出版社 : 講談社
肉体を酷使する快感を通じて現代人の不思議な生態が浮かび上がる。もう若くはない男たちが始めたバスケットボール、殴られ役のアジア人ボクサーがリングで知る真実、フリーターが挑むトライアスロン…スポーツと関わる男たちはなぜか哀しく、そして美しい。硬質の文体で奇妙な味わいを醸し出す小説集。
舗道にはザロッティの板チョコが、空一面にはとろりと溶けたクーベルチュール・チョコレート。スシャール・トブラーのミニチュア・ミルクチョコレートを手に、何もかもがチョコレートでできた街を走り抜けるマリリン。チョコレート中毒症のシュールな世界を描いた表題作を含く甘くせつない6つの短編集。
東洲斎写楽の役者絵についての精妙な分析にはじまり、“芸”という虚と実の“皮膜”の“遊び”から“役者”という虚にして虚ならず実にして実ならざる追求者に話を展開し、沢村淀五郎の芸談だとする『四徳斎雑記』を補助線として、独自な精神を奔放に飛行させる花田清輝の世界。転形期をしたたかに生きる不撓不屈の諧謔の精神。常に精神の前衛でありつづけた著者の代表的作品。
顔も知らない育ての母、自分の出生の傷が彼女の命を奪ったかもしれないという思い、育ての母の熱い抱擁の記憶とその複雑な感情。人生の半ばにて、停滞と惑いの年齢に、日々の生活の彼方から、聞こえてくる呟きにも似た静かな言葉、未明の記憶と実生活の現実。必読の最新小説。
闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた長篇小説。『羊をめぐる冒険』から4年を経た1983年、札幌を舞台に、「僕」の新しい冒険が始まる。華麗に、そしてハードに、運命のステップが踊りつづけるーー。
本選集は日本推理作家協会が、1990年に雑誌等に発表された夥しい短篇推理小説から、すぐれた19篇の傑作を選出して、推理小説界とSF界の1990年の展望と共に収録した代表作アンソロジー「決定版推理小説年鑑」です。
極秘開発中だった特殊戦闘ヘリコプターが奪取され、その行方を追う巨大な機関と、それを妨害する謎の組織。この二大組織の陰謀で父母を惨殺された美少女・美里は、仇と狙う両方の頭目を追って、壮絶な闘いの渦へー。一方、彼女を守って、大市街戦の只中へ躍り出たのは、かの伝説の英雄・矢沢高雄。
大手スーパー「ドライブ」が狙う、次の標的は中堅の「白梅」。社長の二本柳太郎は、ニヒルな男・平尾剛に密命を下した。手段を選ばず、どんなことをしてでも乗っ取れ!スーパーマーケット戦争が始まった。生きるか喰われるか、攻めるものと守るものの虚々実々の駈け引き、激烈な舞台裏を描いた経済小説。
猿沢秀彦、古丹神人、比嘉隆晶、遠田宗春のジャズ・カルテットが、ハリウッド・ジャズ・フェスティバルに招かれた。が、宿泊先のモーテルで米人女性が殺され、猿沢が逮捕される。被害者の夫には恐るべき過去が。4人の超能力者は復讐鬼との死闘に臨む。『般若』の能力を生まれ持つ猿沢の思念が冴える。
昭和11年2月26日の未明、大雪の東京で陸軍皇道派青年将校が約1400名の兵を率いて「昭和維新」をめざすクーデターを決行。首相・陸相官邸・警視庁へ殺到した蹶起部隊と対峙する警察当局は…。国家の危機のさなか、要人警護に身命を賭し、重臣の盾となった警察官の苛烈な命運を描く。
恋人を京都駅に見送りに来ていて知り合ったOLふたり。麻子は結婚を切望してその資金作りに躍起。そしてまゆみは不倫の恋の相手と別れ話の最中にある。お互い順調に進まぬ恋に悩みながら株に走るが、やがて奇怪な殺人事件が相次ぎ、ふたりは疑惑の渦中に…。株ブームと推理を融合させた好長編。
「あなたが父を殺した。なぜ、なぜ行かせたんです?教えてください」少年の声は歓呼にかき消されていた。人人は立ち上がって、喝采を送りつづけている。だが、少年は2度と昔の彼に戻ることはないのだ。-湾岸戦争の「大勝利」に酔う先進諸国の読者に贈る、汚い台所を描いた傑作戦争小説。
神はいかなる過ちを罰するために中東の地に資源を、そしてその地の人民に悲惨な運命を与え給うたのか。エリトリアで起きた戦争は内乱寸前のソ連、経済破綻に喘ぐ米国、石油ショックの日本にリンケージして、世界大戦へと突き進んでいく…。大佐フォーガティは無言で死地に向かって旅立っていった。
孤独の彼方の一筋の光のごとき夢…。都会の片隅、一人の若い女性の心の中にひっそりと咲く夢を描き、ひとのかたちとひとの棲む此の世のかたちを清澄な筆致で確実に捉える純文学連作長編小説。