出版社 : 講談社
悪役令嬢に転生したアラサー理系女子、知識チートで製鉄所を起業する!鉱物を愛する研究者のいすずは、残業中に束の間意識を失い、気がつけば乙女ゲームの悪役令嬢・マヘリアに転生していた。まさに今、王子から婚約破棄を言い渡される断罪シーン。王宮から逃げ出した末に辿り着いたのは、山奥の炭鉱だった。鉱山のリーダー、アベルに拾われたいすずは、令嬢としての人生を捨て、ここでも鉱業に携わって生きるために、この世界ではまだ確立されていない「石炭を使った製鉄」を提案するー前世の知識で何段階も文明を進め、目指すは産業革命!?まさかの炭鉱から始まる立身出世ファンタジー開幕!
生まれた当時王女がいなかったため、非嫡出子ながら特例として王女の地位にあったエルヴィールールヴィは、ファストゥと緊張関係にある隣国ツークフォーゲルの国王、アルノルト二世に嫁ぐことになる。しかしルヴィには悩みがあった。ルヴィの数日後に生まれたために王女になれなかった母親違いの妹、ルビー。数日の差を恨み、ずっと嫌がらせをしてきた彼女が、ルヴィの侍女として随行するらしいのだ。いざ輿入れの旅の中、ルヴィの乗った馬車が襲われ、刃物で刺されてしまう。なんとか助かったものの、声が出せなくなっている上に、ルビーが王女ということになっていた!だけど、アルノルト二世の筆頭秘書官であるアレクシスの屋敷で過ごす日々は穏やかでー!小説家になろう発モフモフ王女の冒険譚、開幕!
神社の屋根にある千木、鰹木。一般的には、その形や数で祀られているのが女神か男神かわかるとされるが、伊勢ではそれはあてにならない。女神を祀る神社が男神仕様であったり、またその逆も数多く存在する。日枝山王大学民俗学研究室の院生・橘樹雅は、学会出席のため三重へ向かう准教授・御子神伶二に同行。はじめての伊勢で大きな衝撃を受ける。
PC画面に暗躍する“フェルマー”の正体とは?御子柴岳人&斉藤八雲の師弟コンビが対峙する、学園を震撼させるヴァーチャル空間の曲者との対決は極めてスリリング。
私たち、三十八歳。全てが順風満帆にすすんでいる、はずだった。出産によってマミートラックに追いやられてしまった凛。シングルマザーとして、発達障害の子供を抱え貧困から抜け出せずにいる響子。週刊誌のサブデスクにまで昇進しながらも、不妊治療がうまくいかない美華。月一回のランチ会で愚痴をこぼすことでストレスを解消していた私たち。いつの間にか本当の悩みは避けるようになっていた。誰にも言えないその感情はやがてー。日々の痛みに挑む三者三様の闘い。
初めて「売文」を試みた文学少女時代。挫折を噛み締めた学生漫画家時代。高揚とどん底の新宿・六本木時代。作家デビュー前夜の横田基地時代。誹謗中傷に傷ついたデビュー後。直木賞受賞、敬愛する人々との出会い、結婚と離婚、そして…。積み重なった記憶の結晶は、やがて言葉として紡がれる。
古いフランス製の家計簿に書きこまれた膨大な文書を翻訳してほしい、と文化人類学者河島からの依頼。最後にVincent van Goghと署名があって、ゴッホ直筆かもしれない。しかも署名付き家計簿は二冊存在するという。贋作ならば、なぜ複数必要だったのか。ぼくは翻訳を進めるいっぽう、家計簿の来歴を追った。だが、謎は深まるばかりだった。
人気モデル兼俳優の偽者、痴漢された女高子生、特別な日を撮影するカメラマン、推しの若き死を望む会社員…。あちこちに現れて誰かであり誰でもない名前のない私たちみんなが「きらら」として生き抜いている。無責任な暴力、すれ違う意識、のしかかる思い込み。8人のきららの8つの人生が照射する残酷でかすかにあたたかい世界の物語。
幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。かつての子育ての日々を思い出す女性ー「この世の喜びよ」。ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦ー「マイホーム」。父子連れのキャンプに叔父と参加した少年ー「キャンプ」。
明治十五年、新政府は維新において功績のあった者たちに報告書を出すよう求めたが、上野戦争で死んだ者の菩提を弔うための寺を創ろうとしている山岡鉄舟はどこ吹く風。剣弟子の香川善治郎は、すでに詳細な書面を出した勝海舟に江戸城の無血開城はじめすべての功績が奪われるのではないかと気が気ではないが、他人のメンツをつぶすような野暮を嫌う江戸っ子の鉄舟は、手柄は勝のものでよいと言って取り合わない。それでも江戸の町を戦火から守り、東京の礎を築いたのは師匠であると信じて疑わない香川は、書面の代筆を願い出る。そう思いつめる香川に鉄舟は、なぜ江戸が東京になりえたのか真実が知りたかったら「この町そのものである女」佐絵の話を聞くがよいと紹介状を書く。下町の名物湯屋「越前屋」の娘・佐絵と上野寛永寺の若き輪王寺宮の間には知られざる深い絆があったー。
立花亜衣は、閉館した映画館で“映人”と呼ばれる人物と会う。父が殺された日を、再上映するためにー。家族、恋人との別れ。栄光の一日。罪を犯した日。忘れられない過去を再上映できるなら?依頼人たちは、思い出と向き合うことで、新たな真実に直面する。今を大切にしたいと思える、切なさが胸を衝く感動のミステリー。
公園で、ホームレスの女性が殺害された。犯人も殺された理由も、不明。仕事も人生もうまくいかず、ひとり寂しく暮らす女性が、その事件に感じた「縁」。人から人へ、糸をたどり、少しずつ「真実」へ近づいていく。まるで被害者に、導かれるように。だがー。気づいたときには、もう遅い。仕掛けられた「罠」に、あなたはすでに呑み込まれている!#さっちゃんはあなただったかもしれない。
高校入学直前の春休み。満月紅は新作VRMMORPG『Destiny Unchain Online』のテストを開発者である父に依頼され、VR世界に舞い降りた。ログイン直後、無意識に紅は「美少女」のアバターと「吸血種族」を選択してしまうーしかも最初に転送されたのは「始まりの街」とは異なる謎の遺跡でログアウトもできない!!(命の危険はないみたいだが)根っからのゲーマーでもある紅は「クリム」という美少女純血吸血種族として、高校入学時の1ヵ月を使い『DUO』で遊び倒すことを決意したのだが!?-これはゲーム世界で吸血鬼美少女になり、その能力とスキル(と可愛さ)であっという間にゲーム世界を席巻し、プレイヤー達に愛でられつつ『赤の魔王』として恐れられる?ことになる、紅=クリムの物語!!
「わたし」は40歳間近の引きこもり。昔ながらの考えを持ち、引きこもる自分を認めてくれない父との接触を避けつつ、優しく寄り添う母親に頼りきる生活を続けていた。ところがある日、何の前触れもなく、母親が「わたし」の前から消えてしまう。そして現れたのは父から依頼を受けたという「鴨」と名乗る若い女性だった。「痛み」のない人生なんてない。だけど、そんなもの、ないほうがいいに決まってる。
アーシア王国筆頭宮廷魔術師として、一子相伝の魔術“全自動・英霊召喚”を駆使し、『赤の魔王』を撃退したフレイ・リディア。「救国の英雄」と呼ばれ国の強化に日々勤しむフレイに対し、魔王信仰の大国・ガーベラが接触を図ってきた。-どうやらガーベラ国王は『青の魔王』と組んで「魔獣サイフォス」を復活させ、世界の支配を目論んでいるらしい。ガーベラ王国に先んじて、サイフォス復活を試みた『青の魔王』麾下の精鋭魔族を、抜群の連携でなんとか蹴散らしたフレイたち。だがその後フレイたちの前に敵として出現したのは、フレイ同様に“英霊召喚”を使うガーベラ国王、そして至高の魔術師メーヴェとともにかつて世界を救った勇者エルヴァインと、メーヴェの愛する妹分、魔術師レナであった!!再び世界が崩壊を迎えるまであと二週間ー新たな英雄フレイ・リディアが執る勝利への秘策とは…!?
「エスト、お前にはスターダストを抜けてもらう」「スターダストを抜けろって…僕が?そんな、なにかの冗談だよね…アテナ?」冒険者パーティー“スターダスト”。剣士のアテナと付与魔術師のエスト、幼馴染二人で始めたパーティーはメンバーを増やし、順調な活躍からシルバーランクへと昇格し、ますます勢いを増そうとしていた。その状況の中で、リーダーであるアテナは決意する。敵がますます強くなっていく中で、エストを守り続けることができない、と。だがその真意はエストには伝わらない。失意のエストはアテナを、パーティーを恨んでしまう。けれどスターダストにもまた別の種類の問題があり、年長者である俺ーダルの気苦労は増えるばかりでー!小説家になろう発「追放する側」の事情を描いた物語、スタート!
「過去も未来も、この絵にはない」完成間近の卒業制作を教授に酷評された木田蒼介は、自分の過去ー交通事故で亡くした幼馴染・河井明音をテーマに作品を描き直すことを決める。しかし、蒼介は彼女にまつわる記憶を完全になくしていた。明音に関する情報を集めるうち、蒼介の思い描く明音像を投影した幻覚・アカネが現れる。蒼介は、徐々に失われた記憶を辿っていく。第16回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
ヨーロッパで移民として生きるため、自家製の言語“パンスカ”をつくり出したHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して、仲間たちと共に船の旅に出る。一行を乗せた船はコペンハーゲンからバルト海を東へ進むが、沿岸の港町では次々と謎めいた人物が乗り込んできてー。言葉で結びついた仲間たちの時空を超えた出会いと冒険を描く多和田葉子の新たな代表作。