出版社 : 鳥影社
房総の海を眼下に立つ山之井酒造。父が廃藩を機に引き受け、当代が引き継いだ。元禄の年、地が鳴り海嘯が迫った。歴史小説五編。
岐阜県郡上市に残る歴史ロマン第3弾! 時は文明開化の明治。だが変わらぬ農村の貧しさゆえ、遊女に身をやつしたヒロインが純愛を貫く物語〈第五話〉 昭和の戦争で海に散った若い兵士の魂が、著者の今に甦る。マリンブルー、ライトグリーンの海と森がつなげる不思議な縁〈第六話〉 郡上市大和町周辺の地図 第五話 ケヤキノ コエガ キコエル〔明治時代〕 プロローグ カナシイ木 ── 明治時代への時の扉 一、シャガ 二、アヤメ 三、ヒガン花 ❖郡上から世界へ の放つ人々8 第六話 森と海と〔昭和時代〕 プロローグ 緑の海底 ── 昭和時代への時の扉 一、藤 二、すずかけの実 三、ムクゲ ❖郡上から世界へ の放つ人々910 エピローグ 一、かごの鳥 二、森の鳥 三、囲炉裏火 ── 未来への時の扉 ❖郡上から世界へ の放つ人々1112 参考文献 後書き
仮想と現実を巡る圧倒的言葉の世界。きれいごとを吹き飛ばす圧倒的描写力によって日常世界がめくれあがる。見慣れたはずの外界が何かおかしい。人間の嘘がべろりと浮かび上がる。人間とは何ものか。一見そうは思えないが、本書は脳と文明の虚妄をあばく恐るべき哲学小説である。『季刊文科』連載作、待望の単行本化!
一途な愛の物語 人は一途な愛に燃えているとき最も美しく輝くのかもしれない。葉山さんの小説を読むといつもそんなことを教えられ、考えさせられるが、この一冊にも純粋な愛に生きた男女の美しくも哀しい物語が集められている。それらを語る作者達意の文章は超上等なワインの味を思わせる。(文芸評論家 勝又 浩) 〈収録作品〉 ストラスブールは霧の中 二〇一六年、夏の日々 潮風の吹く街にて 墓参の日に そして、シェルターで暮らす ストラスブールは霧の中 二〇一六年、夏の日々 潮風の吹く街にて 墓参の日に そして、シェルターで暮らす あとがき 初出一覧
紙漉きの里の謎 土佐紙漉きの山村を、碩学壽岳文章夫妻の跡を追って訪ねる。と、歴史の闇のなかから、思いがけない人、物語が次々と現れて来る……。 四国を舞台に筆を振るって来た作者ならではの、工夫を凝らした意欲作である。 季刊文科コレクション 「戦乱の世に奇跡のように生み出された美」と言える土佐七色紙は、徳川時代には将軍家への献上品となっている。だが、その創製者養甫尼(ようほに)の名は発祥の地の碑文にもない……。 序文 一 成山村仏が峠 二 国虎次男探索 ─ 第一の帳面〔森木謙郎しらべがき〕 三 「安喜喜代香を問ふ」 ─ 第二の帳面〔安芸義清しらべがき〕 四 養甫尼抹消 ─ 第三の帳面〔青木幸吉しらべがき〕 五 躑躅の木の下 引用、参考文献 あとがき
これはグレニズム王国と呼ばれる地での物語である。そこに暮らす人々はアイズカラーと呼ばれる生まれつき携えた目の色により階級が決まってしまうという特殊なヒエラルキー社会で生活を繰りひろげていた。人類終焉後悠久の時をへて誕生した世界。これはまか不思議な星の物語である。人の命の尊さ人類のあり方を問いかける新作SFファンタジー。
人々の記憶を呼び起こす大阪・焼け跡三部作 大阪大空襲の焼け跡で育った少年たちの物語。 焼け跡の上にひろがっていた広大な青空……煙の都でもあった大阪、その市街80パーセントが焼け野原となり、邦夫はそこで小学生時代を送った。 その青空は違った見方をすれば希望でもあった。 焼け跡の青空 焼け跡のフィナーレ 自転車泥棒 旅日記 白鳥の歌 雨降りかぐや姫 西廻り生き直しの旅
30余年、ずっと姫たちの葛藤を描いてきた著者が新たにつづる「けんめいに愛をつらぬく乙女のお噺」。 きっとやさしい気持ちになれる…… 第一話 美夜古にて 第二話 東京にて 第三話 そらあおぐ 美夜古伝説『豊房とトミ』三刻一夜物語 ときあるき 〜あとがきにかえて〜
原子力発電所でメルトダウンを伴った大惨事に見舞われた赤間は、実は過去にも同様の惨事があった証拠となる「象の足」の秘密を知った。そのためにとうとう愛人殺しの冤罪をでっちあげられる羽目になる。謎が謎を呼ぶエンターテイメント推理小説。
出版400周年記念 ヴェールを脱いだ『金瓶梅』 『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』と並び称される四大奇書 『金瓶梅』出版400周年に送る新訳決定版 濃密かつ苛烈な人間劇と、生活の隅々にわたる飽くなき観察が渾然となった異形の傑作を、気鋭の研究者による清新な訳文で。最新研究に基づく訳注を附す。完訳三巻。 『金瓶梅』の「奇」は読者の内面に生起する。 血沸き肉躍る活劇ではないにもかかわらず、『金瓶梅』は読者の内面を平静に保ってはくれない。現実と地続きの小説空間に等身大の人物たちを緻密に描き、読者の精神にドラマを起こそうとする構想の斬新さが、『金瓶梅』を奇書たらしめている。 〈丸善出版『中国文化事典』「金瓶梅」抜粋(訳者執筆)〉
愛と憂国の闘病記。「欧米歴訪」の成果実現を目前に、馬車事故に遭遇。西郷との「征韓論大分裂」、大久保・板垣との「大阪会議」を経て「西南戦争」の悲劇に至る史実に迫る大作(下巻)。
連作短篇集 「行為のスタイル」が「存在のスタイル」でもある世界をめざして 日本にいるサトコは職場での軋轢にもがき、イタリアを旅する里子はトリノという文学の磁場で模索する。 二つの連作と屋根裏部屋の「私」の呟きが交錯する短篇集。