1988年11月1日発売
冬野尽は29歳の弁護士だ。が、やっと司法試験に合格し、やっと居侯弁護士から独立して事務所を開いたばかりだから、客はめったに来ない。とにもかくにも尽ちゃんが弁護士になれたのは、秘書で美人の野村綾子のお陰である。綾子は尽ちゃんのかつての家庭教師だったが、それは猛烈をきわめ、物差しでビシバシひっぱたいて鍛えたのだった。子持ちで離婚歴のある33歳の綾子と毎日ひまな事務所で顔をつき合わせている尽ちゃんは、アッチの方がダメなのだが、女盛りで魅力たっぷりの綾子に時には股間が刺激されるのだった。-男と女の微妙で深い襞を軽快なタッチで抉ったユーモア・ミステリー。
日本とフランスにまたがる刑事事件を追って渡仏した兄の死亡通知ー。妹の摩梨華は父の代理で渡仏するが、兄の死を確認する前に、奇妙な事件に巻きこまれる。その渦中で彼女は“失なったはずの恋”に再会する。めくるめく愛とサスペンスに満ちた極上のエンターティンメント。第一回「小説賞」受賞作。
かつてメネス大陸を統一していたファルコン公国は、辺境伯の力が滅ぼされてしまった。数年後、ファルコン公国のお姫さまレミーを中心に、主人公ロム、魔術師ガーディは公国復興に立ち上がる。「ツァクト ザク ラグディオ ル ラバン」という謎の合言葉。これをもとに5人の協力者にコンタクトをとり、公国のシンボル「ファルコンの円盤」奪還作戦を決行する。目的地“沈黙の地”へ向う彼らを待ち受ける計略、裏切り、死闘。そして、辺境伯の巨大な野望が明かされていく…。今、ここに大河アドベンチャーの幕が開く。ようこそ、ドラゴンロックの世界へ。
おいらはナム。霊幻道士の修業中のおいらは,ひょんなことからデパートで開かれる、「キョンシー展」の警護をするこになった。そこへ怪盗ウーロンと名乗る男が、展示品の中でも特に価値のある“桜蘭玉”をうばうと予告状を送りつけてきた。それからが、もうたいへん!デパートの中はキョンシーたちが暴れ回るし、ベビーキョンシーは超能力を使っていたずらするし,おいらどうすりゃいいんだ。こうなったら、デコボコキャンシー軍団をたたきのめして、桜蘭玉を守りぬくぞ。
タマムスビ・カツマに夢で呼び出された3人組。そこで、3人の心の祖先である大天空丸が、悪の手に利用されようとしていることを知る。新宿の3つのビルの配置が、大天空丸を大天空災丸に変身させる邪悪の祭壇そのものであり、ある3つの要素が欠けているため、まだその力を発揮していないという。スサノオ、義経、清正ーこの荒武者のもつ3供物をそなえれば邪悪の祭壇は完成してしまう。天魔族が3供物を手に入れようと、動き始めた。天魔族より先に3供物を集めないと、大天空丸が危い。
競馬界では三大クラシックレースのひとつ、ケンタッキーダービーが間近となり、有力馬の馬主たちは盛大なパーティを催して前景気をあおっていた。そんな折、謎の脅迫状が馬主たちに送りつけられ、最有力馬の馬主が刺殺されという事件が起きた。三大クラシックの実況放送のためにケンタッキー州ルイビルを訪れていたレース・アナウンサーのジェリー・ブローガンは事件解明のために調査を始めるが…。注目の競馬ミステリ、第2弾。
第一次大戦のさなか、スイスに亡命中のレーニンは、ドイツの支援を受けてロシアへの帰途についた。ドイツ側の見返りは彼が政権をとった際の両国の講和。この情報を察知した英国は彼を暗殺すべく、スパイあがりのアメリカ人バウアーを派遣する。が、合衆国やロシアの思惑もからむなか、レーニンらが乗るヨーロッパ縦断列車に潜入したバウアーを待つのは死と陰謀の渦だった。史実を基に壮大なスケールで描く第一級の冒険サスペンス。
〈二年前のことだ。そのころから、ぼくのあたまはおかしくなり始めたー〉ぼくの名前はチャーリー・デッカー。プレイサーヴィル・ハイスクールの最上級生だ。ぼくは、代数のアンダーウッド先生と、歴史のヴァンス先生を父のピストルで射殺した。あっという間のできごとだった。しかし、だれもいまおこっていることを信じられない。警官隊がやってきてぼくたちを遠巻きに包囲している。ぼくとクラスメートたちは日常世界から切り離された世界に漂いだした。まるで白日夢のような、しかし緊迫した時間がながれていく。五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。
7月2日夜、ヤミ金融会社社長、天本禎夫が失踪し、1週間後、横浜の木材港に死体となって浮かんだ。ルポライター浦上伸介は、社員瀬田えりの証言から、天本が失踪した日に、秋田から持ち帰った土地の権利書を探り当て、秋田へ飛んだ。しかし、天本殺害の重要な物証となる権利書は、秋田の素封家中野家の大金庫に収められていた。はたして、犯人はこの物証を移動することが可能か!人を乗せない急行列車とは何か?大阪-東京-秋田を結ぶトリックに、浦上が挑む!“アリバイ崩しの名手”津村秀介待望の書下ろし長編推理最新作。
恋人に裏切られ、暴漢にレイプされ、地獄を見てしまった女ー。サドを気取る男に拾われ、マゾプレイを仕込まれ、苦痛の裏に潜む、とろけるような甘い疼きを感じはじめるー。が、それでもなお、満つることない女の性ゆえ、秘めたる濡壺からは、滾々と蜜汁が湧き出し、新たなる牡を待ちつづけるー。
憂いを含んだ美貌の未亡人、絵里子。彼女発する牝の匂いは周囲の男たちを「けもの」に変える。年老いてなお盛んな義父と、獣欲に身を焦がす義弟の肉茎がしとやかな唇を穢し、秘肉を割る。けものの交わりに嫌悪を抱きながらも、淫牝と化した絵里子の媚肉は弄ばれる期待にうち震え灼熱の猛りに悦びの蜜をあびせかける…。
孤独な老人の飢餓死によって発見された500巻の壮大な長篇小説は、人類に何をもたらしたか?この小説をめぐって、狂騒するマスコミ、昏睡する読者、跳梁する犯罪集団ー想像力の盲点を突いた過激な表題作に、無為の日常からの脱出を幻想的寓意で描いた「迷宮生活」を併せて収録。