出版社 : 角川春樹事務所
母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。 海辺の町の鄙びた商店街の「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。 意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。 がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。 「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人でーー。 名手・森沢明夫による『キッチン風見鶏』『おいしくて泣くとき』に続く〈最高においしい小説〉シリーズ第三作目は、海辺の町の知る人ぞ知る寿司店が舞台。 厳選されたネタと職人の丁寧な仕事による極上の寿司をご用意して、常連客も訳アリ客も、心を込めておもてなしします!
精神科医・葛西幸太郎は、市長選の候補者に対する殺人未遂および放火の実行犯・犬崎理志の精神鑑定を担当していた。 犯行を淡々と語る犬崎に、葛西はある違和感を抱く。 精神状態が安定しすぎているのだ。 犬崎の中に、本来の自我を麻痺させ、代わりに彼の精神を支配している〈なにか〉が存在するのではないかーー。 葛西が疑いを深める中、全国各地で不可解な動機による傷害・殺人事件が起こりはじめる……。
会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。 特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。 そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。 中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。 やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。 元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。 皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。 いつも月夜、ではないけれど。
さみしい時もうれしい時も本はいつだって、寄りそってくれる。 大ロングセラー『古本食堂』が満を持して、新装開店。 美味しいごはんとあなたの物語がここに! 珊瑚(70代)は急逝した兄の跡を継いで、神保町で小さな古書店を営んでいる。 親戚の美希喜(20代)が右腕だ。 作家志望の悩める青年や、老母のために昭和に発行された婦人雑誌を探している中年女性など、いろいろなお客さんがやって来る。 てんぷら、うなぎ、カレー……神保町の美味しい食と思いやり深い人々、人生を楽しく豊かにしてくれる本の魅力が沢山つまった極上の物語。
「百万の軍勢を率いさせたい」天下人豊臣秀吉にそう言わしめた勇将、大谷刑部。敦賀五万石の小領主は、なぜ天下分け目の大戦を起こせたのか。いかなる思いで関ヶ原の戦場に立ったのか。生い立ち、病との闘い、父なる主君、友との出会いと訣別、家臣・家族との絆、そして、最強の敵への挑戦。謎につつまれた名将の渾身の生き様を、斬新な切り口で描く。
報われない忍び・第1位 目立たない忍び・第1位 伊賀に負けがち・第1位 堂々三冠の甲賀忍者、実話を基にした、戊辰戦争での一世一代の大勝負! 幕末・ミッション・インポッシブル! MISSION 『幕末最後の戦いで見事活躍し、甲賀忍者ここにありと知らしめ、武士の地位を獲得せよ!』 幕末、江戸幕府が大政奉還をし、旧幕府と薩摩・長州の間で大きな戦が起ころうとしているその時、“元”忍びの里・甲賀は揺れていた。 忍びとして戦国では大いに活躍したにもかかわらず、戦がなくなると時の権力者たちは難癖をつけて身分と領地を没収。 気づけば忍びの術は失われ、百姓として困窮するまでになっていた。 そんな折の大戦。忍びの技を再び世に示し、甲賀忍者ここにありと知らしめれば、武士の身分に返り咲けるのではーー。 そんな願いのもと、集められた甲賀の里の若者たち。 その中でも、鬼っ子・山中了司、宮司見習い・安井金左衛門、箱入り息子・大原伴三郎、誇り高き血筋・鵜飼当作、少々年のくった薬術師・間瀬勘解由の五人組は喧嘩ばかりのはちゃめちゃで!? 『超高速! 参勤交代』『幕末まらそん侍』『引っ越し大名三千里』『身代わり忠臣蔵』などなど、出す作出す作、映像化!の土橋章宏が、幕末を駆け抜けた「最後の忍者」の活躍を描くノンストップ・エンターテインメント時代小説!
人は命ある限り、幾度でもやり直せる。 「夫は無実でございます」 奈緒は義父と深川で暮らしはじめるがーー 『貸本屋おせん』で、時代小説界に鮮やかにデビューした、期待の新鋭による飛翔の傑作長篇。 奈緒は、夫の仇を討つため、義父の文二郎と信州から江戸へやってきた。 ふたりは暮らしを立てようと、深川で薬屋を営むが、医者である文二郎の元には、貧しく医者代の払えない病人やけが人が次々と駆け込んでくるようになっていた。 そんなある日、深川の芸者・捨て丸が、惚れ薬を作ってほしいといってくる。 捨て丸の相手は、なんと有名な本草学者であった……。 奈緒たちは、藩の秘め事に巻き込まれながらも、市井の人々のたくましさと優しさに触れ日々の暮らしを愛するようになるがーー
罪を償っていれば、許せるか? 受け入れられるか? それとも、許せないのか? 揺れ動く心情を丹念に描ききった社会派ミステリー 『希望が死んだ夜に』の著者が挑む新境地 横浜に本社を置くオオクニフーズの相模原支社に勤務する藤沢彩は、子どもの頃から自分の感情や思考を言葉にするのが苦手だ。 その性格もあり引っ込み思案で人との付き合いも苦手な彩だったが、仕事のことで思い悩んでいた時に声をかけてきた一年先輩の同僚社員・田中心葉に次第に惹かれていく。 心葉と同期の佐藤千暁とも次第に交流ができ、三人はそれぞれ十年後も二十年後も一緒にいたいと願うようになっていた。 そんなある日、心葉が会社の朝礼で、何の前置きもなく「ぼくは人を殺したことがあります」と発言したことで、絆は揺らぐ。 そして千暁にも、兄が殺された被害者遺族という人に言えなかった過去があった……。
台湾有事の時、最初に狙われるのは沖縄だ! 徹底した長期取材を経て辿り着いた“おそるべき日本の危機”を描く、著者渾身の軍事小説。 「日本有事のリアルなストーリーとその意外な展開に読者は引き込まれるであろう」 河野克俊氏(元統合幕僚長) 中国人民解放軍が台湾周辺の海域で今までにない規模で演習を開始した。 台湾侵攻が急迫していると分析した日本政府は、“台湾戦争”の勃発後に日本が巻き込まれた場合を想定し、アメリカ軍の作戦をいかに支援していくべきかの検討を開始した。 その事前準備として石垣島と与那国島への陸上自衛隊の事前配置を急ぐ決断をした日本を嘲笑うかのように、中国特殊部隊は宮古島をはじめとする先島諸島に徐々に浸透、破壊工作を始めようとしていた。 そして日本は、想定していなかった戦禍に見舞われていく……。
警察官たちのそれぞれの矜持が光る、ドラマ化もされた大人気「安積班」シリーズ熱望の最新刊!盗みは物だけでなく、人様の想いも奪っていく。だから、絶対に許せないんだ。高齢者の運転トラブル、半グレの取り締まり、悪質なクレーマー…守るべき正義のため、揺るぎない眼差しで安積は事件を解決に導いていくー
「長崎さんならではの“奇抜なのに説得力ある設定と展開”に一気に引き込まれました。キャラクターも最高です!シリーズ化を希望します!!」 村瀬健氏(フジテレビ ドラマ映画プロデューサー『silent』『キャラクター』他) 「悪徳警官と生真面目な刑事のバディものなのか、と思っていたら意外な展開を迎えて唖然。何だ、この物語の広がり方は。」 若林踏氏(ミステリ書評家) “悪とは何か? 正義とは?”を問う衝撃ミステリー! 神奈川県警最悪の汚れ刑事、闇に潜み続けた最凶最悪の“悪”に挑む! 郊外の森林公園で発見された身元不明の死体の捜査に従事していた神奈川県警捜査第一課の桃井小百合は、県警本部に呼び出された。 そこで彼女は本スジからはずれ、迷宮入り事件を専門に捜査する特命中隊の赤堂栄一郎警部補と組むように指示される。 赤堂は以前、捜査一課の強行犯係にいた際は、“神の手”と呼ばれたエース刑事で、その検挙率は群を抜いていた。だが彼は汚職の疑いがある“汚れ刑事”でもあった。 身元不明遺体発見現場に向かった赤堂と桃井は、その近くの山中で複数の遺体が埋められている場所を発見する。 二人の捜査はやがて、戦後から続く人狩り集団の存在に辿り着いていく。 それは神奈川で続く神隠し事件の真相につながっていた……。
政界とマスコミに激震! 「政治」と「カネ」の深い闇。 政界のタブーに、忖度なしで斬り込む! ドラマ化もされたベストセラー『震える牛』『トップリーグ』『ガラパゴス』と驚天動地の真実を世に問い続けている著者の、タイムリー過ぎる問題作。 ゼロ打ち……とは 選挙の開票開始直後、開票率0パーセントに近い時点で特定候補者の当選確実を報じること。 大和新聞の社会部記者・片山芽衣は、唐突な解散後の衆議院選挙で、選挙報道センターに配属された。 担当は激戦区の東京一区。そんなある日、片山は取材中に「ある都議会議員の不審死」を知ることに。 一方、国会議員の秘書歴十年の中村は、同じく民政党東京一区の新人・大学教授である若宮の事務所の応援に駆り出された。 苦しい選挙戦のなか、若宮の女性スキャンダルがネットで拡散され…… 小説でしか描けない政界の暗部とマスコミとの危険な癒着。 ノンストップエンターテインメント。
『ムショぼけ』『インフォーマ』の著者、最新作! 震える、笑える、そして痺れる。ぴっかぴかのヤクザ小説、爆誕! 装画 南勝久(『ザ・ファブル』) 懲役専門用語解説付き 関西ヤクザ界に「ヒットマンブラザーズ」の異名で知られる危険な男、天空会の萩原紅。 懲役囚だが刑務所内に絶大な影響力を持ち、不自由ながら懲役の面白さを感じながら刑期を過ごしていた。 やがて出所し組に戻った萩原が引き起こした、構成員1万人とも言われる大川連合とのもめ事。10人の組員しかいない天空会だが、誰も引く気はない。 難しいこと考えて、こぢんまりまとまっても、しゃあないーーそして、また熱い日々がやってくる。
大ベストセラー道警シリーズ、第1シーズン完! それぞれの季節、それぞれの決断ーー。 警官射殺命令を阻止する24時間を描いた『笑う警官』から、《己の信念と矜持》を描き続ける警察小説の金字塔、待望の最新刊&最高傑作。 捜査の第一線から外され続けた佐伯宏一。だが能力の高さは重大事案の検挙実績では道警一だった。 その佐伯は、度重なる警部昇進試験受験の説得に心が揺れていた。 その頃、競走馬の育成牧場に強盗に入った四人は計画とは異なり、家人を撲殺してしまう。 強盗殺人犯となった男たちは札幌方面に逃走を図る……。 それぞれの願いや思惑がひとつに収束し、警官の酒場にある想いが満ちていくーー。
「人間やネコたち、みんなが楽しそうにしているのを見ているのが幸せだ」 無職のキョウコさん、ひとり気ままに隅っこ暮らしーー心やすらぐ書き下ろし長篇。 大ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、待望の第8弾。 大手広告代理店を早期退職したキョウコは、相も変わらず古いアパート「れんげ荘」で、貯金を切り崩し、月10万円の暮らし。 キョウコは、老後に少々不安を感じながらも、兄夫婦のところに、突然やってきたおネコさま御一行、「れんげ荘」の住人で人生の先輩のクマガイさんと一緒の楽しい外食や季節の花などに心癒され、日常の暮らしに喜びを感じながら、今日も楽しくのんびり生きています。 どの巻からでも、お楽しみいただけます
江戸時代、馬産が盛んな地域にとって、狼害は由々しき問題だった。そのため、奥州には狼を狩る役ー狼狩奉行が存在した。その狼狩奉行に就くよう藩から申し渡された、岩泉亮介。父が三年前に非業の死を遂げ、家督を継いだ兄も病で臥せっている。家のため、命を受けた亮介だったが、今、狼の群れは「黒絞り」という見たこともない大きな頭目に率いられ、かつてないほどの狼害を引き起こしていた。だが「黒絞り」を追う内に、父の死の真相、藩の不正問題にまで繋がり…。
自衛隊に特殊部隊を創った著者が自らのルーツである父の人生を明かす、『邦人奪還』を越える衝撃作! 士族の家に生まれ、9歳でニトログリセリンを自製。 陸軍中野学校の課題を次々とクリアし、教範を作成し直させた異才は、蒋介石暗殺命令を受けるが…… 特殊戦に生きる者の心情と歴史の闇を描く、迫真ドキュメント・ノベル。
かつての「三人娘」が織りなす幸福な食卓と友情と人生に乾杯! 作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。 そして彼女たちをとりまく人々の楽しく切実な日常を濃やかに描く、愛おしさに満ち満ちた物語。 江國香織“心が躍る”熱望の長編小説。 「会わずにいるあいだ、それぞれ全然べつな生活を送っているのにーー。会うとたちまち昔の空気に戻る」--作家の民子は、母の薫と静かなふたり暮らし。 そこに、大学からの友人・理枝が、イギリスでの仕事を辞めて帰国し、家が見つかるまで居候させてほしいとやってきた。 民子と理枝と早希(夫とふたりの息子がいる主婦)は、学生時代「三人娘」と呼ばれていた大の仲良し。 早速、三人で西麻布のビストロで、再会を祝しておいしい料理とワインを堪能しながら、おしゃべりに花が咲いて・・・・・・
大阪・西成で生まれ育った青年・水川友樹。お金も、コネも、将来の夢もない。何も持たない青年は、ただひたすらに「ここではないどこか」を求め、海外に出ることを選んだ。そして運命に導かれるように、日本人の超ド級「お金持ち」に出会う。そこから彼の運命は大きく、大きく変わっていくー。世界53カ国を超お金持ちのボスとともに回り、動画を配信してきた著者からのメッセージ!本書は、世界に羽ばたくあなたへのチケットです。130万人超のフォロワーを持つ人気TikTokerはどうやって付き人になったのか?そして、超お金持ちのボスの素顔とは?
いま最も熱い著者の最高傑作! 世の中が戦争に突き進もうとするとき、人はどこまで自分でいられるだろうか。 「いま書かれ、いま読まれることに意味がある。 この先わたしたちは『戦時下における個人の思い』を、黙殺することができるだろうか。 流れる血はいったい誰のものなのか。親が子に遺せるものは何なのか。 頁をめくりながらひたすら考えた。 読むほどに、現在を書いたものではないかと錯覚しそうになった」 ーー桜木紫乃氏 「このリアリティは何なのか。私は、ひととき、たしかに太平洋戦争勃発前のサイパンにいた。 スパイとは、かくも過酷な存在なのか。読後、限りない感動と喪失感に包まれた。 読み終わった今もなお、戦前のサイパンの空気と麻田の苦闘が夢に現れる」 ーー貴志祐介 <あらすじ> 時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができるのか? そして、どこまで自らの意思を通すことができるのか? 南洋の地を舞台にした壮大な物語がここにーー。 1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。 日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。 表向きは、南洋庁サイパン支庁庶務係として。だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。 日本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策の基準」として日本の外交方針となったのは1936年だった。 その後、一般国民の間でも南進論が浸透していった。 この地にはあらゆる種類のスパイが跋扈し、日本と他国との開戦に備え、海軍の前線基地となるサイパンで情報収集に励んでいた。 麻田は、沖縄から移住してきた漁師が自殺した真相を探ることをきっかけに、南洋群島の闇に踏み込んでいく・・・・・・。