1979年7月発売
一 蛙の王さま (一名)鉄のハインリヒ〈KHM 1 〉 一イ 蛙の王子 二 猫とねずみとお友だち〈KHM 2 〉 三 マリアの子ども〈KHM 3 〉 四 こわがることをおぼえるために旅にでかけた男の話〈KHM 4 〉 五 狼と七ひきの子やぎ〈KHM 5 〉 六 忠臣ヨハネス〈KHM 6 〉 七 夜うぐいすとめくらとかげの話 八 うまい商売〈KHM 7 〉 九 奇妙な楽人〈KHM 8 〉 一〇 ほうちょうをもった手 一一 十二人兄弟〈KHM 9 〉 一二 ならずもの〈KHM 10〉 一三 兄と妹〈KHM 11〉 一四 野ぢしゃ(ラプンツェル)〈KHM 12〉 一五 森のなかの三人一寸ぼうし〈KHM 13〉 一六 糸くり三人おんな〈KHM 14〉 一七 ヘンゼルとグレーテル〈KHM 15〉 一八 三まいの蛇の葉〈KHM 16〉 一九 白へび〈KHM 17〉 二〇 わらと炭とそらまめ〈KHM 18〉 二一 漁夫とその妻の話〈KHM 19〉 二二 いさましいちびっこのしたてやさん 〈KHM 20〉 二三 灰かぶり〈KHM 21〉 二四 なぞなぞ〈KHM 22〉 二五 子どもたちが屠殺ごっこをした話 二六 はつかねずみと小鳥と腸づめの話〈KHM 23〉 二七 ホレのおばさん〈KHM 24〉 二八 七羽のからす〈KHM 25〉 二九 赤ずきん〈KHM 26〉 三〇 ブレーメンのおかかえ楽隊〈KHM 27〉 三一 死神とがちょうの番人 三二 唄をうたう骨〈KHM 28〉 三三 黄金の毛が三ぼんはえてる鬼〈KHM 29〉 三四 しらみとのみ〈KHM 30〉 三五 手なしむすめ〈KHM 31〉 三六 ものわかりのいいハンス〈KHM 32〉 三七 三いろの言葉〈KHM 33〉 三八 靴はき猫 三九 ちえ者エルゼ〈KHM 34〉 四〇 天国へ行ったしたてやさん〈KHM 35〉 四一 おぜんや御飯のしたくと金貨をうむ驢馬と棍棒ふくろからでろ〈KHM 36〉 四一イ おぜんと驢馬とこん棒 四二 おやゆびこぞう〈KHM 37〉
群像新人文学賞受賞 1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻りはしない──。青春の生のかけらを、乾いた都会的な感覚で捉えた、新鋭、爽やかなデビュー! この新人の作品は、近来の収穫である。これまでわが国の若者の文学では、「20歳(とか、17歳)の周囲」というような作品がたびたび書かれてきたが、そのようなものとして読んでみれば、出色である。乾いた軽快な感じの底に、内面に向ける眼があり、主人公はそういう眼をすぐに外にむけてノンシャランな態度を取ってみせる。そこのところを厭味にならずに伝えているのは、したたかな芸である。しかし、ただ芸だけではなく、そこには作者の芯のある人間性も加わってきているようにおもえる。そこを私は評価する。──吉行淳之介
シャーロック・ホームズを模して書かれた贋作と、偽作の類は、天文学的な数字に上っている。中でもダーレスの創造したソーラー・ポンズは“プレイド街のシャーロック・ホームズ”といわれるほど生き写しのキャラクターだった。その全七十編の作品中から、「アルミの松葉杖」「ファヴァシャム教授の失踪」等、聖典中の“語られざる物語”を取り上げた短編など十三編を収録した。