出版社 : 集英社
検非違使庁の髭麻呂こと藤原資麻呂は、血を見ただけで卒倒する軟弱な優男。今宵も国司の娘が殺されたと聞き、いやいやながら従者の雀丸と六条へ。現場からは、高価な宝玉が盗まれていた。折しも、飢饉と天変地異が続き、治安は乱れ“蹴速丸”という盗賊が、都を騒がせていたのだが…。衛士の娘・梓女との恋模様を絡めつつユーモラスに描く連作平安期ミステリー。
もうひとつの「風の又三郎」や「注文の多い料理店」は、どんなお話?壊れた時間の往人たちがおくる、真夜中のヒットパレード!現代の“ミヤザワケンジ”が描く、24の物語。
大手観光バス会社をリストラされ、超弱小“すずめバス”にガイドとして再就職した町田藍。初仕事はなんと“本物の幽霊を観に行く”怪奇ツアー。実は藍は霊感体質。ガイドを担当したツアーで目的地の寺に見事に(?)幽霊が出たため、“すずめバス”の怪奇ツアーは大人気!藍は毎晩とんでもない謎と怪奇に挑戦することに…。“霊感バスガイド”が大活躍する異色シリーズ第一弾。表題作ほか全五篇を収録。
斬られても、斬られても、守りたかったひと。 斬られ権佐ーー愛するひとを救うために負った刀傷から来た呼び名。彼は捕物の手伝いをし数々の事件を解決する。だが娘が犯罪に巻き込まれーー。愛の強さを描く感動時代小説。(解説・藤水名子)
こんな結婚しなきゃよかったー三十歳にして家庭生活に絶望した綾は、子育てを放り投げ、「出会い系」にのめり込んだ。見つけた相手は自称作家の中年男。ついに不倫を体験した綾は、自分が飢えていたのは、愛でも性でもなく、危険な刺激だと気がついた。夫を困らせること、いっぱいしたいー屈折した形の復讐は、万引き・詐欺・AV出演とエスカレート。そして禁断の遊びは、究極の犯罪へ…。
殺人スカーフを武器に紀元前からインド亜大陸で大量の絞殺を続け、植民地英国軍も震撼させた末、凄絶に滅亡した謎の集団“タグ”がインド史の闇から甦る。平成16年新田次郎文学賞作家、東郷隆の新境地、渾身の歴史奇譚。
拾ったボトルの地図に案内されて、たどり着いたのはオマツリ島。オマツリ男爵のオマツリパークときたら、そりゃもうオマツリ騒ぎ!ルフィたちを待ち受ける、金魚すくいや輪投げの遊び、いや、地獄の試練…!?劇場用長編アニメ小説化。映画とはひと味違うルフィたちの活躍をご一読あれ。
豪華客船で行われるエキジビションマッチに招待された青学メンバー!練習試合からスーパープレイを連発する彼らにスタンドも沸く。そんななか、リョーマを見つめるひとりの少年がいた。「待ってたぜ、チビスケ…」その夜、主催者の桜吹雪に呼ばれた手塚たちは、この対抗試合に隠された彼の陰謀を聞かされる!真相を知った青学メンバーは…!?跡部景吾が活躍する書き下ろしの短編も収録、劇場版アニメのノベライズ。
「悪夢は悪魔、どうかよい夢に恵まれますように」毎夜、オテルモルには眠りを求めて人が集う。しあわせな眠りを提供する不思議なホテル。日常からほんの少し乖離した世界でもたらされる物語。チェックイン…日没後;チェックアウト…日の出まで最高の眠りを提供するホテル…オテル・ド・モル・ドルモン・ビアンホテルのフロントで働き出した希里が知る、優しい対峙の仕方。
前作『ウィンドローの呪い』の続編。ウィンドローの呪いは、まだ解けてなかった。ある日、ジョニーは悪い夢で目覚めた。町はずれにある古い校舎に行くと、ゼブルン・ウィンドローと名乗る黒いローブ姿の男に会う。彼はジョニーの脳に直接語りかけ、ウォーレン・ウィンドローの魂がまだ地上をさまよっている、と言う。その夜、ジョニーは昏睡状態に陥った。1880年代に材木業で財をなしたゼブルンは、ハドソン川を見下ろす小高い丘に教会と屋敷を建てた。呪いの原因は、ウィンドロー家に伝わる“契約の箱”とともに消え、ゼブルンが墓に隠したとされる“ウリムとトンミム”に関係がある、とクート教授は推測。チルダーマス教授はジョニーを救うためファーギーと教会のある町をめざした…。
金貨や銀貨と、町民が普段使う文銭とを両替する銭売り。賽蔵は「二分金千両を目の前にして、眉ひとつ動かさなかった男」、「いまどき、カネに転ばない男はめずらしい。心根がいやしくないからこそ、できることだ。目に曇りのないあの男なら、どんな大仕事でもやり遂げるだろう」と言わせる男だった。江戸庶民のたつきを生き生きと描く長編時代小説。
子ども虐待。犯罪被害者…。社会派の書き下ろし。 担任した児童が親の虐待で死亡し、教師を辞めた真壁。恋人の夏美は娘への暴力を止められず苦しんでいる。一方、夏美の隣人・野口はかつて…。親と子の深淵と再生を描く渾身作!(解説・小梛治宣)
幼いわが子がガンを宣告されたら?そしてあらゆる手を尽くしても死なねばならなかったとしたら?新進気鋭の文芸評論家フォレストにこのうえない悲しみが降りかかった。最愛の娘ポーリーヌが小児ガンで亡くなったのだ。まだ4歳だというのに…。本書は娘の発病から死に至るまでを綴った父親の闘病の記録である。フェミナ処女作賞受賞。
60を過ぎた老批評家ケペシュに美しい乳房を持つ若い愛人ができた。美しい体への執着は、せまりくる老いと生への渇望を想起させ、初めての嫉妬にとらわれる。そして大きな喪失感に苛まれた別れから8年、ふたたび彼の前に現れたとき…。「死にゆく獣」としての男の生と性への執着を赤裸々に描くフィリップ・ロス円熟の代表作。