出版社 : 角川春樹事務所
嘉永六年(1853)江戸。好奇心たっぷりの銀次と絵師の歌川芳徳は、妖怪伝説やゴシップネタなどを追う、低俗なかわら版を売りさばいて人気を博していたが、 浦賀に来た黒船を見に行き、勢いで乗り込んだことがきっかけで人生が変わる。 江戸一番の物知りと評判が高い佐久間象山に師事し、勝麟太郎や坂本龍馬、吉田松陰、西郷吉之助など、様々な幕末の英雄と出会い、 大地震や大火災、死の疫病をかわら版で報じるうちに、銀次は報道の使命に目覚め、弱き大衆のために立ち上がる。 幕末の動乱の中で、真実(たまに嘘)を追い求めるかわら版屋を描いた、痛快時代小説!!
吉川元春に拾われ、騎馬遊撃隊を率いるようになった少年・小六。 尼子再興を願う猛将・山中幸盛(鹿之助)。それぞれが異なる強さを求め、あがき、抗うーー。 毛利対尼子、熾烈なる最後の戦い。 第13回角川春樹小説賞受賞作続篇、誕生。 《物語は疾風迅雷、風のように駆けてゆく。その中で絶妙なのが、両者を相対的に捉え、それぞれの正義を描いている点であろう。 二人共に感情移入が出来るから、読者は引き裂かれそうになりつつも、ページを繰る手を止められなくなるのだ。 読者は作者の術中にはまり、逃れる事は出来ない。あとは一気読みだ。そしてラストーー。 書きたいがこれ以上は書けない。稲田幸久の第二作は、決して読者の期待を裏切ることはない。》 ーー文芸評論家・縄田一男。
従業員5300人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー。 日本の将来を背負って、再生可能エネルギーの送電施設を開発・運営する期待の企業は大きく揺れていた。 株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。 混乱を極める会社に追い討ちをかけるように、中国系ファンドの介入も噂されはじめ……。
かけがえのない人生と愛しい物語が出会う! 神保町の小さな古書店が舞台の絶品グルメ×優しい人間ドラマ 大ベストセラー『三千円の使いかた』『ランチ酒』の著者による熱望の長篇小説 美希喜(みきき)は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚(さんご)さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり……。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。
2020年初頭から世界を席巻した新型コロナウイルスは、あっという間に私たちの生活を一変させた。職場も、家庭も、友人や恋人などの人間関係も、そして未来すらも。劇的に変化した世界で生きる私たちの日常は、どこに向かっていくのか?ラジオの現場でコロナを報道し、リスナーの声を聞き続けた著者が、抱えてきた想いを25本の物語に昇華させた!誠実でありながらシュールで刺激的。そして笑え、最後には沁みていく…。舞台、ドラマの脚本・演出で今、最も注目される鬼才、初めての小説!
早期退職したキョウコは、相変わらず古いアパート「れんげ荘」で暮らしています。 キョウコが愛してやまない近所の飼いネコ・ぶっちゃん。 キョウコの兄夫婦のところに、突然やって来たおネコさま御一行。 「れんげ荘」の住人・チユキさんの彼が飼いはじめたイヌのえんちゃん……。 無職でひとり身のキョウコは、将来に少々不安を感じながらも、ネコやイヌ、鳥や花や隣人とのお茶の時間、 図書館で借りた図鑑……などに気もちを和げてもらいながら、日常にささやかな喜びを見つけて生きていくーー。
野望、宿命、誇り、謀略ー様々な因縁が交錯する上田城攻防戦。民とともに、一族の存亡と男の夢を賭けた真田家の戦いに刮目せよ!!舞台は稀代の策士・真田昌幸が愛して作り上げた、信州小県郡、上田の地。日の本を真っ二つに分けた大乱に強大な敵が攻め来る。敵は天下取りへ驀進する徳川家康。二十倍の大軍勢を前に、一族、家臣、城、領地、民、忍び、すべてをつぎ込んだ真田の戦略が動き出す。密命を帯びた真田忍びの源吾は、真田信幸付き小姓に姿を変え、敵味方の間を駆け続ける。果たして若き忍び武者の役割とは!?そして、真の正体とは!?
松前家中の少年、春山伸輔は、尊皇攘夷に与しなかったことで落ちぶれてしまった家名を復権させるべく、箱館の遊軍隊と合流。 榎本軍への撹乱活動を行っていた。 一方、新選組副長だった土方歳三は、蝦夷地にできた箱館政府において陸軍奉行並となっていた。 市中の混乱を収めつつ、近藤勇らと夢見た国盗りを、再びこの地で実現させようとしていた。 薬売りに変じて市中見廻りに出ていた土方歳三は、撹乱活動中だった伸輔と偶然にも知り合うことになる。 互いの正体を知らないままに、知遇を得た二人。 だが激化する戦いが、やがて二人の運命を切り裂いていく。
吉川元春に拾われ馬術を見出された少年・小六。 尼子再興を願う猛将・山中幸盛(鹿之助)。 ともに戦火で愛する人を失った二人の譲れぬ思いが、戦場でぶつかるーー! 第13回角川春樹小説賞 受賞作品!選考委員満場一致の感動歴史エンターテインメント! 堂々たる風格、それでいて清冽で瑞々しい表現。この新人の誕生を見逃すな!
命の重さの重要性を問いかけ、連鎖する“いじめ問題”に一石を投じる、青春ミステリ小説。 東京の進学校に通っていた、高校一年の成瀬航基は、母の再婚をきっかけに、ある田舎町に引っ越すことになった。 転入して間もない学校生活は順調に進んでいたが、そんな状況が一変し、突然いじめのターゲットになってしまう。 いじめは次第にエスカレートしていき、航基は身も心も耐えられなくなっていく。 不条理な目に遭うたびに心は削られ、誰にも相談できずに、我慢の限界を迎えた航基が出した結論は「死」。 地元で『ゴーストリバー』と呼ばれる河を自殺の場所に選ぶが、 その河でほとんど学校にも登校せず、真面目に授業も受けない、クラスメイトの月島咲真と出会う。 そんな咲真が航基に対し、「報復ゲームに参加しないか」という衝撃的な一言を放つーー。
多くの日本人が知らない事実ー。ガソリンエンジンの新車販売の禁止。そして、その対応に日本企業が、大きく遅れをとっていること。深刻な地球温暖化の前に、欧米では遅くとも2035年までにエンジン車の新車販売が規制される。つまり新車販売は電気のみで動く車に限られるのだ。加えて中国が2030年をめどに、国内の新車販売をすべて環境対応車に変更するという。このような世界情勢を前にしても、既存産業への配慮と圧力から日本政府は有効な手を打てずにいた。経産省の自動車課に籍を置く瀬戸崎啓介は焦りを募らせる。このままでは、日本の自動車関連就業人口534万人のうち多くが路頭に迷う可能性がある。だが、いったいどうすればいいのか…?
かつて“六分の一殿”と呼ばれた山名家は、十二代目・山名宗全が応仁の乱を起こしたことで凋落を始める。この家に生まれた山名豊国は、苦境をはね退け名家を再興することを、幼き日からの悲願としていた。だが毛利と織田の二大勢力に挟まれて国は混乱し、家臣・国衆の反発がその道を阻む。心ならずも裏切りを繰り返し、その果てに家を潰した豊国が、泰平の訪れに見たものとは?
江東区有明で強盗事件が発生。被害者は救急搬送されたが、病院で死亡が確認された。強行犯第一係の安積班が現場に向かい本格的な捜査が始まろうとしている矢先、犯人が自首してきたのだが、須田は納得がいかないようでー(第二話「暮鐘」より)。ひとつひとつの事件を、安積班の揺るがぬ正義の眼差しで解決に導くー。
『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生きることの根源的な意味を問う“いま読むべき物語”の誕生。 「この世界は何ものかが創ったものだ」と証明されてしまったら、あなたはどうしますか? 「とんでもない作品に出会ってしまって震えている」「なんて怖い小説だ」「驚愕。なにこの設定……」など、発売前から話題沸騰!! 「<神>からの問いに、人類はどう答えるか? 『三体』に正面から挑む、究極の宇宙論ミステリー」 ーー大森望(書評家) ■あらすじ 世界各国から百名以上の研究者や大学院生が集まり、宇宙の始まりや仕組みなどの疑問に答えるべく日夜研究に取り組んでいる天文数物研究機関。 ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。 誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。 つまりその数式は、この宇宙、そして世界の設計図を描いた<何ものか>が存在する可能性を示唆していたのだ。 悪戯のように思えるこの不可思議な出来事は、日本だけなく世界中23もの研究機関で発生していた。 にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、<神の存在>にアクセスしようと試みる。 そして、その日から現実は大きく変わることになるーー。
日本から米国に向かういずれかの旅客機に不審者“QUEEN”が乗り込み危険行為を行う可能性が高い、という情報を得た警視庁。警備部特務班の兼清、上司の矢島、2名のスカイマーシャルを14時羽田発ニューヨーク行きの“さくら212便”に搭乗させた。だが兼清の警戒を嘲笑うように、離陸から1時間半後、一般客には知られていないクルーバンクで遺体が発見された。いったい何者が、どうやって?そして、スカイマーシャル・兼清の孤独な戦いが始まる…。
奄美諸島徳之島出身の東貞吉は、琉球警察名護警察署に配属になり、米軍現金輸送車強奪事件を解決する手柄を立て、公安担当になる。沖縄刑務所暴動で脱獄した人民党の末端、島袋令秀に接近し、自分の作業員(スパイ)に育てることにー。令秀が人民党の瀬長亀次郎に心酔していくなか、貞吉は公安としての職務を全うするために、敬愛する瀬長を裏切ることができるのか。矛盾と相克に満ちた沖縄で、主人公は自らの道を歩んでいく。
都会のはずれのガケの上にある古いアパート。その屋根裏にひっそり暮らしている元オーボエ奏者のサユリ。唯一の友だちは、頭の中にいる小さなチェリー。個性的で魅力的な登場人物が織りなす待望の長編小説ー。
屋久島、陥落 202X年、内戦に揺れる北朝鮮の最強部隊・特殊作戦軍が世界遺産・屋久島に突如上陸した! 全島を武力制圧し、島民を人質に日本を脅迫する中、そのとき政府は、警察は、そして島民はーー 空前のアクション超大作!--奇跡はまた起こるさ……ここは神の島だからな
都知事選を目前に控えた東京。 水面下ではあまりに危険な極秘プロジェクト 「レッドネック」が始動していた。 「永田町」を騒がす政治エンターテインメントの大ヒット作 『トップリーグ1・2』に続く、衝撃の問題作。 結末には、すべての読者が震撼する! 「あなたは、一日何回スマホを見ますか?」 米系大手広告代理店・オメガエージェントに勤務している矢吹蛍子は、 バンクーバーに出張し、ケビン坂田という人物と会って欲しいという社命を受けた。 クライアントが60億円ものフィーを支払う謎のデータサイエンティストケビンは、 無事来日し、高田馬場に仕事場を構えるが、担当の矢吹にも極秘プロジェクトの中味は知らされず…… 「あなたは、自分の頭で考えていますか?」