出版社 : 鳥影社
愛と憂国の闘病記。「欧米歴訪」の成果実現を目前に、馬車事故に遭遇。西郷との「征韓論大分裂」、大久保・板垣との「大阪会議」を経て「西南戦争」の悲劇に至る史実に迫る大作(下巻)。
とがった屋根が峰のようにいくつもあり…大きな裳階屋根がそう見せているらしく、それが一部四階のように見えた…屋根には三角窓があり、屋根裏部屋がある。角度を変えて近づくにつれ、形の変わった窓や大小のベランダが現れたり消えたりし、屋敷にはまだ煙突やら小さなたくさんの裳階屋根やら彫刻やらさまざまな出っぱりがあって、建物を複雑にしていた。「山崎の鬼」より。代表的作品を収めるアンソロジー。
「行為のスタイル」が「存在のスタイル」でもある世界をめざして。日本にいるサトコは職場での軋轢にもがき、イタリアを旅する里子はトリノという文学の磁場で模索する。二つの連作と屋根裏部屋の「私」の呟きが交錯する短篇集。
西郷・大久保が躊躇した文明開化と源頼朝以来の封建制打破を成就し、四民平等の近代国家を目指した木戸孝允の愛と憂国の生涯を描く大作(上巻)、「黒船来航」「禁門の変」から「廃藩置県」まで。
周王朝の現世的な政治権力がほぼ形骸化した春秋時代末期、揚子江流域では、闔廬・夫差率いる“呉”と、允常・句踐率いる“越”とが、それぞれの擁する重臣の強力な補佐を受けつつ急速に国力を伸張、互いに中原進出・覇者宣布をにらみながら、周辺諸国をも巻き込みつつ、三つ巴、四つ巴の激しい抗争へと突入していった。
涙と恋に明け暮れたあの頃、毎日が楽しかった、毎日が苦しかった、あのトキメキ…懐かしさいっぱいのあの時代、男女が共に初々しかった。片思い、初恋、すれ違い、実らぬ恋が多かった。あの甘酸っぱい思い出満載。
強制疎開で母親の実家がある地方の町に移り、時代は旧制中学から新制高校にかわる。一身に家族を支える母に交際を知られ泣く泣く別れた彼女との三十年後の邂逅、苦しい時代を支え続けた思い出の品を通して戦後の昭和を描く表題作はじめ、全四作。
悲喜こもごもの日常に、やがて鳴動が起き、新たな結び目がひとつ。手にとって、あなたの心と余剰次元の紐を結んでみませんか。お話は、『弟子と光量子』『辻橋通り奇譚』『あとがき物語ここで逢ったが百年目』