出版社 : 講談社
救急隊の若き隊長・真田健志は、血気盛んな後輩・工藤、運転のエキスパート・木佐貫と三人一組で出動する日々をおくる。ある晩、「少女が閉じ込められている、早く助けないと死ぬ」と、犯人と思しき相手から通報が!監禁された少女は衰弱し、背中にはトリアージタッグを模したシールが貼られていた。四色の紙片は、本来、傷病者の治療優先順位を示すためのもの。しかし、現場に残された紙片は、被害者をどれだけ痛めつけたのかを表し、次の事件を示唆していた。彼らは、人々の命と町の平穏を守ることができるのか!?警察ミステリーで人気の著者がはなつ、緊迫と感動の救命士ミステリー。
深瀬和久は何かに秀でているわけでもなく、モテるわけでもない、しがないサラリーマンである。そんな深瀬に彼女ー美穂子ーが出来た。ようやく自分の人生にも明るい兆しが見え始めた、そう思った矢先に、二人の関係が大きく変わる事件がおきる。美穂子にとある告発文が送られたのだ。そこには、深瀬が忘れたくとも忘れられない、過去のある出来事を彷彿とさせることが書かれていたのだ。 深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。趣味と呼べるようなことはそう多くはなく、敢えていうのであればコーヒーを飲むこと。そんな深瀬が、今、唯一落ち着ける場所がある。それは〈クローバー・コーヒー〉というコーヒー豆専門店だ。豆を売っている横で、実際にコーヒーを飲むことも出来る。深瀬は毎日のようにここに来ている。ある日、深瀬がいつも座る席に、見知らぬ女性が座っていた。彼女は、近所のパン屋で働く越智美穂子という女性だった。その後もしばしばここで会い、やがて二人は付き合うことになる。そろそろ関係を深めようと思っていた矢先、二人の関係に大きな亀裂が入ってしまう。美穂子に『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのためにーー。 深瀬はついに、自分の心に閉じ込めていた、ある出来事を美穂子に話し始める。全てを聞いた美穂子は、深瀬のもとを去ってしまう。そして同様の告発文が、ある出来事を共有していた大学時代のゼミ仲間にも送りつけられていたことが発覚する。”あの件”を誰かが蒸し返そうとしているのか。真相を探るべく、深瀬は動き出す。
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!
武田家滅亡時、真田家は周囲に攻め込まれたら一瞬で消し飛ぶ運命であった。昌幸は、主家武田を見限り、北条に降ると見せかけて、織田信長につく。信長が横死すると、旧領回復を画策し、弟を人質に上杉景勝に従属するが、わずかひと月で北条に鞍替えするー。戦乱を変幻自在に立ち回り、世を化かす昌幸の前に立ちはだかるのは、名将徳川家康と大軍勢。あまりにも巨大な敵に、どう立ち向かうのか。そして生き残ることはできるのかー。
家出少年が、濡れ衣を着せられた犯罪者が、バツイチの女性弁護士が、右手を上げてタクシーを止める。少年はなぜ失踪し、タクシーが消え、思わぬ真実が待ち受ける。感動と興奮の書き下ろし長編ミステリー! ーー子供だろうが老人だろうが、テロリストだろうがロマンチストだろうが、金さえ払ってくれれば誰でも乗せる。そしてどんな人間でも、このタクシーから降りるときには必ず笑顔になる。それがスマイル・タクシーだ。(本文より)
高校1年生になった桃子は思いがけなく、短歌を詠む「うた部」に入部する。でも、不登校になったままの親友の綾美に対して部活のことを言い出せない。そればかりか、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。中学時代に起きたある事件に負い目を感じてのことだった。そんなある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がってー。
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の沙十はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで“弁天観音”美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。
「常軌を逸した女子アナ好き」と書かれるような男が生え抜き初の社長でいいのか。“ニュースショー”を成功させ、視聴率で「四冠王」も夢ではないと胸を張るテレビ局も内実は醜聞まみれだった。批判精神をなくした組織は公器たりうるのか。大逆転を狙って、一組の男女が奔走する。息もつかせぬ経済小説の力作! 第一章 怪文書の“怪” 第二章 伝説のテレビ屋たち 第三章 活字コンプレックス 第四章 トップ人事 第五章 “民放のNHK” 第六章 中期経営改革 第七章 特命事項 第八章 人事異動 第九章 人事権者の暴走
使用済みの絵葉書、義眼、徽章、発条、玩具の楽器、人形専用の帽子、ドアノブ、化石……。「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まっている、世界で一番小さなアーケード。それを必要としているのが、たとえたった一人だとしても、その一人がたどり着くまで辛抱強く待ち続けるーー。 衣装係さん 百科事典少女 兎夫人 輪っか屋 紙店シスター ノブさん 勲章店の未亡人 遺髪レース 人さらいの時計 フォークダンス発表会
兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し…。忘れられない「家族」の物語。
京都の中学生・天童純は、密教僧・源雲の法力によって時空を超え平安の都に飛ばされてしまう。そこは、「鬼」と貴族たち「人」が憎みあい、争う世界だった。選ばれし者として雄龍霊を復活させた純は、鬼退治に向かうも、その最中に出会った鬼の少女・水葉から、鬼こそが大和の神々の子孫であると聞かされる。 《鬼打ち豆》 《神の住む都》 《伝えられてきたもの》 《鬼の剣》 《残された光》 《禍々しい影》 《きっとまた、いつか》 「わたしが子どもだったころ『小学生の巻』」
大部屋女形・梅村濱次の住む長屋で騒動が勃発。長屋仲間で堅物の浪人・仁野に、亡き妻の妹・絹が岡惚れしてしまったのだ。弱り切った仁野の頼みで、濱次は絹が諦めるよう一芝居打つことに。その最中、役を干されていた濱次は何かをつかむ。復活をかけた、花形女形との因縁の対決の結末は?文庫書下ろし。
能登半島の最北部にある眞塊谷を支配する邑知家。『日本書紀』にも登場するほど古い豪族の末裔とも言われる名家の当主・邑知大輔は、戦時中は軍部にも影響力を持っていた大富豪。この家を乗っ取ろうという謎の弁護士の悪巧みによってひ孫の花婿候補に仕立てられた青木俊治は、途轍もない惨劇に巻き込まれる!
徳川の埋蔵金伝説に彩られた深山幽谷。平家の落人を皆殺しにした源氏が住み着いたと言われる眞塊村と、邑知大輔の計らいで移住してきた宣教師たちが作ったニューホーリー村に襲いかかる悪夢は、村人が信仰する軍荼利明王の化身クンダリーの仕業なのか?ラビリンスとの最後の戦いに二階堂蘭子が挑む!
深い森の奥に子供を売り買いする「ひと市」が立つ。集落が生き残る術としてーー。甲斐の虎と越後の龍の一触即発前夜、隠居館で暮らす信虎の息子が攫われた。七歳の太郎の行方を追って、武田・長尾・今川・北条、それぞれの欲と思惑のため忍びが暗躍、無坂ら山の者は義と情のため戦い抜く。-文庫書下ろしー 序 第一章 雪斎の依頼 第二章 追う者 第三章 軒猿と鶴喰 第四章 《かまきり》
無坂は死んだと思われた太郎の生存を疑う。時は甲相駿三国同盟間近。飛び加当が、異形の忍者が、山の呪いが、戦国の世を駆け抜ける! 第五章 飛び加当 第六章 越後の龍 第七章 甲相駿三国同盟 第八章 《嶽神》
自分の中には凶暴な性欲をもつ鬼がいるー鬼を追い出すため、吉田神社の節分祭「鬼やらい」へ行く女。しかし女は妖艶な着物を纏った美女にたやすく誘惑される。行為の最中、相手の着物の裾の間には、逞しく屹立するものがあった。女装男との倒錯性を描く「おばけ」ほか、女の欲望が昇華する官能短編集。
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づくーー。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。 アウトサイド 私は名前で呼んでる パプリカ次郎 人間袋とじ 哀しみのウェイトトレーニー マゴッチギャオの夜、いつも通り 亡霊病 タイフーン Q&A 彼女たち How to burden the girl ダウンズ&アップス いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか
武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉ーー天下に手を伸ばした英雄たちの下、負けられない一戦に挑む者たちの生死の際を描く。 牢人大将 戦は算術に候 短慮なり名左衛門 毒蛾の舞 天に唾して 国を蹴った男