1987年発売
5万年もの過去で、現在に戻る道を模索するローダンは新たな手を打った。ハイパー波であろうと、エネルギー・ビームであろうと、その他あらゆるエネルギー流を利用して移動することができるミュータント、パラスプリンターのウールヴァ兄弟を出動させたのだ。彼らがめざすのは、カハロに駐在する島の王たちの時間エージェント、フラスブール。彼を捕えれば、現在へ帰還する方法を探りだせるかもしれない。さっそく警戒厳重なカハロに潜入した兄弟は、フラスブールの秘密司令部を捜しはじめた。だが、そのときすでに彼らを待ちうける罠がしかけられていたのだ!
1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。第二次大戦で圧倒的勝利をおさめたナチス・ドイツが、ヨーロッパはおろかアジアやアフリカ、さらには南アメリカまで支配していたのだ。ナチスの魔手は次第にアメリカ合衆国へと伸び、ふたたび戦争が起こるのは必至だった。そのアメリカに唯一残された最後の希望が《プロテウス作戦》だ。-過去の世界に選りすぐりの工作隊を送りこみ、歴史の進路をねじ曲げて、いち早くナチスの野望を叩きつぶすのだ!かくして《プロテウス部隊》は勇躍時間の流れに飛びこんだが…。人気絶頂のホーガンが時間テーマに挑んだ雄渾のSF大作!
1939年の世界に無事たどりついた《プロテウス部隊》だったが、その前途には暗雲がたれこめていた。アメリカは不況に悩み、ヨーロッパ諸国は、領土拡大の野心に燃えるナチスを見くびって、なんの対応もできないありさまだったのである。《部隊》はまず政界の第一線を退いたチャーチル議員に協力を要請、さらにアインシュタインをはじめとする当代一級の科学者たちと接触して新兵器の開発をいそぐが、ナチスを裏であやつる謎の存在が、次第にその姿をあらわしつつあった…。現代ハードSFの旗手たるホーガンが徹底した調査と大胆な仮説で描きあげた、もう一つの第二次大戦!
名高き老魔法使いプロスペロは、空気の中にただよっている漠然とした不安を感じとった。何かが潜んでいる。憎しみに充ちた悪意のようなものが…。やがてその重苦しい不安感は、確固たる恐怖に変じた。-古びたマント、巨大な蛾や鳥がプロスペロを襲いだしたのだ。!あまつさえ、老魔法使いの家の周囲にはなにやら不気味な人影がいくつも見え隠れしている。はたして、こうした怪異は何を意味するのか?プロスペロは、盟友の魔法使いロジャー・ベーコンと連れだって、事件究明にのりだすが…。ゴシック・フンタジイの金字塔、遂に登場。
サバン城陥落。帝国軍の殺戮の嵐が去った後には、レヴィ王女以下わずか5百人の市民将兵が生き残るのみ。フォルタ団長はモルティーギ将軍への臣従を装い、ひそかに5百人救出の機をうかがうが…。一方、師スパドゥロスと共に修道僧軍団に捕われたタリオンは帝国の神都スメラルドに連行される。テラノーヴァ神を祀る邪悪と淫風に満ちた大寺院の内でタリオンの前についに姿を現わす教皇ゲミロウス。この、恐るべき帝国の妖花との間に交わされる熾烈な戦いは、やがてタリオンの身に驚くべき変化をもたらすのだった…。白熱のシリーズ第3弾!
連合軍のシチリア島上陸が迫る1943年7月、アイゼンハウアー将軍は、ある秘密作戦を打ち立てた。シチリア島で強大な力を持つマフィアー彼らを味方に引き入れて、同島のドイツ、イタリア軍を骨抜きにしようというのだ。任務を受けたのは、英国特殊作戦執行部のカーター大佐ら5人の男女。その中には、刑務所で服役中のニューヨーク・マフィアの首領ラッキイ・ルチアノがいた。彼らは偽装したユンカース機に乗り、遂にシチリア島への潜入を果たすが…!伝説的なギャング、ルチアノの秘話をもとに、巧みなプロットで描く戦争冒険アクション。
妊娠は正常だった。お腹の子の父親とは別れることになったが、産まれてくる子の将来を思い、サマンサは充実した気持になっていた。この子のためにも自立しなければーだが、なんでもない睡眠実験の被験者となった時、異変が始まった。体調がくずれ、些細だが奇妙な事件がたびたび起こるのだ。お腹の子に、何かが起こっている…コンピュータ管理の総合医療センターで発生した想像を絶する怪事件の結末は?新鋭がサスペンスフルに描く、傑作メディカル・ホラー。
ベルファストの朝のしじまを破って、1発に砲声が轟いた。IRAのマクナリーがロケット砲で治安判事ら3名を殺害したのだ。全ては計画通り運んだかに思えたが、英軍のフェリス中尉が逃走を目撃、その証言でマクナリーは治安当局に逮捕された。起訴されれば終身刑は必至。際限なきテロに倦み渡れた彼は、同情的なフェリス中尉に支えられ、全てを終らせる決意をする。IRA幹部の名を明かし、法廷で証言するのだ。だがIRAが裏切り者を見逃すわけはなかった!硝煙の街を舞台に、テロリストの孤独な戦いと、英軍将校との友情を描く力作サスペンス。
1793年春、英国はフランス革命軍を打ち砕くべく、同国王党派と手を組んで、要衝ツーロンを封鎖・占拠する作戦を進めていた。そんな折り、ボライソーは戦列艦ハイペリオン号の艦長に任命され、やがて重大な任務を託される。リオン湾の西部に浮かぶコザール島ーツーロンの戦いで貴重な戦略拠点となるこの島を、早急に占拠せよというのだ。司令官との対立、反抗的な海尉、老朽化した指揮艦ー不利な条件を抱えながらも、ボライソーは敢然と闘いを挑む。だが、革命軍は予想以上に手強かった!いよいよ佳境に入る本格海洋冒険シリーズ第8巻。
休暇旅行でイギリスへやってきたソールター警部夫妻。レンタカーで各地を見物し、時に理解し難い英国人気質に戸惑いながらも、美味い料理や美しい風景を楽しむのんびりした旅だったが、ソールターの身にしみついた警察官根性が事件を呼び寄せたのか、とある田舎町で投宿した宿屋の主人が殺された!地元警察の要請もあり、そろそろ物見遊山にも飽きてきていたソールターは、気軽に調査に手をつける。が、事件の根は意外に深かった…人間味豊かなカナダの窓ぎわ刑事が、父祖の地イギリスで展開する悠然たる捜査。カナダ推理作家協会賞受賞作品。
ニュース、ニュース、大ニュース!あの貧乏学生のロジャーが、とつぜん大金持ちに変身だって、信じられる?お母さんがなくなったとたんに明るみに出たロジャーの出生の秘密ーじつはロジャーはブルースといとこ同士だったの。かくしてロジャーはパットマン屋敷に移り住んで、スーパーリッチな生活のはじまりっ!でも、ガールフレンドのオリヴィアは、なんだか心配そう。ロジャーはなれない生活で失敗の連続だし、ふたりの仲もどうなることやら…。
「うーん、チョコレートパフェにするか、フルーツパフェにするか…こいつは大問題だ」あなたも、経験あるでしょ?こーゆーの。そんなときには、コレ。この“選択機”を使えば、何かを決めようとする前にその結果がどうなるか、わかるってワケ。あっ!何ィ?その顔?「んなこと、できるわけない」って思ってんでしょ。このマッドサイエンティスト(仮免許中だけど)豪田みのりにできないことはないっ!なぜかって?だって、この本はね、なんでもアリのスラップスティック・ゲームブックなんだもんっ!
浮世絵の祖は、菱川師宣といわれている。しかし、近年の研究によれば、岩佐又兵衛こそ桃山期の風俗画と江戸期の浮世絵の橋わたし役をはたした可能性がきわめて高いとかんがえられるようになった。いや、浮世絵そのものの元祖かもしれぬのだ。又兵衛は信長に反逆した武将荒木村重の遺子である。母は京の六条河原で信長に磔にされたが、又兵衛はあやうく難をのがれ、本願寺教団にかくまわれて絵師として成長する。のちに越前北ノ庄の藩主松平忠直に招かれ、ここに定住して数々の傑作を生む。
大草原(パンパ)よ、血の旋律が聴こえるか。誘拐された恋人・柊子を追って、ブエノスアイレスにやって来た隆治。彼を待ち受けていたのは、ナチの亡霊による第四帝国建設の陰謀だった!
取調室で刑事の執拗な追及を受けながら、私は2度と百花双瞳はつくるまいと思った。そもそも14歳で広州から神戸の華僑宅に奉公に出され、主人から「あんなに美味いものはなかった」と聞かされたのを職人気質の料理長に洩らしたのが始まりだった。しかし、彼に手伝わされて料理法も材料も分かぬまも分らぬまの名点心が、こんなにも恐ろしい結末を呼ぶことになるとは…。人間の宿業に迫る傑作推理集。
〈私〉はサンフランシスコの私立探偵。猛烈なヘビー・スモーカーで、喀痰検査の結果が不安だ。そんな折、戦友のハリーから電話があった。自分の経営するキャンプ場で何か事件が起こりそうだという。その後彼の予言通り断崖からヴァンが転落。だが乗っていた男は転落前、既に殺されていた。現場付近には、なぜかクジャクの羽根が…。これは新しい事件の単なる幕開きなのか。“名無しの探偵”シリーズ、得望の新作。