出版社 : 角川春樹事務所
沖縄は私たちのものだ! 本土復帰直前の沖縄。 治安を守ろうとする者と真の独立を目指す者、それぞれの故郷への思いは徐々に激化し、激突していく。米軍の意向を受けて動く琉球警察員たちの意地と葛藤を、凄まじいほどの濃度で描く人間ドラマ。 戦後、本土復帰前の沖縄に、ある事件で九死に一生を得た東貞吉が帰ってきた。 再び琉球警察の公安部の一員として、そして米軍の意向を受けて動く者として。 その当時の沖縄はベトナム戦争の前線基地として、戦争の負の熱気に包まれていた。 米軍に対する反対派が過激さをましていくなか、公安警察の矜持と日本人の誇りに揺れる貞吉の運命は……。
60代後半の江子、麻津子、郁子は、都内のちいさな商店街で「ここ家」という、お惣菜屋を営んでいる。 最愛の男性を亡くし悲しみを抱えつつも、にぎやかな江子、結婚して5年目の麻津子は、夫が最近よそよそしいと心配ばかり、息子も夫も早くに亡くした郁子は、ようやくひとり暮らしを楽しめるようになりーー 3人で、とびっきり美味しいお惣菜を作っているときが、最高に幸せ。 そんなある日「ここ家」の立ち退き問題がふってわき、さらには江子が結婚を申し込まれたりーー いろいろありながらも、前を向いて歩く彼女たちのたまらなく愛おしい物語。
第17回角川春樹小説賞受賞作 沙漠の風が吹く、西域(オリエント)歴史小説の新星。 「大陸的な人物が上手く描けている」北方謙三 「力作。古代中国に関する豊富で確固とした知識に裏付けられている」今野敏 「リーダビリティが高い」今村翔吾 「可能性、伸びしろという点で一番」角川春樹 誇り高き小国の皇子とその兄弟の物語。 七世紀、小国でありながらシルクロード交易の要衝である高昌(ル・こうしょう)国は揺れていた。 大国ながら新興国である唐につくか、強大だが荒々しい西突厥(ル・とっけつ)と手を組み、この地で独立を貫くかーー。 第一皇子である麴(ル・きく)智(ル・ち)盛(ル・せい)は、そのどちらでもなく、西域の国々で手を取り、助け合って生き抜くべきだ、と考えていた。 だが父王の考えは違い、中華文化をこの干からびた土地へ持ち込んだという矜持から、高昌国こそが盟主として立つべきだ、と西突厥と組むことを選ぶ。 この砂の海に浮かぶ小さな舟のような国は、時代の荒波をどう渡っていくのか。 オリエントの風を感じる歴史浪漫、開幕!
大ベストセラー「道警」シリーズ待望の第2シーズン開幕!!! あの佐伯宏一が戻ってきた。 札幌大通署ではなく、函館方面本部捜査課に、警部としてーー。 (創立30周年記念作品) 厚真で強盗殺人事件を起こした犯人の一人が札幌ジャズバー「ブラックバード」に立てこもり、機動捜査隊の津久井に発砲した事件から約一年。 重大事案の検挙実績で道警一だった大通署の佐伯宏一は、それまで受験すらしなかった警部昇任試験を受け合格、警察大学の研修を経て、函館方面本部捜査課に警部として着任した。 佐伯が着任した二週間後、青函フェリーターミナルの北側、工業団地の岸壁から変死体が上がった。 佐伯は早速、検視解剖が行われている病院に向かう……。
2020年 『店長がバカすぎて』 本屋大賞にノミネート 2022年 『新! 店長がバカすぎて』 2作品で50万部 2025年夏 シリーズ最高の笑いと感動 至宝の第3弾! まさかの完結!? 「あなたと本の話をしているときが、一番幸せでした。 本当にありがとうございました」 カリスマ書店員・谷原京子は、長いスランプが続いていた。 そんな中、「おもしろい本の話と店長のグチを言い合える」唯一無二の元同僚・磯田さんの結婚式が行われた。 京子の心配をよそに、マイクを握りしめ、颯爽と燕尾服を脱ぎ捨てた山本店長が高らかに歌うーー その一週間後、磯田さんが京子を訪ねてきた。 「谷原さんにはこれからもちゃんと戦い続けてもらわないと困るんです、書店を守ってもらわなきゃ」という彼女の言葉に、京子は複雑な気持ちに駆られる。 ぶっ飛んだ店長や書店を取り巻く厳しい状況と日々闘いながらも、自らの人生と書店の未来を切り開いていこうとする京子だが……
才能のカムバックーー 自分の才能にすら気づいていなかった高校生の大夢(ひろむ)が、真のチェリストになるために、世界に挑戦する! 『あの日の風を描く』で、第16回角川春樹小説賞を選考委員満場一致で受賞。 忽ち重版し、多くのメディアで取り上げられた期待の大型新人、受賞後第一作 心の琴線にふれる感動&スリリングな音楽小説、ここに誕生 高校三年生の雨宮大夢は、介護福祉士になる進路を考えていた。 近所に住むクロアチア出身の元世界的なチェリスト、ルカ・デリッチ先生を支えるためだ。 身体が不自由なデリッチは、妻の故国日本に隠棲しており、大夢は小学生の頃から、先生の『無伴奏チェロ組曲』に憧れてチェロを習っていた。 そんなある日、クロアチアから「ルカ・デリッチ国際コンクール」を新設したいという話が届くーー 異例の音楽コンクールに訳ありの“敗北者”たちが集い、それぞれの想いを懸けて熾烈な戦いを繰り広げる
これまでどんな厄介な頼みも解決してきたお頭・才蔵が、お初に助力を乞うてきたのは、たやすく割のいい仕事と請け負った、米問屋「御蔵屋」の出戻り娘・お藍のための新たな嫁入り先探しだった。 なぜ簡単そうに見える件で才蔵がてこずっているのか。 米を扱う大店仲間の「吉井屋」から二年足らずで戻ってきたお藍は、今は実家で幸せだと言いつつ、ふさぎ込み、なにか怯えている様子だという。 お初はさっそく動き出し……。 親子・夫婦の情愛、怨恨──女着物に身を包んだ〈えにし屋〉お初が手繰りよせる若夫婦離縁の真相とは。 結ぶも断ち切るも商いのうち。 〈えにし屋春秋〉シリーズ待望の第三作!
「部屋が人生を決めてしまうのかな?」 「それとも、人生が部屋を決めるのかね」 フランス、ドイツ、イタリア、アメリカなど各国で翻訳されたロングセラー『おやすみ、東京』。そして、新たな東京の物語が始まる。 隣の天使から届けられる悪魔のケーキ。ベランダに置かれた大きな桃。「巨大アパート」でゴム印をつくりながら物語を紡ぐ青年。世界でいちばん雷の落ちない部屋。夜な夜なカラスと話す電話回収屋ーー。 東京のアパートで暮らすさまざまな人びとの夢やさみしさ、ささやかな幸福と奇跡。あたたかな交感が街を照らす、愛おしくかけがえのない21の小さな灯の物語。
どんどん怖さが増幅していくのに、続きが気になりすぎて、ページをめくる手が止められません。 背筋が凍りながら、最後に辿り着いた真実に、驚愕必至…! ホラーや、サスペンス、スリラーを、超越した壮絶な面白さでした! ーー紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん 怪談、ホラーで私の中で最高傑作を読んでしまった。あなたも読んで恐怖におびえてください。 ーーくまざわ書店南千住店 鈴木康之さん とんっっっでもなく怖かったです…。遠坂八重さんって何者ですか。 ーー紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店 宮澤紗恵子さん 発売前から大反響!恐怖、震撼、激賞の嵐。 『死んだら永遠に休めます』で話題沸騰中の著者が「恐怖」を全力で描き切った、渾身の書き下ろしホラーミステリ。 五感を震わす戦慄から抜け出せなくなる。謎が深まる怒涛の展開に一気読み必至。 〈あらすじ〉 令徳大学文学部一年生の小佐野菜乃は、新歓合宿で同学年の蓬萊倫也、泉秋久と出会う。 三人ともオカルト好きという共通点で意気投合し、『怪異研究会』を立ち上げることになった。 しかし、その後蓬莱が音信不通になり行方がわからなくなってしまう。 泉がXで見つけた動画には、夜の草叢に首を微妙に傾けてまっすぐ立つ、蓬莱によく似た男性が映っていた。 その動画が撮影されたと思われる場所へ蓬莱を探しに行った二人は、禍々しい黒い靄をまとった無機物のような彼の姿を目撃する。 一方、菜乃のもとに、十八年前に起きた凄惨な事件に関する差出人不明のメールが届く。 そして、泉と菜乃の身にも異変が起こり始める……。
医療従事者の苦悩、陰謀論者の暴走、ジャーナリストの葛藤……そして悲劇は起きたーー。 「週刊春潮」副編集長・志賀倫成は、医療崩壊ぎりぎりの現場で日々奮闘する旧友の医師・伊達充彦から、コロナ禍の報道を巡る出版人としての良識を問われ、心が揺れていた。 自分は偏向報道に加担しているのか? そんなある日、伊達の勤務する病院を訪れ妨害活動を始めた反ワクチン団体の代表が院内で死体となって発見される! 複雑な心情を抱えたまま、志賀は事件の真相を探るべく、被害者周辺の取材を開始するのだが……コロナウイルスの流行によって疲弊しきった異常な日常に起こった歪んだ殺人事件の真相は果たしてーー? 刊行早々に映像化され話題を集めた『夜がどれほど暗くても』の主人公・志賀倫成が立ち向かう、コロナ禍で繰り広げられた狂騒の日常が生み出した闇を、ベストセラー作家・中山七里が鋭く描き出す!
『永遠の仔』『悼む人』……感動を送り続ける著書の進化、一大エンターテインメント誕生! 「高校時代に国内外の探偵小説を手に取り、以来ずっと探偵小説には憧れに近い親しみを感じてきました。今回、ほぼ半世紀にわたる憧れを形にする時間は、本当に楽しいものでした。書くことがこれほど楽しいと感じたのは、初めてだったと思います」--天童荒太 ビートルズが日本を訪れてコンサートを開いた一九六六年。昭和四一年。 日本の片隅で、或るおぞましい事件が起きた。 私にとっては、忘れがたい……というより、いまなお当時の光景といい、匂いといい、感触といい、生々しい記憶で胸が焼かれるような想いがする事件である。 加えて、あの悲しみに満ちた出来事には、表向き解決した内容ーーすなわち、裁判になったり、新聞記事になったりした事実とは、また別の驚くべき真相がある。 たとえば被害者の数は、公表された数よりも、はるかに多かった。--「プロローグ」より
イケイケのヤクザが、親分の死を機に愛する家族のため足を洗った。 そして夢だったマンガ家を目指す。 だが男に残された時間は、あまりに少なかったーー。 映像化決定!!! 人は、人生最後の日に、誰を想い、何を残していくのか? 沖田臥竜渾身の感動作が生まれたことに、心から嫉妬し、感嘆した。 ーー藤井道人(映画監督) 関西を拠点とする暴力団・中山連合に在籍する小泉拓朗は、目上の者にも平気で歯向かう気性のヤクザだった。 そんな小泉が雪乃という女性と出会い、変わり始めていく。 やがて娘が生まれ、二人は夫婦になる。 そんな中、親分である川中が襲撃され死亡。 それを機にカタギになる決意をした小泉は、昔から夢見ていたマンガ家を目指し、バイトをしながら原稿用紙に向かい続ける。 息子が生まれ4人家族になったが、徐々にすれ違っていった雪乃との関係は、気づいた時には大きな溝になり、二人は離婚。 毎週末、子どもたちに会うことを生き甲斐に、マンガの連載を目指し日々奮闘する小泉。 そこには「きれいな金で子どもを育てたい」という想いがあった。 そんな中、小泉はステージ4の肺がんという診断を受け、余命宣告をされてしまう。 愛する子どもたちのため、叶えたい夢のため、小泉は残された人生をどう使い、何を残すのかーー。
一度でも道を踏み外した者は、決して許されないのか? 万引き犯を死なせたコンビニ店主、万引きで捕まった過去を持ち、生活苦から必死に生きる女性。 各々の人生を通して描かれる苦悩と葛藤、そして再生ーー。 ドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』 『夫よ、死んでくれないか』で注目の著者が描く問題作! 大手フランチャイズ加盟のコンビニ店主・柳田克己は、「万引き犯など最低の人間」という信念を持ち、「万引きをさせない」のではなく、決して見逃さず「捕まえる」ことにしていた。 ある日、克己は菓子パンを万引きした男を捕まえようとしたが、もみ合ううちにその男を死亡させてしまう。 そして克己は逮捕され、人生は暗転していく。 一方、児童養護施設で暮らしていた頃に万引きで捕まった過去を持つミチル。 彼女はバイトを掛け持ちしながら必死に一人で生きていたが、コロナ禍の「シーセッション(女性不況)」で仕事を次々に失い、現在は違法メンズエステ店で働いていた。 必死に生きながら、自分の夢の実現を目指す彼女は時折思うことがある。 あの日、捕まっていなければ。 そんな二人が、ある事件を契機に巡り会うことに……。
ベストセラー『じい散歩』『団地のふたり』(ドラマでも評判!)の著者による、人生が愛おしくなる団地と散歩の物語! 「ゆっくりでいいよ、わたしはいつも花の味方だよ」 16歳の花は高校になじめず、ずっと休んでいる。 そんなある日、母方のおばあちゃんのゆり(70歳)から、むかし住んでいた「つつじが丘の団地に行ってみたい」と言われーー そこからふたり(たまにいとこも参戦)は、つつじヶ丘、狛江、豊洲……といろいろな団地をのんびりめぐって、お寿司、蕎麦、カレー、ケーキ、ラムネなどおいしい御飯やスイーツを楽しむことに。 花&ゆりの年の差コンビが、お互いを思いやりながら、ちいさな幸せをみつけていく。
東京湾臨海署刑事組対課強行犯第一係、通称・安積班のメンバー須田巡査部長が、臨海署管内にあるスナックのマスターから、ミカジメ料を要求されたと相談を受けた。 安積と須田は暴力犯係の真島係長に相談し、見回りを強化してもらうことに。 一方、管内で立て続けに傷害事件が発生する。 湾岸エリアが物騒な空気に包まれる中、交機隊の隊員が、速水小隊長の様子がおかしいと安積に相談にきた。 心配に思う安積のもとに、速水が救急搬送されたとの連絡が入って……。 次々と起こる傷害事件。その目的は何なのか。 市民と、信じる正義を守るため、臨海署のプライドをかけて、安積たちはかつてない戦いに挑んでいく!
明日をあきらめない、人生を手放さない。 主人公の潤間さやかは、中学の卒業証書を受け取っていない。 義務教育さえまともに終えていないという枷が、社会でも家庭内でも、さやかを生き辛くさせていた。 しかし、ある日、さやかは夜間中学という存在を知る。 それは、戦争や貧しさや病など、さまざまな事情で義務教育を終えられなかった大人たちの集う学校だった。 二十歳の春、さやかは河堀夜間中学への入学を果たす。 仲間たちに支えられて過ごす日々が、学校や親への不信で雁字搦めだったさやかの心を解きほぐしていく。 やがて、さやかには密かに叶えたい、という夢が芽生え始めるのだが……。 「みをつくし料理帖」「あきない世傳 金と銀」などのベストセラー作家が、『一歩踏み出したい』と願うすべての人々に贈る、心を揺さぶる物語。
有名広告代理店を早期退職し、月十万円ずつ蓄えを切り崩しながら穏やかな暮らしを送るキョウコ。 おかめの手ぬぐいで頬被りしてアパートの庭の雑草抜きに勤しんだり、隣人のチユキさんの悩みを聞いてあげたり、友だちのマユちゃんが遊びにきたり……と、楽しく自由な日々。 小さな幸せを大切にするロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、みなさんに愛されて待望の第9弾。 書き下ろし最新長篇。
雑誌記者の笹山真由美は、若年性アルツハイマーを発症した父に付き添い病院を訪れた。 彼女はその病院のICUで、頭に包帯が巻かれ、複数の管につながれた意識のない少女・美咲が流す涙を目撃する。 美咲の家族は殺害され、自宅火災の焼け跡から遺体で発見されていた。 事件を調べ始めた真由美は、美咲が典型的なヤングケアラーだったことを知る。 重度の障害者の兄と認知症の祖母の面倒を、看護師の母にかわって一人で看ていた美咲が、衝動的に家族を殺して放火したと考える警察の見解に違和感を覚えた真由美が突き詰めた衝撃の真実とは……?
京都市にある美大の油画科を休学中の稲葉真は、従兄の稲葉凛太郎の声がけで狩野探幽の血縁であり、父が狩野派を破門された清原雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵の復元模写制作を手伝うことになった。 チームメンバーは修士二年・土師俊介と修士一年・蔡麗華。 襖絵は、十二面の花鳥図だが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。 果たして三人は、復元模写を完成させることができるのか? 創作することの苦悩と幸福を濃やかに描き切った感動長篇! 第一章 ボロボロの家宝 第二章 消えた鳥 第三章 風の出所 第四章 修復と模写 第五章 二本目の筆 終 章 花鳥図