1988年11月1日発売
桜井家に名目上養子で迎えられた晃二は、年上の妻玉乃に采配を振るわれ、苛立ちがつのるばかりだった。いっそ妻を殺してしまえばー化学者である彼は、秘かに実験を続け、功妙な手口を見出した。実行に移すのは玉乃の誕生日を祝う夕食会で、しかも客人の目の前で堂々とやってのける!!周到に準備された計画には、一分の隙もないように見えたが…。日常の中にひそかに息づく殺意を鋭く描いた、傑作本格推理。
防衛庁に極秘で兵器製造を企てる西浦電工。産業スパイの伊坂征一郎は、西浦電工のライバル会社からの依頼を受け、西浦電工のOLや若妻たち甘美な罠に陥れ、その謀略解明に乗り出した。一方で、兵器売買と政財界を陰で操る黒幕・芦沢は、機密漏洩を恐れ、兵器バイヤーたちに伊坂の抹殺を指令する。次々と伸びる魔手をかいくぐり、伊坂が察知したものは…。著者渾身の長篇官能サスペンスミステリー!
茨城県東海村にある東海第2原発に異常震動が発生!日本原子力研究所の湯原博士は原子炉を停止させるが、東菱研究所の井沢は、形ばかりの点検を済ませると、独断で運転再開に踏みきった。だが、再び異常震動が起こり、原子炉は破滅への暴走を始めた!膨大な資料を駆使し、原発倒壊の悲劇を赤裸々に描いて世界に問う、著者渾身の書下ろし長編小説衝撃作!
スナックのホステス、森園由香子が絞殺体で発見され、森園の愛人で、区役所に勤務する郷秀哉が逮捕された。だが、事件の成り行きに不審を抱く石倉練造刑事は、弁護士になりたての冬野尽に郷の弁護を強引に依頼した。1人ではからっきしだめな尽も、美女秘書の野村綾子、石倉の娘で新聞記者のさくら子、郷の娘で不良女子高生の淑子らの強力な助っ人を得て発奮!斬新な本格推理小説の秀作!
その日、会社社長西条宏助の家には、すでに結婚して家を出ている息子英一と妻馨子、英一の妹聖子が来ていた。兄妹は父に財産の生前贈与を願い出ていた。彼らは遺産が後妻に行くのが我慢できなかったし、緊急にお金がいる事情があったのだ。そして夜、惨劇の幕が上がり、殺戮は為された。女流俊英が描く完全犯罪の謎。
通り名が、“二本差(りゃんこ)”の弥太郎。跳ねッ返りそうな小気のきいたやくざ渡世の旅烏。そんな弥太郎が惚れた娘のために上州松井田宿で一暴れ(表題作より)。他に「次郎太川止め」など、計5編を収めた、痛快股旅小説集。
貴族の家を嫌ってロンドン警視庁の警官となったペリー・トリソワン。彼が実父の死を知ったのは、《タイムズ》の死亡欄でだった。事件の担当となったペリーの悩みは深い。世間の笑い者になるどころか、警官としての生命も危うい。というのは、父親は中世の拷問具にかかって死んでいたからだ。それも、薄いスパンコールのタイツをはいて…。-「抜群のテクニックとユーモアセンス」とNYタイムズ、ワシントン・ポスト絶賛。ペリー警部シリーズ第1弾。
敗戦。混乱と飢餓の中に、悩みつつも爽やかに輝く春青群像。新しい社会へ踏み出していく若い恋人たち、希望を抱いて働き学ぶ若者の群れ。折しも、ゼネストに立ちあがる労働運動のうねりが彼らをつつむ…。新生日本への息吹きと旧体制の崩壊をダイナミックに描く長編。
17歳のある朝、僕は死んだ。それは、僕の長い墓場人生の始まりだった。おじさんとは、墓地に来てすぐ友人になった。10年前に死んだおじさんは、墓地の生活に不慣れな僕にさまざまなことを教えてくれる…。処女作が中村真一郎氏に激賞された大型新人の長篇第二作。
戦乱の中で父を失い、武将らしくない夫を捨てて、江戸城に入り、家光の乳母となって、周囲の権謀術数と闘いながら、家光を三代将軍の座につけた強い女の心の底には…。偶然から将軍の乳母という特殊な立場に立った女の強さとその裏側にある“女”の心を描ききった本格的な力作長編小説。
あなたは〈子育て〉に悩んでいませんか。にせの家族だからこそほんとうの家族よりも確かめられる親と子のきずながある。家族とは、親と子のきずなとは何かを問うハイブリッド〈子育て〉の試み。六つの短篇集。
都会では時間がめまぐるしく流れ万物が変化させられるのに、田園では今もなつかしいものがしっかりと生きていて影響を与えつづけています。風のささやきも緑のざわめきも、その他のすべてが意味のある言葉で人を動かすのです。この物語は、そんな悠然たる時間をかかえた村の出来事です。久しぶりに帰郷した探偵の前に古い殺人事件がよみがえり、山野を怪獣が疾走し、埋蔵金伝説の村が震撼します。
ニューヨークを発ち、一路リオへー。船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して2日めの夜、乗客の一人が殺されるという事件が突発した。状況からして存在するはずの目撃者が証言すれば結着はつくのだが、名乗りでる者は1人もいない。かくして閉ざされた船上、密かに目撃者捜しが展開することになったが…。才媛の秀作、待望の初紹介。