出版社 : 講談社
神田和泉橋の五兵衛店に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応四年、背中の傷を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが…。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。
争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に? 江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。第110回直木賞受賞作。(講談社文庫) 争いは世の常、人の常。 江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。 ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。 喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に? 江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。 第110回直木賞受賞作。 第一章 旅人宿 第二章 初音の馬場 第三章 見送る女 第四章 猫背の刺客 第五章 囲い込み 第六章 白州留 第七章 寺男 第八章 川突き 第九章 迷い蛍 第十章 六十六部
明治政府に、村田新八という男がいた。外国視察から帰ると、政府の重鎮の西郷隆盛と大久保利通が意見の対立から袂を分けていた。西郷を師と仰ぐ新八だが、大久保も知らぬ仲ではない。二人の間で驚き、戸惑い、心は揺れる。国に戻った西郷のもとを新八は尋ねるが…。動乱の時代を生きた傑物を描く長編歴史小説。
苺畑の広がるサン・ピエドロ島の沖合で、漁網に絡まった死体が発見された。漁師の日系アメリカ人=カズオ・ミヤモトが殺人容疑で逮捕された。島の陪審員は根強い人種遍見を抱いている白人たち。法廷内は緊迫するが、第二次大戦で心に深い傷を負った人々が謎の解明に起ちあがる。英米で各賞受賞の裁判小説。
蜀はいま、先帝劉備逝き、豪雄関羽・張飛もいない。しかし軍師孔明は魏の政変を好機と、武力を誇る宿敵を叩き討つべく若き劉禅を奉じ立ち上った。迎えるは大軍率いる名将仲達。二人の知能の限りを尽した壮烈な戦いの火ぶたが切られた。中原に夢を馳せた英雄達の栄光と挫折を雄大なスケールで描く。
大勝か、しからずんば大敗か。蜀の孔明と魏の仲達。自国の存亡を賭け雌雄を決する秋がきた。奇策・鬼謀、虚々実々のかけひきの中、幾度の果敢な死闘を繰り返す。孔明亡き後、蜀の命運を托された若き姜維は遂に最後の決戦に挑む。中国大陸が魏・呉・蜀と三分されて幾歳月、中原に戦い散った英雄達の挽歌。
夢は身銭を切って購うものー東海道吉田宿の一夜、針売りの青年藤吉郎は旅の僧にこういい放った。一升八文の酒を仲立ちに「天下」への道が招き寄せられ、一人の男が歩き始める。平凡な人生を大きく転回させ、歴史に名を成す豊臣秀吉へと変貌させた叡智とは何か。英雄誕生に秘められた成功への発想法を描く。
芸妓村上八重と著者との三十年にも及ぶ恋愛を題材に小説家牧と芸者三重次とが互いの人生の浮き沈みを越えて真摯な心を通わせ合った長い歳月の愛を独得の語りくちで描いた戦後の代表作・読売文学賞受賞「思い川」、なじみの質屋の蔵の中で質種の着物の虫干しをしながら着物に纒わる女たちの思い出に耽る男の話・出世作「蔵の中」、他に「枯木のある風景」の三篇を収録。
重い血の記憶がよどむ南紀の風土のなかで原始的な本性に衝き動かされるままに荒々しい生をいとなむ男の姿を、緊迫感溢れる文体で描く短篇集。若い女との気ままで怠惰な生活をなじられ、衝動的に両親を殺すに至る表題作の他、「荒くれ」「水の家」「路地」「雲山」「荒神」の6篇を収録。
雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。
藤原道長と二人妻の波乱の生涯。権勢をほしいままにした道長が、唯一、その愛を得ることに苦悩した美貌の女・明子(めいし)。正妻・倫子(りんし)を加えた三人の愛の交錯。絢爛たる王朝絵巻の中に描き出す書下ろし長編歴史小説。
天下取りなどいじましき限り、日本中を跳梁し、唐天竺まで駆け抜けようぞ。秀吉、家康らの攻防を笑いとばす大盗石川五右衛門。京の隠れ家に数々の名器を集め、大茶会を催す放胆無類の風流ぶりには、秀吉も驚嘆するばかり。天地に悪業善行の別などあるものかと広言し、個性的な荒くれどもを引き具して戦国の世を傍若無人、痛快に暴れまわった希代の風雲児の一生を、伸びやかな筆で描破した雄編。
即身仏を志す盗賊の心情、信長の影武者をめぐる謀略、蹴鞠に入れあげ乞食に身を落とす今川氏真の運命、討入りを脱落した高田郡兵衛の苦衷、首斬り浅右衛門家に養子に入った男の巧妙な計算…“志願”というユニークな視点から歴史の謎を切りとった九編の異色連作。多年、本格推理界をリードしてきた著者が、卓抜な着想と絶妙の語り口で、我意と妄執に憑かれた人間のすさまじい情念の世界を抉り出す。
猫と競馬とともに生きる、ぼくと島田とアキラとよう子。四人の若者による、奇妙な共同生活が始まった。彼らの日常を独特の文体で描いた、芥川賞作家のデビュー作「プレーンソング」と、その続編ともいうべき野間文芸新人賞受賞作の「草の上の朝食」。文学界に新しい風を吹き込む、気鋭の作家の傑作二編。
障害をもつわが子と妻との日常、そして夥しい量の読書。少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものをなぞる過程でしだいに独特なものを作ってゆく」という方法意識の作家「僕」が綴る、表題作等9篇の短篇小説。切迫した震える如き感動、特にユーモアと諧謔をたたえて還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。
竜泉郷へ足を踏み入れた竜堂四兄弟。茉理の姉という瑤姫に出会い、仙界へと向かう。だが、自分たちのルーツを解き明かそうとする彼らの前に立ちはだかったのは、四人姉妹に牛種。怪獣たちの攻撃に怒った四色の巨竜が空翔ける。「をーっほほほほほ!」の愛と正義の美女戦士・小早川奈津子も期待通り大活躍。