出版社 : 角川春樹事務所
凶賊「六道丸」に、大坂の庶民が脅かされていた文政三年ー。豪商・杣屋徳兵衛は奉行所とつるみ、御政道をねじ曲げていた。捨訴からその実態を知った若き与力・大塩平八郎は、その不正を暴くべく、放蕩息子の久代助を捕えるが…。男も惚れる快男児を、気鋭の著者が描く新たな代表作登場!
直木賞受賞後第一作 渾身の書き下ろし長篇。 小さな幸せが暮らしの糧になる。 当代一の人気作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。 作家の深い業にふり回されながらも己の道を切り開いていく。 横暴な舅(しゅうと)、病持ち・癇癪(かんしゃく)持ちの夫と姑(しゅうとめ)…… 修羅の家で見つけたお路の幸せとは? 「似たような日々の中に、小さな楽しみを見つける、それが大事です。 今日は煮物がよくできたとか、今年は柿の木がたんと実をつけたとか……。 そうそう、お幸(さち)が今日、初めて笑ったのですよ」(本文より)
30年間隠されてきた幼女誘拐連続殺人。県を跨いだ、幼女を狙った卑劣な事件。縄張りに拘る無駄な県警のプライド。利権を死守したい政権による圧力。すべてを乗り越え、真相を追え。20周年を飾る、記念碑的作品、誕生。
新鋭とベテラン、ふたりの新聞記者の矜持は最悪の殺人事件の真相を暴けるか。自ら命を絶った警察署長。圧力をかけられ辞めた、元警察官僚の女性覆面作家。そして現れた、巨大なる黒幕。20周年を飾る、記念碑的作品、誕生。
「俺はね、こんな人生だったけど、しろひげ先生や中鉢さんに仕事とはいえ優しくしてもらえたことがさ、嬉しかったんだ。人間として扱ってもらえてるって感じがしてね。なんかわからないけど泣けてくるよ」「大丈夫。私の人生のなかで二宮さん、面倒くさいランキング上位ですから。とっても人間らしい、一生忘れない私の大切な友人ですよ」(第五話 「誰もずっとひとりではない」より)最期まで寄り添いたい。夜の歌舞伎町やケニアの島で、最年少の市長として、そして在宅医として、運命に流され、人の縁をつなぎ、かけがえのない人生を共に生きる物語。
大乱の“落とし前”をつける。 悪童たちの遠大な志と夢 能役者の一若(いちわか)、美しい稚児の熒(けい)。 山名宗全、細川勝元、骨皮道賢(ほねかわどうけん)……らが激突する 応仁の京で、彼らは業(わざ)と知恵と美貌を武器に、命を賭して戦う。 血湧き肉躍る歴史エンターテインメントの金字塔。 木下昌輝、渾身の書き下ろし長編、新たなる代表作。 高貴な出自で、妖しいほどの美貌をもつ稚児・熒(けい)と孤児で底辺から這い上がった、 両刃の剣を操る少年・一若(いちわか)。ふたりは、堺の慈済寺で暮らしていたが、 ある日、僧を殺め火を放った熒は、一若に罪を着せ共に出奔、京に向かう。 暗殺、裏切り、一揆、下剋上…… 荒廃した乱世を、悪童たちは、己たちの力で、生き抜く! 装画:遠田志帆 装幀:芦澤泰偉
お隣さんと助け合いながら、毎日を生きる。 月10万円で「れんげ荘」にひとり暮らすキョウコ。 必要なものは最小限。 ささやかな幸せをかみしめる日々。 大ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、待望の第5弾!(書き下ろし) 大手広告代理店を早期退職したキョウコは、貯金を切り崩し、 古いアパート「れんげ荘」で相変わらずつつましく暮らしている。 元住人で、旅人だったコナツさんの新しい彼とその子どもとのことを心配したり、 折合いが悪かった母親が倒れたり……と、いろいろあるものの、 時にはお隣さんたちとゆっくりお茶を飲みながら、自由に穏やかに過ごしている。 そんなキョウコの一番の楽しみは、心の恋人・猫のぶっちゃんと散歩途中で出会うことだ。
大ベストセラー道警シリーズ、待望の最新刊! さっぽろ雪まつり開幕前日に起こった、自動車窃盗事件、少女の家出、そして発砲事件。 無関係に見える事件が、一年で一番賑わう札幌でひとつに収束していく。 虐待、不正、外国人労働者ーー刑事たちの執念は届くか? 圧巻のタイムリミット・サスペンス。
強大な敵を前に、一度は勝利を掴んだはずの彼らは何を過ったのかー。しかし同時にそれは、しくじりから教訓を得た彼らの再起への道程でもあった。戦国を照らす光と闇は、現代を生きる我々にも通じる教科書だ。
今年1番の感動作だ。--角川春樹 人は食べたものと、読んだものでできている。 盲目の書評家のよう子。路地裏でひとり古書店を営む本間。 それぞれが見つけた、本がつなぐ奇跡の物語とは⁉ 発売前から話題! 「読書はどんな孤独な行為に見えたとしても、人や世界とつながることです」 神楽坂に盲導犬と住むよう子は、出版社の担当・希子と隔週の木曜日に、打ち合わせを兼ねたランチをするのが楽しみだ。 一方、神楽坂の路地裏で〈古書SLOPE〉を切り盛りするバツイチの本間は、五歳になる息子のふうちゃんと、週に一度会えるのが木曜日だ。 書物への深い愛、物語への強い信頼、それを分かち合える大切な人。 本に込められた“想い”を伝えていくーー
「夫は必ず戻ってきます」。彰義隊に入った夫が金が必要になり妻・けいを質屋に預ける。けいは夫を信じ、帰りを待っている…。エンターテインメント性を高く評価された時代小説の新しい波!第12回角川春樹小説賞受賞作。
探偵・茶畑徹朗の元にもたらされた、「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という不可思議な依頼。前世など存在しないと考える茶畑と助手の毬子だったが、調査を進めるにつれ、次第に自分たちの前世が鮮明な記憶として蘇るようになる。果たして犯人の正体を暴くことはできるのか?
ある縁談に秘められた切なる祈り…浅草の油屋、利根屋の娘・お玉と、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がったが、見合いの前日にお玉は置手紙を残していなくなってしまう。利根屋の命運を賭けて、身代わりとなったのは奉公人・おまい。当日、“えにし屋”を名乗る謎めいた女が現れて、おまいは美しく着飾らせてもらうが、その後もお玉の行方は一向に掴めないままだった…。縁を商いとするひとびとの物語。
明治38年8月30日。『時事新報』の号外で、それまでの戦勝の喜びが消え去り、世間に失望と怒りが広がっていった。警視庁第一部第一課・葦名警部と四人の巡査たちは、赤坂榎坂にある桂首相の妾宅の警備を担当。九月五日、「講和問題国民大会」が日比谷公園で開かれ日比谷焼打事件が勃発…。暴動が広がるなか、伯爵の孫で探偵の西小路が妾宅で死体を発見。葦名警部たちは「騒擾による死亡」として片付けようとする赤坂署に疑問を持ち捜査を始めるー。
九州北部にある人口300人の小さな星母(ほしも)島。 そこで育った千尋は1年前に戻ってきて、託児所を併設した民宿を営んでいた。 島には「母子岩」と呼ばれる名所があり、家族・子供・友達のこと……悩みを抱えたひとびとがそのご利益を求めて訪れる。 複雑な生い立ちを抱える千尋は、島の人達とお客さんと触れ合いながら、自らの過去と今を深く見つめていく。 明日への新しい一歩を踏み出す「強さ」と「やさしさ」が心に沁みる、書き下ろし長篇小説。
その昔ながらの喫茶店には なぜか不思議な事件と 個性的な人々が引き寄せられる。 看板メニューはおじいちゃんの「特製ミルクセーキ」おばあちゃんの「魔法のナポリタン」! 店主の孫の「ぼく」が見た、どこかとぼけて愛らしい温かな日々と少しの謎。 『しずかな日々』『るり姉』の著者が描く喫茶店ミステリー! 創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。 トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、 どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。 その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。 心地の好さに、きっとあなたも通いたくなる。
愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女。 「夫を亡くした女だと、彼には言わないで」 「私が忘れないかぎり、あなたはいるのよ」(実日子) 「私はこの男にほんの少し欲情している」 「夫が死んでほしいと思っているの」(まり) おいしい料理教室を舞台にしたふたりの“妻”の孤独と冒険の物語
オリンピックまで2年、昭和37年の東京。 17歳の郷子は、2年前に集団就職で上京したものの、劣悪な労働環境から工場を逃亡した。 そのまま上野駅でうろうろしていたところを、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことに。 工場での食事のトラウマからずっと食べられなかったカレー、初体験! 揚げたて熱々カツサンド、心に沁みわたる感動のプリン……。 美味しく温もりあふれる絶品料理と人びとに出会い、郷子は新しい“家族”と“居場所”を見つけていく。 平日の昼間から多くの人が集う、下町の社交場「洋食バー高野」を舞台に描く、少女の上京物語
スクリプターとはーー 映画の制作現場において、撮影シーンの様子や内容、物語の繋ぎなどを管理する役目である。記録とも呼ばれる。 監督のおれは、スクリプターの真野(まの)韻(ひびき)と初めて組んで撮影を行っていた。 「つながりません」が口癖だと聞いていたが、この女は見どころがありそうだ。 韻の実姉である主演の日乃万里加(ひのまりか)の演技力が素晴らしい。順調に撮影が進んでいたがーー(第1章「火種」) 俳優の土岐田(ときた)将(まさる)は、しばらく台湾の映画界に身を置くため、 現在付き合っている女性・朋奈(ともな)との関係を終わりにしようとしていた。 そして今日、二人で最後のディナーを楽しんでいると、朋奈がナイフを取り出してきてーー(第2章「ぼくが殺した女」) 『教場』の著者・長岡弘樹が贈る珠玉の連作短編。 映画業界騒然! スクリプター事件簿の登場!