出版社 : 講談社
江戸幕府の頽廃の翳は、日本橋界隈の商人たちの一見平穏な暮らしをも蝕みはじめていた。惨殺死体が真実を暴く『大黒屋』をはじめ、捕物帳の形を借りた六編の物語は、爛熟の気配色濃い風俗の陰に生まれる不気味な犯罪のからくりに鮮やかな推理の光をあてる。仮借ない世相のなかの庶民のせつない生活感と憐れな人情。ミステリーの巨匠が、的確な時代認識をふまえて描いた時代推理小説の傑作。
不良中年私立探偵の親父のもとに内閣調査室副室長が持ち込んできた依頼は17歳の王女様の護衛だった。東南アジアの島国ライールの王位を巡る陰謀で命を狙われている王女が来日したのだ。王女を守るアルバイト探偵(アイ)・隆(リュウ)にショットガンが向けられた。けなげに王女をガードする隆クンのピンチ。シリーズ初長篇。
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!
首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。
自分のことにしか興味が持てない著者が、現実との感覚のずれに逆上して《怒りの薔薇くい姫》と化し、渾然一体となった虚構と現実が奇妙な味わいを醸し出す「薔薇くい姫」、男同士の禁断の愛を純粋な官能美の世界にまで昇華させた「枯葉の寝床」「日曜日には僕は行かない」の3篇を収録。
女に取り憑かれて…。娼婦、ドラッグディーラー、ポルノグラファー、ポン引き、手錠フェチ。現代アメリカのオブセッションを描く、若き鬼才の傑作遂に邦訳。
豪胆細心、あっと驚く妙計奇策。若様侍、抜け荷にからんだ悪党退治。痛快時代小説。5年振りに江戸に戻った若様右京之介は、悪党退治で危難の連続。暗闘の渦中で若様を救ける女は人妻、それは忘れ得ぬいとしい多美殿…。
両親が離婚し、母親と二人きりで暮らす少年リー・ボッツの心の成長過程を、憧れの作家ヘンショーさんへの手紙と日記という手法で描き、「ニューベリー児童文学賞」に輝いた、涙と笑いの心温まる感動の作品。長距離トラックを運転する父親と愛犬バンディットに寄せる思い。転校先で直面する数々の出来事。子どもをとりまくさまざまな問題を、子ども自身の視点からとらえた意欲作として、高い評価を受けている。翻訳家による解説、注釈つき。
電話のアダルト・パーティー・ラインで知り合った、東海岸に住む独身OLのアビィと、西海岸に住むやはり独身の会社員ジム。そんなごく普通の男女が、電話で何時間も止めどないことばの遊戯をくりひろげ、最後に同時にオーガズムに達して電話を切るまでがリアルタイムで描かれる。全編が男女二人の会話だけで構成され、N・ベイカーの緻密でユニークな描写が光る、大ベストセラーの異色テレフォン小説。翻訳家による解説、注釈つき。
夏が過ぎた、季節はずれのジュネーブ湖畔のホテル。大衆小説で有名な作家イーディス・ホウプは、独りそのホテルを訪れた。裕福だがもう若くない彼女は、男性社会の典型的な優等生であったがために、愛のない結婚をしようとし、それから逃れてここへ来たのだった。本当の愛のかたちを探し求めようとする孤独な女性の姿を、透明で硬質な筆致でみごとに描き「ブッカー賞」に輝いた話題作。翻訳家による解説、注釈つき。