は、神戸市で調査中の遺跡、花崗岩石室内壁に、ある『文字』を見せられる。十三重に入り組んだ関係代名詞と、二つの論理記号のみの文字。論理では解くことのできないその世界の言葉を執拗に追うある組織は、島津の卓越した頭脳に、この文字を通じて『神』の実在を証明することを強要する。-語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない。ヴィトゲンシュタインの哲学に反く行いに幕を開ける、SF小説の金字塔。
「さっき、棄てるっていったのは命のこと?-命の棄て場所を探してるってこと?」。友人を裏切り、人生を自堕落に過ごしている古宮の前に現れた女性・鈴子。彼女もまた、悲しい宿命を持った者だった。大正の東京を舞台とした、はかない男女の交歓を軸に描かれる表題作をはじめ、「能師の妻」「野辺の露」「花虐の賦」「未完の盛装」の全五篇を収録した傑作ミステリー集。
芸能界のアイドルという虚像の影で絡み合う信頼と裏切りを描く「影の男」、愛の呪術で自ら女身に化け、慕う人の子を成し、狐に戻って森に帰る「狐の嫁入り」など、現代と古典に材をとり、誰もが心の中に秘かに抱く変身願望を自在に描ききった、甘く、ミステリアスな十二篇の変身譚。
大学教授ジョン・マクガワンは、とくに信仰に厚い人間ではなかった。長いこと行方知れずだった父が残した「メシア・ストーンズ」の秘密を知るまでは…。物語は人類の終末を予言し、救世主の到来を告げるメシア・ストーンズをめぐり、激しく、ドラマティックに展開する。『インディ・ジョーンズ』のスリルとサスペンス、『聖なる予言』の深遠さをも凌駕したと評される、この全く新しいニューエイジ・ノヴェルは、アーヴィング・ベニグの処女作であり、今、アメリカで最も注目されている話題作である。