出版社 : 角川春樹事務所
「店の名前はポルトボヌール。幸せの扉って意味よ」派遣契約が終わった日の帰り道、バターと砂糖の甘い香りに誘われて詩葉が見つけたのは、千駄木の路地奥にある「ガレットとクレープの店ポルトボヌール」。アンティークな雰囲気の店を一人で切り盛りするのは、赤い髪の店主・多鶴さんだ。こだわりの詰まったガレットをひと口食べて魅了された詩葉は、4日間通いつめ、雇ってもらうことに。多鶴さんの焼くブルターニュ仕込みのガレットと謎めいた常連さんに囲まれて、独身、貯金なし、彼氏なし、35歳の詩葉の新たな生活が始まるー。疲れた心をおいしく癒す、連作短篇集。
精確で優れた仕事ぶりから、 「おまんまを喰いっぱぐれる心配がない」とついたふたつ名は『おまんまの安』-- 摺師・安次郎は、亡き女房の実家へ預けていた息子の信太を引き取り、神田明神下の長屋に父子二人で暮らしていた。 そんなある日、兄弟弟子の直助が血相を変えて摺り場に飛び込んできた。 なんでも、共に切磋琢磨してきた彫師の伊之助がお縄になったという……。 江戸の人情が深く染み渡る、あたたかく切ない傑作時代小説。
物乞い稼業の少年・信太が、実入りの少なかった日、仲間のおみきに連れられて“えにし屋”を訪ねてきた。ちょうど同じ頃にやってきたやけに疲れて見える夫婦は、五年前に行方知れずとなった、生きていれば八つになる息子の平太を探してほしいという。今になって、何故。お頭の才蔵に望み薄と呆れられつつ、彼らが抱えるなにがしかに揺さぶられるお初。交差する謎と深まる闇。傑作時代長篇サスペンス。
鹿野森優花(かのもりゆか)は、東京の老舗超高級ホテル、グランド・シーズンズの総支配人だ。 この座を与えられてから1年、会長である祖父から譲り受け、社長となるには、今日行われるイベント・ミッドサマードリームナイトを成功させることが絶対条件だった。 だが、対抗する旧勢力から、思いもよらぬ邪魔立てが……! 清潔かつ華美なこの空間に、居てはならない“G”を相手に、支配人、グランドシェフ、ベテランフロアマネージャー、新人ホテルマン、VIP客の歌舞伎役者、ピアニスト、 そして影のある清掃人など、それぞれの立場と思惑が錯綜し、昇華する!! そう、人は皆、いつか、“G”を殺す……。
これは、生命(いのち)の唄。 これは、家族の唄。 これは、愛の唄。 直木賞作家・今村翔吾が魂をこめて描く、熱き血潮の流れる真「平家物語」! 歴史とは、勝者が紡ぐものーー では、何故『平家物語』は「敗者」の名が題されているのか? 『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、 平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。 平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。 平清盛、木曽義仲、源頼朝、源義経……時代を創った綺羅星の如き者たち、 善きも悪きもそのままにーーそのすべて。 生きるとは何か、今、平家物語に問うーー著者
歴史とは、勝者が紡ぐものーでは、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか?『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。平家全盛から滅亡まで、一門の頭脳として戦い続けた知将が望んだ未来とは。平清盛、木曾義仲、源頼朝、源義経…時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままにーそのすべて。これは、戦の唄。これは、涙の唄。これは、希望の唄。直木賞作家・今村翔吾が描く、夫婦の絆。新聞連載時より話題沸騰の歴史エンターテインメント!
コロナ禍においてアメリカ疾病予防管理センター(CDC)で顧問として働き、ニューヨークのコロナ対策に尽力した遺伝子工学の研究者カール・バレンタインは、旧知のニックに仕事を依頼され、極秘にバイオ医薬品企業ナショナルバイオ社のP3ラボを訪れた。感染力のあるウイルスやバクテリアを扱うP3ラボ内で、カールは未知のウイルスを発見する。そのウイルスは死んではいたが、凶暴なエボラウイルスに似たものだった。「もしこのウイルスが活性化したら…」。カールの懸念をニックは一顧だにしない。だがニックだけでなく多くの者が発症し、次第に感染者が増えていく。事態を収束させるために尽力するカール。そしてウイルスを生物兵器に利用しようとする存在がちらつきはじめー。
小さな奇跡の物語がここに終わり、ここから、また始まる。僕は地元のラジオ局で深夜の番組を担当している。ある日、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届くー。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、多々さん、鯨オーケストラーすべてが響きあって、つながってゆく。
令和ぶっちぎりのノワール降臨。 中国系マフィア、ヤクザ、警察。 池袋、ワルたちの狂宴ーー。 「大胆な発想力と緻密なディテールに唸らされ、激しい嫉妬さえ覚える。 今もっとも熱く激しい街・池袋の裏社会の住人たちと警察組織の手段を選ばぬ闘争にいたく興奮した」 ーー作家・深町秋生氏 強固な組織力と圧倒的暴力を持ち、池袋に本拠を置く中国系反社組織「玄武(シェンウー)」。 この組織を率いてきた孟会長の死期が迫っていた。表面化し始める跡目争い。 この機を虎視眈々と狙う対立ヤクザ久和組、そして反社撲滅を目指す警視庁。 危ういバランスを保っていた街は、玄武が飼う暗殺者・送死人が一人の女優を殺したことにより、破滅に向かって派手に弾け始めるーー。
幸せは、人それぞれーー キョウコは自分でも「休みすぎ!」とツッコミを入れながらも、無職のまま、月10万円の生活をのんびり続けています。 ささやかな楽しみを見つけながら。 ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、第7弾! 書き下ろし長篇(どの巻からでも、お楽しみいただけます) 有名広告代理店を早期退職したキョウコは、古いアパート「れんげ荘」で貯金を切り崩しながら自由な暮らし。 近所の花店で元気なチューリップを買ってきたり、お腹周りが心配になってきたので、遠回りして買い物に出かけたり、 「れんげ荘」の元住人・コナツさんの結婚のお披露目会に、久々におめかしして出かけたり。 ネコやイヌ、鳥や花や隣人とのお茶の時間などに心を癒されながら、キョウコは今日も小さな幸せを見つけています。
常に転んでばかりのぶきっちょなあたし。 それでも「世界と人々を救う」仕事に乗り出しました! 仕事・恋愛・生き方、少し不思議なガールズエンパワーメントストーリー! あたし、高井南海は超能力者! 今までは階段やらアチコチで転ぶため、「粗忽姫」と呼ばれていたけど、実は転ぶことで、この空間の各所にある“ヒビ”を修復していたのだ! そのヒビを靄(もや)として検知できる御曹司の超能力者・板橋さんと組んで、 世界に存在する歪みを修復し、副作用で物体を治す力を利用する「修復課」を立ち上げて、世界を直し始めました!
轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、 事故ではなく事件の可能性があることを現場で知る。 それは被害者が拉致・暴行された後に撥ねられた可能性が高いからだった。 その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、九歳の女の子を引き取りに向かう。 その子は、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきたようだった。 一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。 そんな佐伯に弁護士事務所荒らしの事案が舞い込む……。 ひとつの交通事故を契機に、警察官としての矜持、そして遊軍の刑事の意地が、隠された犯罪を炙り出していくーー。 コロナ禍に見舞われながらも懸命に生きる人々を鮮やかに描く、心に残る傑作警察小説! 大ベストセラー道警シリーズ、最新作。
青海三丁目付近の海上で遺体が発見される。身元は、かつて特殊詐欺の出し子として逮捕された戸沢守雄という七十代の男だった。特殊詐欺事件との関連を追う中、遺体が見つかる前日に戸沢と一緒にいた釣り仲間の猪狩修造と和久田紀道に話を聞きに行くと、二人とも何かに怯えた様子だった。安積たちが再び猪狩と和久田の自宅を訪れると既に誰もおらず、消息が途絶えてしまうー。
寛政六年(一七九四)の春。日本橋通油町にある地本問屋の「耕書堂」は錦絵を求める客で賑わっていた。女中として働くお駒はそんな店の様子を誇らしく思いながら、買い物に出ようとしたとき、店の中に入って行く一人の男を見かける。その男は、写真と名付けられた新しい絵師だった。五月興行が始まると同時に、「耕書堂」の店頭に写楽の役者絵が並ぶと、江戸の町に衝撃が走った。それは、今まで誰も見たことのない役者絵だった。賛否入り混じる評判の中、店主の蔦屋重三郎に呼ばれたお駒は、次の興行で出す写楽の絵を手伝ってほしいと言われー。
豊臣秀吉に仕えた武将の家系に遺されていた一枚の絵。そこに描かれている肖像画とうり二つの女性が語り始めた。この絵を描いたのは、後世に明智光秀と呼ばれた人物だと。そして…かつて美濃の国と尾張の国の境目、木曽川の支流である二似見川のほとりにあった“いよの国”。その豊かで閉ざされた地には、争いがなく穏やかで豊かな“素晴らしき国”を造るための礎となる人材が育てられていた。そこで育った、智慧と力と様々な能力に長けた者たちは、“素晴らしき国”を実現できそうな、国を治める強い力を持った者の元に送り込まれ、その手助けをする。たとえば、織田信長に嫁いだ女や明智光秀のようにー。
犯罪都市NYの検視局でキャリアを積んだ法医学者が、神奈川県警と警察医契約を結び、横浜に戻ってきた。すべては死者のためにー。死者と語り、どこまでも真実に執着する警察医である法医学者。多様化する性を取り巻く犯罪に立ち向かうジェンダー班の刑事たち。死に隠れた謎を解き明かす、新たなドラマの幕が上がる!
宮崎の山奥に異動になっていた山本猛元店長が、 三年ぶりに、吉祥寺本店に店長として復帰した。 張り切る店長だが、相変わらず、人を苛立たせる天才だ。しかし京子は、心の中で「お帰りなさい」とつぶやいた。 そんな中、本や書店を取り巻く環境はますます厳しくなってきたが、 それでも京子は、新人作家の才能に出逢い、打ちのめされ、 好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦っています。 スタッフの磯田さんや、覆面作家だった大西先生や神楽坂で小料理屋を営む親父さんや、優しき先輩たちに、応援を受けながらーー。 小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望を改めて深く問い直す、第二弾。
安倍益材の息子、葛丸(後の晴明)は、幼き頃から人の死を『先見』してしまう力を持っていた。 災いが降り掛からぬように、屋敷から出ずに育てられてきた葛丸。 彼が七歳になった時、陰陽師の修業を目前に控える少年・津久毛と、先帝の孫である鶴君だった。 ともに人に馴染めぬがゆえに親しくなる三人。しかし葛丸の先見のせいで、宮中での毒殺の疑いが益材にかかる。 その疑惑を晴らすべく、葛丸は平安の都に潜む数々の謎へと挑み始めるーー。 著者渾身の平安時代ミステリーの登場!
京都駅に降り立った女性の名は坂本龍子。彼女は高知県の県庁職員でありながら、政治の世界で数々の難問を解決し「交渉人」と呼ばれ、その名を馳せていた。ある日、龍子の元に京都府知事の桂大吾から、低迷した日本経済を救うため、経済の拠点や首都を東京から関西へ移したいという依頼が入った。この法外とも思える構想を実施すべく、京都・大阪・兵庫の三府県が手を組み、西の統一をはかるため、龍子に力を貸してほしいのだという。しかしその裏には京都が国の政治を司る拠点として返り咲き、そして遷都までをも実現するという思惑があったー。