出版社 : 講談社
「獏憑き」の黒沢彩人は従兄弟の桂輔が社長を務める白木清掃サービスで、悪夢の原因となる穢れを取り除く「夢祓い」を行っている。実家のパン屋を継ぐ夢を絶たれた館平奈々葉、妻子と別れ、占い屋を営む根津邦雄、四歳の娘にどうしても優しくできない笑原香苗ー。獏憑きは穢れを食べるほどに寿命が縮む。しかし彩人には、残された時間でどうしても食べたい悪夢があったー。身近な人にやるせない感情を抱く4人の依頼者たち。“獏”は彼らの夢に入り、劣等感に、罪悪感に、無力感に喰らいつく!
祖父の自死をきっかけに実家のある地元に帰った美術家の私。祖父が日本の植民地だった戦前の台湾に生まれ育った「湾生」と呼ばれる子どもだったことを知る。日本統治下の台湾について調べ、台湾人の知人梅さんに誘われるまま台湾を訪れる。梅さんに導かれ地方色豊かな当地の葬儀に参列し、日本とは全く違う台湾の風景、死生観、儀礼に触れていく。
留学先の日本から、サウスカロライナに帰郷したラッセル。葛の繁茂した庭、南部ならではの湿気、耳に届く哀切な音楽ー青年は、遠くイランからこの地に根を下ろした父の来し方に想いを馳せる。言語と自己のはざまの揺らぎを描き、京都文学賞で鮮烈なデビューを飾った著者の最新刊。第168回芥川賞候補作。
博士号を持つ警察官・沢村依理子は、道警本部の警務部に異動となる。監察官室に目をつけられていた沢村は、報復人事を疑う。そんな中、新札幌の新設大学で爆破事件が発生し、沢村は突然捜査一課配属となるが、ただし警務部付。この人事の意味とは。いつまで経っても進展がない爆破事件。公安との駆け引きの中で進めていく捜査。しかも沢村は班長を任されることに。新天地でまだぎこちない中、新参者の班長に対して心中複雑な班員たちをまとめられるのか。爆破事件の犯人の目的ーそれは、女性研究者として博士課程まで進み、アカハラによって恋人を亡くすという経験をした沢村だからこそたどり着けるものだった。
家族紹介。 うちは、 母、80歳、認知症。 姉、47歳、ダウン症。 父、81歳、酔っ払い。 ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。 全員ポンコツである。 ただ、皆が皆ずっとこうだった訳ではない。 何十年かぶりに、私は実家に戻った。 まずはその理由を、いや長めの愚痴にお付き合い頂けたら、とても嬉しいーー。 *** 変わり果てた実家。私の知らない母。実家に戻って 住もうなどと、その時は夢にも思っていなかったのに。 ローテーブルの上に、割りばしが突っ込まれたままのカップ麺や缶詰、茶色いお惣菜がこ びりついたプラスチック容器、半分セメント色したミカン、黒炭のようなバナナの皮等々 の食べ残し、残骸が溢れている。ちょっとしたゴミ屋敷だーー。 どんな状況だって、病気だって、「ポンコツ」な人はいない。 でも、愛を持って私は家族を「ポンコツ」と呼ぶ。 *** 「どこのどいつだ〜い?」「あたしだよっ!」「にしおか〜すみこだよっ」 ロングヘアをなびかせ、SMの女王様の格好で行う漫談で人気を博し、エンタの神様にも出演していた芸人・にしおかすみこさん。現在46歳で、髪もバッサリショートヘアにカットしたにしおかさんが「全員ポンコツ」と語る、自分の家族と介護の物語。 ポンコツ一家 目次 1 実家が砂場になっていた 2 記憶力テスト 3 背比べ 4 ヘドロとドロボー 5 疑惑 6 大晦日の大事件 7 一月にクリスマス 8 地域包括支援センターと冷凍マグロ 9 大事な話 10 姉のバタフライ 11 ホタルイカ 12 ママ速報 13 私の大事な話 14 花火とぎゃくたい 15 干支 16 ワクチンで発熱 17 青い花 18 ソワソワ あとがき
1941年11月、日本軍政前夜の香港。暗い過去を秘めた日英中の男3人がペニンシュラ・ホテルに集い、飲み、食らい、語り合う。やがて夜は更け、歴史が動き始めるー。守るべきは祖国か、個人の矜持か。時代の狂風に翻弄される男たちの愛と友情と苦悩を、哀切を込めて描きあげる、新たな傑作!
異世界に生まれかわった食いしん坊の少女、シャーリィは、ある日、日本人だった前世の記憶を取り戻す。ハンバーガーも牛丼もラーメンもない世界に一度は絶望するも「ないなら、自分で作るっきゃない」と奮起するのだった。そんなシャーリィの噂が広がり、ある日、王宮で働かないかと誘いがくる。豊富な食材、豪華なキッチン設備に目が眩み、王宮に向かったシャーリィはメイドとして、国王に代わり国を治めるウィリアム王子に「おやつ」を提供することに!?クラシカルなお菓子ばかりの中、現代の料理を再現したシャーリィのおやつは王宮に波乱を巻き起こす!モリタ×nimaが贈る王宮お料理バトル開幕!
錬金術師。卑金属から黄金を生み出し、新たな未来を錬成する者。…彼らがそう評されていたのはもう五百年も前であり、今や錬金術は魔法時代の到来によってすっかり廃れてしまっていた。そんな時代の折、古代遺跡の奥で一人の錬金術師が目を覚ます。-ヴァイケン・オルド。およそ五百年前に活躍した錬金術師は、十代前半の少年の姿となって五百年の時を超えた転生実験に成功していた。錬金術師兼冒険者として新たな時代での仕事を始めたヴァイケンの存在は、徐々に王立学術院や国王の耳に入るほどの噂になっていく。そしてそんな中で浮かび始める、五百年前に世界を崩壊の危機に陥れたある歴史の真実。自重を持ち合わせない錬金術師と、おとぼけ人工妖精が五百年後の世界を救う錬金術無双ファンタジー、ここに開幕!
父を亡くし、男爵位を継いだ叔父の世話になっているディートリンデは、婚約者を従妹のエルナに奪われ、親ほども年の離れた商人の後妻として金貨30枚で買われることになった。その縁談を受け入れかけていた矢先、見目麗しい貴族の青年が「金貨100枚」を携え求婚してくる。彼、バルタザール・リューガーは、子どもの頃に喧嘩別れした幼なじみだった。彼の目的は形だけの「契約結婚」。夫婦になったが愛情は望めない。バルタザールの勤める騎士団詰め所で働き始め、高い事務能力を発揮して一目置かれるディートリンデだが、男女問わず人気者の夫を見てひそかに心を痛めていた。一方、妻にそっけなく接するバルタザールにも、秘めた想いがあるようで…?互いを思いやりすぎて、すれ違い続けた契約夫婦。気持ちが通じた先に待っていたのは、夢のように幸せな日々と、思いがけない事件だったー!?
幼い頃に魔王に拾われたが、魔王軍四天王によるパワハラ教育に耐えかね、魔王城を脱走して冒険者となったブラッド。もう二度と魔王城には戻らないつもりだったが、数々の冒険を経て、自分に宿る力の使い方を知るため、ふたたび魔王に会いに戻ることを決意する。そして、魔王によって開かれた試練の扉の先で、新たな力を手にしたブラッド。一方で、蒼天の姫たるアリエルに、敵の手が迫る。そして、世界を白紙に戻さんとする女神が、アリエルを器として降臨し…!?
心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか?新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。恋人を詐欺被害で亡くしている共演者の麻子は、ある日、生放送で未だに捕まらない犯人への憎しみを口走り、その発言が炎上する。一方、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された、澪も知る青年が消えた。その件に絡んで自宅待機となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。防犯映像には暴力団との交際が噂される刑事が…警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに。
函館にある医療刑務所分院に勤める金子由衣は、2年目の矯正医官。医療刑務所では、患者である受刑者の平均年齢も高く、凶悪な罪を犯した者も基礎疾患などを抱え医師の助けを必要としている。一方で不調を訴え刑務作業逃れをしようとする者も多い。受刑者の過去の罪と患者としての現在の状況を毎日のように目の当たりにし、贖罪とは何かを考える由衣だったが、当直の晩、糖尿病を患っていた前科四犯の受刑者が亡くなった。これは医療事故か、あるいは殺人事件なのかー。この仕事は、誰かがやらなければいけない。目の前の患者を救うことを、分け隔てなく。
親子三代で営む麹町の小さな菓子舗「南星屋」。日替わりの諸国銘菓を求めて、今日もお客が列をなす。麹町を大火が襲った夜半、店に急を告げに来たのは、菓子に目がなく気のいい渡り中間の鹿蔵だった。それきり店に来なくなった鹿蔵を案ずる一家だったが、ある日、思わぬところから消息が届いて…。
廃屋で全裸の男が遺体で発見された。動物用の檻に閉じ込められ、腹部には深く大きな傷があった。そして傷口には、薬品が付着している。混乱の中、捜査が始まるが、今回の事件、刑事・如月塔子の相棒は鷹野秀昭ではなかった。いったい、なぜ?戸惑っている塔子を嘲笑うかのように、その夜、第2の事件が発生ー。闇夜から犯人を、引きずり出すことができるのか?大人気警察シリーズ、2年ぶりの最新刊!
弱小貴族ローベント家の若き当主・アルス。実は転生者であるアルスは、武力も知識も一般的なレベルだが、「鑑定」という特別なスキルを使い出自や年齢を問わず有能な人材を集め、重用していた。所属するカナレ郡の動きに従い、ミーシアン総督の跡継ぎ争いに参加したアルスは、家臣の功績もあり、ついにはカナレ郡の郡長を任じられるという大出世を遂げる。だが、そんなアルスの治めるカナレ郡をねらい、大軍勢が押し寄せるがー!「鑑定」の力で有能な人材を登用し、危機を乗り越える!!コミックも絶好調!小説家になろう発成り上がりファンタジー!
ただのサラリーマンだった一条明は、帰宅途中にミノタウロスに出会い、殺されてしまった。その直後、謎の力で死ぬ前の時間へと戻った明は、現実世界に様々なモンスターが出現する事態に直面する。明は困惑しながらも、モンスターを倒すと「レベル」が上がり、死んでも能力は引き継がれることを発見する。これでそう簡単には死なないと安心したのもつかの間、明の住む街にはボスモンスターとしてミノタウロスが徘徊しており、遠くへ逃げても別のボスが行く手を阻む。絶望的ともいえる状況の中、それでも明は滅びの運命に抗おうとするのだがー「まだ、死んでいない。俺はまだ、生きている!!」「小説家になろう」で人気の異世界侵略サバイバルが、コミカライズと共に開幕!
王都ユステルを騒乱から救った英雄となった“劣等人”水梳透。フィンリスに戻ると、国王からの褒美としてのランクアップクエストが待っていたが、そのクエスト「ペルシーモの実採取」は100年もの間、放置されていたいわく付き。しかも100年前に挑んだリリィのパーティはクエストに失敗しあまつさえ仲間を喪う悲劇に遭っていた!危険を承知しつつクエストに挑む透とエステルーその頃、王都騒乱の際に目的を果たせず捲上重来を計った「アミィ」がフィンリスで再び大きな混乱を巻き起こそうと暗闇を開始した!明かされる透の「スキルボード」の秘密とは?そしてドラゴンに騎乗しフィンリスに舞い戻った透に、最凶最悪の危機が訪れて…!?小説家になろう発人気異世界ファンタジー待望の第4巻!
代々薬屋を営んでいた家で、三姉妹の一番下の妹として生まれたルーネ。姉のララとリフェアとともに小さい頃からポーションづくりに励んでいたが、家での扱いはあまり良くなかった。姉たちに邪険にされていたのだ。それでも、ポーションが好きだからこそ続けていた。ある時、魔物との大規模な戦いが行われることになり、三姉妹の薬屋にも、大量のポーションづくりの指示が出される。三姉妹で朝から晩まで必死にポーションをつくり納品するが、その評価は大きく異なり、ルーネだけが特別待遇となることになりー!ポーションが好きで、ポーションづくりが好きな少女の、成り上がりストーリー!