1986年6月発売
一人の青年が丹沢山で記憶喪失の状態で発見された。手掛りは素晴らしい迫力のトランペットと流暢な英会話ー。親切な江田刑事と娘ミズエの助けを受けながら、青年の過去を求める単独行が始まった。だが、行く手を阻む黒い魔手、そしてその向うに見えかくれする大実業家夫人の不可解な動き…。愛することの切なさと歓びを見事に讃う長編サスペンス・ロマン。
十五歳で木下藤吉郎(のちの秀吉)に仕えた虎之助(清正)は、股肱と頼む肉親の少い秀吉の重用に応えて、山崎、賎ケ嶽はじめ数々の合戦に名をあげ、ついに肥後の太守となった。小田原城を陥した秀吉を出迎えて、清正はともに故郷中村に錦を飾る。翌天正19年、太閤となった秀吉は朝鮮出兵を決意し、清正と小西行長に先鋒を命じた。
秀吉の死によって朝鮮出兵は不毛のうちに終る。清正・行長の間に根深い対立を残しただけだった。武断派と文治派を代表するその対立は、関ヶ原の勝敗を分ける決め手ともなり、世は徳川氏のものとなった。慶長16年、家康と秀頼の対面が無事終るのを見届けた清正は領国熊本でその生を終える。大阪夏の陣はその僅か4年後だった。
美しいばかりでなく、朗らかで才能も豊か。希な女主人の定子中宮に仕えての宮中暮らしは、家にひきこもっていた清少納言の心を潤した。平成の才女の綴った随想『枕草子』を、現代語で物語る大長編小説。
美しいばかりでなく、朗らかで才能も豊か。希な女主人の定子中宮に仕えての宮中暮らしは、家にひきこもっていた清少納言の心を潤した。平成の才女の綴った随想『枕草子』を、現代語で物語る大長編小説。
イベリア半島の農村と都市を舞台に、そこに生きるラテン的でしたたかな人々の生と死を、医者と作家の眼で描く現代ポルトガル文学を代表する作品集。ここに表現された世界は“生きることの悲劇”という文学の永遠のテーマである。