出版社 : 講談社
彼女のもとに1通の招待状が届いた。書かれていたのはー“参加費50万円”“幸せで安全な出産と、愛する我が子の輝かしい未来を獲得する未曾有のチャンスを進呈”“デリバリールームへの入室が必須”尋常ではない申し出に困惑しつつも、宮子はこの招待を受けることにする。それぞれの事情を抱えた妊婦5人がそこに集った。一体何が始まるのか?そして誰に安産の女神は微笑むのか!?
第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」 元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。 途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。 これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。 刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 序章 宣告 第一章 身元不明者 第二章 行動監視者 第三章 犯罪当事者 終章 残された時間
★★★「半沢直樹」シリーズ6年ぶりとなる待望の最新作!★★★ 半沢直樹が絵画に秘められた謎を解くーー。江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の真骨頂ミステリー! 「やられたら、倍返しだ」。 明かされる真実に胸が熱くなる、シリーズの原点。 大ヒットドラマ「半沢直樹」シリーズ待望の最新刊、ついに登場! *** 東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはーー。 ***
婚約したものの、事情により、まだ結婚には至っていない百瀬と亜子。二人が喫茶店にいるとき、「ちょっと見ててもらえますか」と、百瀬の腕に渡されたのは、赤ん坊だった…!一方、上京してきた正水直は、入学金詐欺に遭い、途方に暮れていた。しかし人を助けたことがきっかけで春美と出会い、百瀬のもとへたどり着く。さらに、「死なない猫」の相談まで舞い込み、百瀬は今日も奔走中、事務所は一層賑やかに!果たして、百瀬と亜子の関係はどうなるー!?
母子二人暮らしのアパートで発見された、女性の変死体。亡くなっていたのは母親、そして殺してしまったのは、日々虐待を受けていた小学生の娘だった。事件以降、“人”が変わったような言動をとりはじめる少女。何かが、おかしい。原因は過度の精神負荷による、解離性同一性障害……多重人格のせいなのか。ではーー「私の中にいる」のは、誰? 『人間に向いてない』で注目の著者が、読者に突きつける社会の底。
なんの捻りもないコメントだけれど、捻る間も惜しんで勧めたい。 とにかく読んでください。自分が書いたことにしたいくらい大好きな作品。 ーー尾崎世界観 (クリープハイプ) 29歳、戦慄のデビュー。第14回小説現代長編新人賞 奨励賞受賞作。 関西弁で押し進めるテンポが軽やかで、少年期を関西圏で過ごした私には妙に納得が行くリズムと“間”があって、この作者の声が聞こえて来る気がした。少年期の多感な情熱と、不安、悩みもよくうかがえた。これは文章における才能である。 ーー伊集院静 一番に推した。(略)全体として密度が高く、エモーションや怒りのようなものが持続し、台詞も臨場感のあるものだった。また、永山則夫と比較される覚悟を感じ、その点に特に好感を抱いた。 ーー宮内悠介 【内容紹介】 ある日、死刑囚・中村は、出版社の社員から、これまでの半生について手記を書くよう手紙で促される。そこで中村は自身の半生と、因縁の男・島田との関係を綴り始めることになった。困窮した家庭に育った中村と、地元でも有数の実業家一族の島田の二人は、一度は中学で同じ不良グループに属していたが、島田の度重なる裏切りに業を煮やした中村が殴り合いの喧嘩の末、島田と縁を切ることに。 その後、上京して会社員となり、結婚して幸福な生活を送っていた中村は、父の重篤の報を受け、看病のため久しぶりに帰郷する。そこに一族の経営会社を引き継いだ島田が現れ、二人は十数年越しに再会を果たす。直後に襲った株価暴落もあり、過去の蟠りを払拭して彼の会社に入社することを決意した中村だったが、そこにはなんと犯罪や不貞が横行する世界が待ち受けていたのだった。島田に妻を寝取られ、またしても裏切りにあった中村は、遂に怒りを爆発させ、凶行へとひた走るーー。
これは私の最後の恋、なのだろうか。 妻でもなく、母でもなく、娘でもなく、ひとりの女になりたい。 恋愛小説の名手があなたを揺さぶる。 赤澤奈美は47歳、美容皮膚科医。カメラマンだった夫とは別れ、シングルマザーとしてひとり息子を育て、老いた母の面倒を見ながら仕事一筋に生きてきた。ふとしたことから、元患者で14歳年下の業平公平と、事故に逢うように恋に落ちてしまう。心を閉ざすように生きてきた奈美の、モノクロームだった世界が、色と音を持ち始めた。 もう一度、軽やかな私へ 美しい人生讃歌小説 ”本読みのプロ”たちから、続々と応援コメントが到着! タイトルのストレートさにざわついた。主人公の年齢も窪さんと重なっており、否が応にも自身の恋愛観や体験、女としての感情が色濃く反映されている。ぜひ、体性感覚で堪能していただければと思うーー唯川 恵(作家) 生傷から血が滴るような序章にぐっと気持ちを掴まれた。恋とは時に凶器にもなり得ることを改めて突き付けられたーー山本文緒(作家) 渡辺淳一の『失楽園』と好対照を成す作品。人生の秋を迎えた女性を主人公にして、女性の性を通した命の在り処に切り込んだのだーー内藤麻里子(書評家) 一人の女として、いくつになっても誰かを恋する自由を、そのことがごく当たり前のこととして認められる自由を、心を縛られない自由を欲しいのだーー吉田伸子(書評家) 一人の女性の鮮烈な生き様を描いた作品。ままならぬ空気の中で運命に翻弄されながらも強かに生きる女性の姿は著者の生き方そのものだーー内田剛(書評家) 大人になってこそ恋が必要なのかもしれない。年齢でもなく、世間でもなく、自分への諦めでもなく。だれかに恋をすることが、世界をちがったものにしてくれるーー三宅香帆(書評家) 担当者より 大きな翼を持つ人生讃歌小説 かつて小説雑誌がたくさん読まれていたとき、「中間小説」と呼ばれるジャンルがありました。もともとは、純文学と大衆小説の中間の作品、と言った意味合いで、人生そのものを活写した大人の読み物がそれに当たると言われています。 窪美澄さんは、中間小説の当代一の書き手だなあとこの作品を読んで改めて感じました。人生には素晴らしいこともたくさん起こりますが、理不尽なこともたくさん転がっています。現実の憂さを、痛快なエンターテイメント小説で晴らすことも素敵ですが、窪作品のように理不尽を直視しつつ読者に寄り添ってくれる小説が、もっともっと読まれて欲しいと思います。 本作品の中心テーマは「アラフィフ女性の恋」ですが、それにとどまらない大きな翼を持っています。ぜひご一読ください。
大学生の“俺”は、気がつくとオンラインゲーム“グラナシエールの創世”の世界にいたー自らのPCである魔導学者・宵月として。ログアウトもできず、右も左も分からないゲームの世界。森で出会った双子の獣耳少女レフとライ、半竜人の青年ジェイスと行動を共にし、手探りの冒険が始まった。宵月の武器は、神の叡智を宿す三冊の魔道書のなかでも最強の“瞑闇の書”-通称“黒本”。旅を進めるうち、残りの“赤本”“白本”を持つプレイヤーたちもこの世界に来ていることを知りー!?
天才的な数学の才能を持った高校生、上杉和典は校内の理数工学部に所属している。今年から部員でリーマン予想の証明に取り組んでいたのだが、和典は皆で議論を戦わせながら進めていく方針にどうにもなじめない。皆は合宿でリーマン予想に取り組むというが、和典はひとりで証明に挑戦するため、長野の山奥で夏休みを過ごすことにした。ここは古くから高校生や大学生、予備校生を対象に学生村を開設しており、和典の学校でも募集の告知があった場所の一つだった。 和典はそこで、ホームステイをしながら数学に没頭しよう、そう意気込んでいたーー。 ステイ先に到着するやいなや、問題に取り組む和典。だが、不注意により書き込みをしていた紙を飛ばしてしまう。すべて回収したと思いきや、一部垣根を越えてよその家まで飛んでいってしまったことが分かる。 そしてこの飛ばしてしまった紙が、和典に思いもよらぬ出会いをもたらすことになるとは、誰も知る由もなかったーー。
レトロゲー風の迷宮では「アイテム倉庫」でしかなかったニンジャのカナタと司教のアーウィアは、女神の気まぐれアップデートを乗り越え、今ではそこそこの腕前を持つ冒険者として、迷宮第6層での戦いにいそしんでいた。しかし、アップデートの影響で、これまでの「設定」がなくなり、一部の冒険者たちが戸惑う場面も少なくなかった。 そんなある日、カナタとアーウィアはパーティの人員を増やすべく仲間探しを始める。迷宮のアップデートにより、これまでの仲間が出世したり、カナタらと同じように「アイテム倉庫」だった無数の雑魚冒険者たちが、自我を経て普通の冒険者として迷宮にあふれかえっていたので、カナタたちのパーティも必然的に人員不足になっていたのだ。そんな中二人は、ある出来事から知り合った貧乏エルフのルーと、気弱なドワーフのギドーという仲間を見つけ、新たなパーティの仲間として一緒に迷宮探索に出るのだが……。
池袋のアパートでシングルマザーの死体が発見された。真っ先に現場に駆けつけた神崎と黒木は、残された幼い娘を前に犯人検挙を誓う。ところが翌日、2人は突然、捜査本部から外されてしまいー。「池袋の治安を守るのは俺たちの仕事だ。困っている人がいたら見過ごすわけにはいかないだろ」。ドラマ原作、シリーズ最新作。
日本初の女性海保潜水士、挑戦と勇気の物語。 “初”だからこその悩みと光。絆の大切さを感じられる、感動の物語です!-岩崎恭子さん(オリンピック200m平泳ぎ金メダリスト) 母なる海の守護神たらんとする海上保安官の心を描いた傑作だ。-佐藤雄二氏(元海上保安庁長官) 女性の自立と家族愛は超ハートフル、手に汗握るサスペンスはVRシネマ級! (あらすじ) 女性初の潜水士として注目を集める、横浜海上保安部所属・忍海愛。兄は特殊救難隊、父もベテラン海保潜水士で血筋は折り紙付き。しかし、愛は現場には気を使わせるお荷物だ。覚悟して海に対峙する愛を待ち受けていたのは、とんでもない事件だった。 推薦・感動の声続々!! 期待を浴びて華麗にデビューした海の蝶。 音も色もない水の中で感情は研ぎ澄まされ、 喪失のトラウマは怪物となって命を脅かす。 それでも潜らなければならない理由がある。 覆すのは常識だけではない。救うのは人の命だけではない。 プロフェッショナルとしての決意と覚悟が伝わる。 前代未聞の感動がここにある! 内田剛氏 (ブックジャーナリスト・本屋大賞実行委員会理事) 「足かけ二年に渡る海上保安庁取材で見聞きした海上保安官の精神『正義仁愛』こそが、この本のテーマであり、矜持です」-吉川英梨(著者)
千年後の時代に転生した最強の魔導士クルトと、 クラスメイトのララ、マリーズ、シンシアたちは、 ロザンリラ魔法学園の地下に存在する、 《宝物迷宮》の最下層・百層をとうとう攻略する。 学園長ディアナによれば、百層を攻略したのは、 クルトたちの他にはもう一人だけらしい。 そのもう一人である、 大賢者アヴリルに会いに行くことにしたクルトたち。 だが、出会ったアヴリルは、どう見てもいたいけな幼女で……!? 最強魔導士の転生無双ファンタジー第三弾!
第14回小説現代長編新人賞受賞作。 現代の社会が抱える問題と巧くリンクさせ、登場人物の置かれた環境や心情を通じて難民や移住外国人の受け入れ、違法労働について投げかけてくるところに作者の並みならぬ手腕を感じた。 ーー朝井まかて 小説の主軸は三人の女性それぞれの日常にある生きづらさの描写にあり、それが作者と地続きのテーマであるだけに、とてもよく描けている。 ーー中島京子 3人の女優が名演技を魅せる舞台劇のような佳作だ。突きつけられた問題は深い。 ーー出口治明 (APU学長) 異国の地で生まれたこの小説は、タフで真面目で意表をつく。 ーー筒井ともみ (脚本家) それぞれの女性が何やら糸で繋がっている気配もよく描けていた。才気が随所に感じられた。 ーー伊集院静 人々の出来事や心の動きが丁寧につづられ、読んでいて好感を抱くものだった。 ーー宮内悠介 惑星難民に拘らず、今を生きる私たちの世相を風刺している。 ーー紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子 20xx年、惑星難民xの受け入れが世界的に認められつつあるなか、日本においても「惑星難民受け入れ法案」が可決された。惑星xの内紛により宇宙を漂っていた「惑星生物x」は、対象物の見た目から考え方、言語まで、スキャンするように取り込むことが可能な無色透明の単細胞生物。アメリカでは、スキャン後に人型となった惑星生物xのことを「惑星難民x」という名称に統一し、受け入れることを宣言する。日本政府も同様に、日本人型となった「惑星難民x」を受け入れ、マイナンバーを授与し、日本国籍を持つ日本人として社会に溶け込ませることを発表した。郊外に住む、新卒派遣として大手企業に勤務する土留紗央、就職氷河期世代でコンビニと宝くじ売り場のかけもちバイトで暮らす柏木良子、来日二年目で大学進学を目指すベトナム人留学生グエン・チー・リエン。境遇の異なる3人は、難民受け入れが発表される社会で、ゆるやかに交差していく。
昼は花魁、夜は鬼斬り。大人気和風ファンタジーシリーズ、ついに完結! 義理の兄・惣之丞の目的は、差別撤廃にあった。そのためには肉体も魂も売り、最強の鬼、将門の復活を目論む。惣之丞のやり方が許せない一方、「差別撤廃」という言葉に瑠璃の心は揺れる。一方で、瑠璃の身体は飛雷に乗っ取られようとしていた。瑠璃の過去と龍神たちの想いが明らかになり、最強の鬼との最終決戦を迎える、シリーズ最終巻。
正義の鉄槌? なんて柄じゃないけど オレオレ詐欺に遭った「角のおばちゃん」の仇を取ろうと 証拠をつかんだ詐欺集団を匿名で警察に通報したつもりが、 逆に逮捕を逃れた残党に居場所を知られ、復讐の標的に。 背後の組織をつかみ切れない奈美が選んだ窮余の策とは? 企業のトラブル請負という仕事をめぐって最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつかず空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。 久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。 奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る……。 満身創痍の西澤奈美、絶体絶命!
第42回吉川英治文学新人賞受賞作!! 時間も金も、家族も友人も贅沢品だ。 共感度120%で大反響、続々重版! 「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者が、息詰まる「現代」に風穴を開ける会心作! 遊ぶ時間? そんなのない。遊ぶ金? そんなの、もっとない。学費のため、家に月8万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩。浪費家の母を抱え、友達もおらず、ただひたすら精神をすり減らすーーそんな宮田の日常は、傍若無人な同級生・江永雅と出会ったことで一変する! 愛情は、すべてを帳消しにできる魔法なんかじゃないーー。 息詰まる「現代」に風穴を開ける、「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者の会心作!
教師の田附悠成は、過去へ遡って友人たちに憑依するという特異能力を持つ。だが誰に憑くかは選べない。確実なのは、恩師の義理の息子が殺された22年前に戻ってしまうことだけ。身をもって体験する友人たちや被害者の不可解な行動、そして隠された女の死。迷宮入り殺人事件の“あの日”を繰り返す田附が辿り着いた驚愕の真相とは?
櫛職人の又五郎は「お笑い」好きの粋な旦那衆が揃う“噺の会”の下っ端ながら、大坂からやって来たお笑い芸人を向こうに回し、ここでやらなきゃ江戸っ子の名折れとしゃしゃり出る。が、急ごしらえの寄席はたった五日で店仕舞い。自分のあまりの不甲斐なさに江戸の街を飛び出した又五郎、百戦錬磨の芸人たちが集う街道沿いの宿場町、越ケ谷・松戸で揉まれて丸二年。修業の末にようやく掴んだ前代未聞の即席芸“三題噺”で一世一代の大勝負に打って出る!