出版社 : 講談社
太平洋戦争勃発前夜、民間人浜本は、マレーの英雄“虎”を探し出すために日本を後にした。その目的は何か…?日独英のスパイが暗躍し、インドとマレーの独立運動が芽生え始めた激動の東南アジアを舞台に、人種を越えて生命を賭けて闘った男たちの、波乱万丈の生涯を描く雄渾の長編冒険小説、いま甦える。
退場。最後の試合でルールどおり毅然とした態度で、プロ野球審判の名誉をかけ信念をつらぬく“仏の昇さん”。野球、F1レース、サッカー、テニスなど、スポーツの世界を舞台に、いずれもプロであることに誇りを持ち、それゆえに孤独な男たちを、男だけの世界を描いて、快い余韻をひびかせる短編小説集。
欲望と人混みの街・新宿ー。アフリカ人の戦士が現れ、いきなり槍で中年男を刺し殺す。通りかかった都内最強の男・地虫平八郎の腕の中で息絶えた男は奇妙な黄金の勃起仏と地図を持っていた。さらに地虫の前にブードゥーの呪術師が立ちふさがる。地虫は拳法で銀髪の呪術師を迎え撃つ。黄金宮シリーズ第1弾。
21世紀初頭。九州の佐世保港と五島列島の中間に位置する青方開放刑務所には、「ラスプーチン」=羅南元春、「フリスキー」=明野由行ら怪しげな人々が収容されていた。ある日、海を隔てたところにある、予防拘置所のある立島刑務所で暴動が起きたという噂がたった。青方内の人間関係も、急変する。裏切り、密告、スパイ。真実かどうかもわからない情報に踊らされ、やがて…。権力と対峙し、真の自由を問う力作長篇小説。
鴬橋派出所の管内で起きた殺人事件。それが、一人の外勤警官の日常を変えた。死体に残された噛み傷、何かを隠している様子の同僚、夜ごとに駅前にたむろする少年たち。小さな謎が絡まりあい、やがて大きな疑惑へと変貌するとき、警官は自分自身の過去と対することとなる…。新本格の気鋭が新しい分野に挑む。
妹の肉体を“名器”から“鈍器”になおしてほしい-。凄艶なる美女が持ち込んだ奇妙な依頼、それは心霊治療師・丸尾遊介をふたたび闇の世界へと誘った。眠ったまま淫夢を見続け、近づく男達全てに、快楽の思念を放出する美少女、それが今回の患者だった。遊介の両手が、怒りの刃と化す時がまたやってきた。
「私の恋人は殺人鬼なの?」子を身篭った女子大生真山なつきの婚約者中道洋一は女性の眼に凶刃を突き立てる連続殺人の幕開けとともに姿を消した。三十年前に全く同じ手口で街を戦慄させた当時の殺人鬼は洋一の実父だった。警察も消えた洋一を追う。なつきは意を決して殺人鬼の囮に。現れる犯人は何者か。
なぜ犯人は、死刑執行の当日、首を縄に差し入れた死刑囚を殺さなければならなかったのか。なぜ犯人は図書館の蔵書の冒頭数ページを切り裂くのか、それもミステリーばかり。なぜ男は恋人の肉を食べたのか…。異様な謎につつまれた怪事件に、名探偵・法月綸太郎の明晰かつアクロバティックな推理が冴えわたる。
忠敬は下総佐原村の婿養子先、伊能家の財をふやし50歳で隠居。念願の天文学を学び、1800年56歳から16年、糞もよけない“二歩で一間”の歩みで日本を歩き尽し、実測の日本地図を完成させた。この間の歩数、4千万歩……。定年後なお充実した人生を生きた忠敬の愚直な一歩一歩を描く歴史大作。全5巻。(講談社文庫)
友と学園に別れを告げ、日本を脱出した大学生タケミ。秋の収穫期を迎えたイングランドの農村のファーム・キャンプで働く中で、さまざまな国籍の季節労働者と親しくなり、インドネシア育ちの中国人女性と愛を育てていく。祖国喪失の放浪者の厳しい身の上、人と国家のせつない現実を描く、青春国際ロマン。
学問の家の神童若江薫子は、紅白粉には見向きもしない学者に育ち、攘夷派の浪士たちと悲憤慷慨、新政府に建白書攻勢をかける。時代に逆行する情熱家は危険人物として幽閉され、晩年は失意のうちに放浪したが、その醜貌の下には、女ほんらいの、暖い心が隠されていた。幕末の女志士を描く傑作他8編を収録。
桂子はニューヨークで1人暮らす日本女性。彼女の生活のすべてを知る者はいない。優しいそよ風のような魅力を持つ桂子と、都会の喧噪や人生に疲れた男たちが出会う時、それぞれのラブ・ストーリーが生まれる。ニューヨークを知り尽くした著者がニューヨークを舞台に描くちょっぴり不思議で洒落た恋愛模様。
南町奉行根岸肥前守の懐刀隼新八郎、神道無念流の名手で頭脳明晰、心やさしい好青年だが恋には晩生。あからさまに出来ない犯罪を、密かに探る内与力の役についている。折しも、淀橋と成子坂で2つの殺人事件が発生、さらに、雑司ヶ谷鬼子母神での惨劇に拡大する…。斬新な江戸ミステリー、待望の文庫化。
江戸期、長州七代目藩主となった毛利重就は、藩財政の巨大な赤字に驚く。そして陰棲していた、かつての能吏、坂時存を起用、財政建て直しを命じる。坂時存が、奇矯にも萩城内の廊下に机を据えて事務室を設置、考え出した大胆かつ卓抜な経済計画とは何だったか?特異な時代の人間像を描いた秀作集。
1969年7月、ケネディ家末弟で上院議員のエドワード・ケネディは若い女性秘書を乗せてドライブに出た-。数時間後、クルマは橋から転落、ケネディだけが脱出し、女は水死した。警察への連絡は9時間後。いったい何が起きたのか?“ケネディ家第3の悲劇”を小説化。
郷里の村の森を出、都会で作家になった語り手の「僕」。その森に魂のコンミューンを築こうとする「ギー兄さん」。2人の“分身”の交流の裡に、「いままで生きてきたこと、書いてきたこと、考えたこと」のおよそ総てを注ぎ込んで“わが人生”の自己検証を試みた壮大なる“自伝”小説。『万延元年のフットボール』『同時代ゲーム』に続きその“祈りと再生”の主題を深め極めた画期的長篇。