出版社 : 集英社
北京からパリへと書き継がれ、7年の歳月をかけて完成。癌を宣告された男の放浪と魂の彷徨を描き、ホメロスの叙事詩に擬せられ、「東洋のオデュッセイア」と讚えられる。本書によって、中国人作家初のノーベル賞受賞となった待望の翻訳刊行。
ついに父を殺してしまったヒカルは、組織に追われる一匹狼のヤクザ・鉄男に導かれ、ともにオートバイで放浪の旅に出た。西へ、北へー。二つの孤独な魂の果てしない逃避行は続く。そして、ひたすらに走り続ける鉄男との旅はヒカルをいつしか大人の男へと成長させるのだった。一方、残された萌子や夏美、母の真莉子にもさまざまな転機が訪れ、やがて悲劇の歯車は少しずつ回り始める…。
家賃12000円。早稲田の超ボロアパート野々村荘はケッタイな住人だらけ。三畳一間の私の部屋は探検部のタマリ場となり…。限りなく「おバカ」な青春を描いた書き下ろし傑作。(解説・吉田伸子)
臣従を申し出た呉の孫権が蜀と同盟した。魏の曹丕の怒りはおさまらない。魏軍は南征するが、長江を前に愕然とする。対岸一帯に戦闘用の楼郭が聳え立っていた。疑城であるとは知らず、魏軍は撤退を余儀なくされる。さらに翌年も猛烈な寒波に襲われ、またも敗退せざるを得なかった。一方、蜀の孔明は魏への北伐を決意し、劉禅に「出師の表」を奉じる。連携して、呉の陸遜は淮南に兵を進めた。
鳥のように空を飛びたい!本邦初のハンググライダーを作った男・頓所好勝。彼と、その夢を共有した男たちの熱い闘い。感動のノンフィクション・ノベル。戦前、たった一人で見事なハンググライダーを作った男とは、どういう人物なのか?航空の歴史ともいうべき1900年代、表舞台に立つことはなかったが、空を飛ぶ夢の実現に賭けた男の人生を描く。
大学受験に失敗した諸口ヒカルは、有名作家である父親に抑圧され、鬱屈した日々を送っていた。恋人の萌子とオートバイだけが救いだった。しかし、萌子が妊娠してしまい、追い打ちをかけるように、父の盗作事件が発覚する。そして、ついにヒカルの鬱屈は臨界点を超えてしまうのだった…。風に吹かれて、転がって、痛いほどに純粋な青春が鉄馬に乗って、走り出す。行く先は、再生か破滅か。
精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始めるー。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
魏の曹丕、蜀の劉備、呉の孫権。天下は三分された。孔明に諌められ一度は東征を断念した劉備だが、関羽の弔い合戦を果たそうと画策。ついに蜀軍は呉に向けて東進する。孫権は苦しい選択を迫られた。劉備の軍を迎え撃つ間に、北方から魏に攻め込まれたなら万事休す。双方を相手に戦う力など呉にはない。止むを得ず陸遜の言に従い、魏の曹丕に臣従を申し入れるが…。
図書館を出たブルームは、モリーのために猥本を探し、酒場でナショナリストと口論。浜辺で若い女の下着に欲情、モリーら女たちに思いを巡らす。読みやすい訳文、詳細な訳注で大作の全体像に迫る。
ジャンナは高級女性誌の有能でファッショナブルな副編集長。数年前に夫と母を癌で亡くして、彼女の人生は大きく変わった。ひとりぼっちになったジャンナは、もう若くはなく、よりどころもない自分のもろさをはじめて意識する。そんな時、近所の薬局で90歳過ぎの貧しい独り暮らしの老女モーディーと出会い、その独立心旺盛な強い個性に惹かれ、しだいに人間的な絆で結ばれてゆく。老いの孤独と仕事をもつ女性の問題に真摯にむきあい、切なくもしみじみと深く胸を打つ、正真正銘の感動作。
2009年、ヒートアイランド化した東京。神楽坂にはアザーンが流れ、西荻窪ではガイコクジン排斥の嵐が吹き荒れていた。破壊者として、解放者として、あるいは救済者として、生き残る少年/少女たち。これは真実か夢か。『アラビアの夜の種族』の著者が放つ、衝撃の21世紀型青春小説。
痛む箇所を痺れさせ、気にならないようにしてしまう。できすぎた身体、できすぎた心。その傷に真正面から向き合う、それがスポーツドクター。小説すばる新人賞受賞作『ジョッキー』の新鋭が描く書き下ろし長編小説。バスケットボールの部活動に潜む思わぬ危険、プロを目指すリトルリーグ投手の怪我、トップ競泳選手のドーピング疑惑…。スポーツドクター・靫矢のもとを訪れるアスリートたちの光と影。
呉の魯粛の訃は、関羽にとって何よりの朗報だった。これで荊州は蜀のものと信じ、北上して魏を攻める。しかし兵糧不足に陥り、呉蜀共同の備蓄米に手をつけた。呉にとっては蜀を攻める恰好の口実ができた。孫権は即、出陣を命じる。前線に魏軍、背後に呉の大軍を受け、関羽はついに呉軍に捕らえられ、非業の死を遂げた。呂蒙もまた、病に斃れる。さらに乱世の姦雄・曹操も逝く。
一五三六年、パリ。ある靴職人が行方不明になった。その事件に着手した新米夜警隊長ドニ・クルパンは、元家庭教師で天才的推理力を持つ神学僧ミシェルに協力を求める。二人が捜査を進めるうちに、やがてパリの闇夜にうごめく巨大な陰謀が明らかに…。宗教改革という時代のうねりの中、セーヌ左岸の学生街「カルチェ・ラタン」を舞台に繰り広げられる冒険と青春群像。西洋歴史小説の傑作。
一時は盗賊に落ちた千造だったが、亥吉と再会するや、共に組んで商人道を歩むようになる。江戸庶民感覚の小料理屋と、食器専門店を繁盛させた二人は、さらに利幅の大きな新商売を画策。時代を一歩先取りした商いを自ら考えだし、次々とこれに挑戦していく。二人には十年先が見えるのだ。とうとう亥吉は町を束ねる要職にまで担ぎ出された。意地の商人道を描く痛快巨編。
旅行先で見つけた“チルダーマス時計”のなかのどくろ。以来、つぎつぎと不思議なことが起きた。どくろに触れた教授は失踪するし、一方ジョニーは毎晩、悪夢に悩まされた。神父の十字架が謎に迫る!シリーズ第2弾。