1988年3月1日発売
米国カーネル市の市長選を前に市長夫人の佳奈子が失踪した。市長と強い繋がりを持つ日本企業から彼女の探索と護送の依頼を受けた格闘技の天才、野口。だが、市長の対立陣営にとって市長選の要となる彼女は抹殺すべきだった。ロスに乗り込んだ野口を待ち受けた恐るべき罠と韓国マフィアの暗殺集団。野口の拳が闇を裂き、極限の救出作戦が始まった。しかし、その裏には驚くべき真相が隠されていた。拳聖シリーズ第2弾。
東京の高級住宅地・成城で米国人弁護士と、その娘が殺害された。捜査線上に浮かんだ容疑者は、元米国陸軍二等兵のマイク。だが、彼はマフィアの一員で、素早く日本を脱出し、ニューヨークのハレムに潜伏したらしい。さあ国際刑事警察・特別捜査員ー響三郎の登場だ。このスーパー・スターは犯罪組織の壊滅に生命を賭ける。
最高打率を誇るセネターズのスター新海清が好打を放ち、走塁中に突然倒れ、絶命する。4万人が注視する真っ只中での不慮の出来事だ。観衆の1人だった高山検事が死の真相を追うが他殺の確証は掴めない。この検事が苦悩する人間性を中心にストーリーは進展し、焦点へじりじりと迫る。日本探偵作家クラブ賞に輝いた会心作。
敗戦後、基地のボーイ竜也は進駐軍婦人将校ジェーンに性の下僕として弄ばれる。彼女の要求で白い裸身に鞭を打つ竜也は、強烈な快感でしびれた。だが通訳の伯父が物資横流しに絡み謀殺されると竜也も解雇に。以後、飢餓生活を経て再びジェーンの飼育に頼るが、今度は伯父の復讐を図って生きる。宇能文学を方向づけた初期の名作。
謀反の挙に出て敗死した由井正雪は、死の間隙に庶子雪之介を逃がし、これに1万両の黄金の隠し場所を秘めた絵図面を持たせてやっていた。絵図面は雪之介から娘お万の手に、そのお万が大番頭も務めた水野左衛門尉の側室となって絵図面の秘密を告白したことから、左衛門尉がそれをかつての上司で寺社奉行などの重職をも務めた青山頼母に告げて絵図面を預けたのだが、左衛門尉は頼母によって放たれた刺客によって殺害されてしまったのだ。左衛門尉とお万の間に生まれた早苗・主馬之介の姉弟はいま頼母の手から絵図面をとり戻すべく苦心するが、老獪な青山一党の凶刀が2人の身に迫る。その早苗姉弟を助けるのは春之介と名のる虚無僧であった。-はたして黄金の謎を秘めた絵図面の行方は…!
足利幕府勘定台所目付の貝塚源太夫と木戸鹿九郎の両人に野狩りの混乱のうちに討たれた郷士重右衛門の子藤次は、いまだ14歳の少年であったが、父の仇を討つべく独り剣を学ぶ。彼の師となった老僧こそ、鬼一流6代室行雲為家であった。5年後、鬼一流の秘太刀“乱剣”の極意をさずけられ、7代祇園源宗春に成長した藤次は、いよいよ京の都へと上った。伊賀の兵法者伊賀崎幻雲の娘春海と知り合った藤次は、卑怯な神山左近らの手槍の襲撃も伊賀兵法“畳返し”の妙技でこれをしりぞけ、幻雲に会うべく春海を同道して伊賀国へ。痛快な面白さを発揮する著者得意の剣豪小説。
信玄の父信虎の生涯は、波瀾に満ちた81年であった。25年の歳月を費して乱国を統一し、甲府を開いて武田家を守護大名から戦国大名へ押し上げた。国主であった期間は、信玄よりも長く、信玄に国外へ追放されて、なお33年間を異境で生き抜いた。信玄卒去の報に接して、京都からその老躯を信州高遠まで運んできた。この「信虎の巻」は、その誕生前夜から駿河へ追われるまでの辛苦に満たち50年を書いたものである。
信玄の父信虎の生涯は、波瀾に満ちた81年であった。25年の歳月を費して乱国を統一し、甲府を開いて武田家を守護大名から戦国大名へ押し上げた。国主であった期間は、信玄よりも長く、信玄に国外へ追放されて、なお33年間を異境で生き抜いた。信玄卒去の報に接して、京都からその老躯を信州高遠まで運んできた。この「信虎の巻」は、その誕生前夜から駿河へ追われまでの辛苦に満ちた50年を書いたものである。
馬の改良に情熱を燃やす対馬藩の若き馬医・猪方方正は、朝鮮の〈馬上才〉一行に随行して江戸に向うが、藩の存亡をかけた争いの渦に巻きこまれていく…。江戸時代初期に起きた〈国書改竄事件〉の顛末を描く異色の話題作!
安らかに、まるで眼っているような顔、まだ濡れている長い髪、全裸美女の溺死体。釣船に発見されて引き上げられたばかり。若い釣客が近づいて黒髪を掻きわけてやろうとした。その手に白いものが巻きついていた。それは死体の腕だった。女はゆっくり目を開けるとニッコリ笑った。コキッと背筋の凍るような音がした。女は軽く手を握っただけで男の腕を肘からもぎとったのだ。真白な裸体に鮮やかな血の飛沫がふりかかった。