小説むすび | 出版社 : 集英社

出版社 : 集英社

土に贖う土に贖う

出版社

集英社

発売日

2019年9月5日 発売

大藪春彦賞受賞第一作! 明治時代の札幌で蚕が桑を食べる音を子守唄に育った少女が見つめる父の姿。「未来なんて全て鉈で刻んでしまえればいいのに」(「蛹の家」) 昭和初期、北見ではハッカ栽培が盛んだった。リツ子の夫は出征したまま帰らぬ人となり、日本産ハッカも衰退していく。「全く無くなるわけでない。形を変えて、また生きられる」(「翠に蔓延る」) 昭和三十五年、江別市。装鉄屋の父を持つ雄一は、自身の通う小学校の畑が馬によって耕される様子を固唾を飲んで見つめていた。木が折れるような不吉な音を立てて、馬が倒れ、もがき、死んでいくまでをも。「俺ら人間はみな阿呆です。馬ばかりが偉えんです」(「うまねむる」) 昭和26年、最年少の頭目である吉正が担当している組員のひとり、渡が急死した。「人の旦那、殺してといてこれか」(「土に贖う」)など北海道を舞台に描かれた全7編。 これは今なお続く、産業への悼みだーー。 カバー画:久野志乃「新種の森の博物誌」 【著者略歴】 河崎秋子(かわさき・あきこ) 1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞を受賞。『颶風の王』で2014年に三浦綾子文学賞、2016年にJRA賞馬事文化賞を受賞。2019年『肉弾』で大藪春彦賞を受賞。

赤の大地と失われた花赤の大地と失われた花

奪われた人生を取り戻す。オーストラリアに咲く花とともにーー 30か国で版権を取得。ドラマ化も決定した、少女と勇気の物語。 「自分の物語の価値と力を疑う女たちに、本書を捧げる」--著者 天気のように機嫌が変わる父、優しくも悲しそうな目をしていた母。火事で両親を亡くしたアリスは、わけもわからぬまま、初めて会う父方の祖母に引き取られることになる。連れていかれたのは、オーストリア固有種の花を育てる花農場。そこで働き暮らすのは、世間から爪弾きにされた女たちだった。 心に大きな傷を抱えたアリスを救ったのはオーストラリアのネイティヴフラワーの花言葉、 そして、悲しみを抱えた女たちの強さと優しさーー 自己や虐待、DVなど、自らの価値を失った少女が、自分の言葉と物語を見つけるまでを描く、衝撃のデビュー長編。 The Australian Book Industry Awards受賞、2020年配信ドラマ化決定! 【著者略歴】 ホリー・リングランド HOLLY RINGLAND オーストラリアのクイーンズランド州南東、母親の熱帯植物の庭で、裸足で駆け回って育つ。9歳の時から2年間家族と共に北米でキャンピングカー暮らしをしながら各地の国立公園を旅したことがきっかけで、様々な文化と物語に興味をもつようになる。20代の頃、オーストラリア中央部の砂漠地帯にある先住民族のコミュニティで4年間働く。2009年にイギリスへ渡り、2011年にマンチェスター大学で創作の修士号を取得。現在はイギリスとオーストラリア双方を行き来する日々を送っている。エッセイや短編がアンソロジーや文芸誌に掲載され、2018年に本書 THE LOST FLOWERS OF ALICE HARTで長編デビュー。既に30か国で版権が取得され、2019年にはThe Australian Book Industry Awardsの一般文芸書部門を受賞した。配信ドラマ化も決定している。 【訳者略歴】 三角和代 みすみ・かずよ 福岡県生まれ。西南学院大学文学部外国語学科卒。英米文学翻訳家。 主な訳書に、ヨハン・テオリン『黄昏に眠る秋』(ハヤカワ・ミステリ文庫)、サラ・プール『毒殺師フランチェスカ』(集英社文庫)、キャシー・アンズワース『埋葬された夏』、ジョン・ディクスン・カー『盲目の理髪師』(以上創元推理文庫)、キジ・ジョンスン『霧に橋を架ける』(創元SF文庫)、ジャック・カーリイ『百番目の男』(文春文庫)など多数。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP