1988年9月発売
幕府隠密以上の権限を持ち、江戸参勤の大名の動静を探る《阿ノ一番》山瀬仁三郎こと不知火の仁吉の活躍で,宇土藩主細川元政抹殺を謀る家老らの奸計が明るみに出た。さらに、悪家老に殺されたはずの細川家の家臣・中江銀之助こと朱鞘浪人港伝次郎は紅蓮の炎と大捕物陣に囲まれ、壮絶な死闘を展開していた。その網の目の外で繰り拡げられる日本佐衛門と鼠小僧の対決の場へ急ぐ《阿ノ一番》-。長篇時代小説。
世情騒然たる幕末。官軍の横暴に業を煮やし彰義隊に加わった旗本・伴鉄太郎だが、彰義隊は壊滅、自らも手傷を負った。1868年、傷の癒えた鉄太郎は榎本武揚率いる艦隊に乗り組み、一路蝦夷へ。大暴風雨と寒さに耐え、ようよう箱館に辿り着いたものの、幕軍は五稜郭占拠わずか八カ月にして降伏。討死を免れた鉄太郎、士籍を返還して北海道開拓の道を選び、石狩に腰を据えることになった。長篇歴史小説。
宿下り中の大奥女中・お勝が殺された。その宵、お勝と逢った恋人の小柳進之助に嫌疑がかったが、目明し亀蔵は白と見た。だが何故か同心は進之助を犯人に仕立てようとし、小柳家でも進之助に自害を迫った。逐電した進之助を救けた大身旗本・本多内蔵介は、追従と腐敗の世をすね隠棲する身。事件の背後に田沼意次派の策謀と、大奥の勢力争いがあることを看破、真相究明に乗り出すが…。長篇時代小説。
はれて大学へ入学したものの、キャンパスの華やいだ雰囲気にいまひとつ乗り切れずにいる僕の目の前に、素敵な彼女が現れるが…。現代の大学生の生活や風俗を瑞々しい感性で捉えたデビュー作。潮賞小説部門受賞作。
「被告を無期懲役の刑に処する」-無実の殺人罪を問われた25歳のやくざパピヨンは、このとき脱獄を心に誓った。脱獄して、自分を罪に落とし入れたやつらに復讐するのだ…。仏領ギアナの流刑地に送られたパピヨンは、寝ても覚めても脱走を考えた。その機会は意外に早くおとずれた。流刑地に来て37日目に、彼は仲間2人とともに、小さなカヌーで、自由を求めて海にのりだした…。
11ヵ月にわたる逃亡生活はみじめにも終りを告げ、パピヨンはふたたび仏領ギアナの徒刑場に送られた。脱走罪による2年の重禁錮刑。孤島に設けられた、牢獄のなかのもう一つの牢獄、〈人食い牢〉と呼ばれ恐れられている苛酷な独房。パピヨンは耐え、2年後出所する。脱走への意欲はいささかも衰えていない。だが4ヵ月かかって準備した次の脱走計画は未遂に終り、またもや重禁錮監獄に…。
パピヨン、35歳。度重なる挫折の後、かつてのドレフュスの流刑地、悪魔島に送られた彼は、9回目の脱走を試みる。ココ椰子の実をつめた袋に身を托して、海にとびこむのだ。7つ目ごとに押し寄せる大波が引いていくとき、この袋を沖合はるかまで運んでくれる。あとは潮と風まかせ。数日間の漂流で、大陸沿岸のどこかにたどりつけるだろう。一か八かの賭けに見えたが、彼には成算があった。
数奇な運命をたどった春日局。家光を巡る大奥の女たちの抗争の中で美しく生きた四代将軍家綱の生母お楽の方。2人の華やかな生涯を描く歴史ドラマ!’89年NHK大河ドラマの主役たち。
日の東より出ずるごと必ずや来たらん我が時代…。第二次世界大戦前夜のビルマ、高まる独立闘争のうねりの中、悩み、模索しながら、やがて抗日闘争に決起する青年の恋と青春の軌跡を壮大なスケールで描いた長編。(全三巻)
鳥取の砂丘でCM撮影中、舞妓の小君が毒殺されかかった。さらに、祇園・花見小路でも舞妓・豆雪が絞殺された。舞妓を襲う死の罠!推理好きの舞妓・小菊は、恋人の日本画家・沢木潤一郎と事件を追う。が、事件は意外な方向に…。俳優・長田克彦の元夫人秋子も祇園で殺害され、長田に連続殺人の容疑がかかったのだ。しかし、その長田は琵琶湖の別荘で服毒死していた。しかも、現場は完壁な密室だった。意表をつく犯人像!トリック・メーカー山村美紗が新探偵・小菊と沢木のコンビを創造し、新手の密室トリックに挑んだ意欲作。
東京ドームでの巨人・阪神戦、ホームランで試合が最高に盛り上がった瞬間、スタンドで殺人が!アマゾンの猛毒クラーレを使い、犯人は巨神戦の毎試合、無差別殺人を重ねてゆく。理解不能な異常犯罪の残虐さが、日本中を戦慄させる。大胆で巧妙な犯行に、なす術もなく翻弄される捜査陣。そこに一千万円を要求する脅迫状が。万全の態勢をしいた捜査陣だが、球場全体がパニックに襲われる中、さらに予想外の惨劇が起きた。話題のハイテク・スタジアムを舞台に展開される、スリルとサスペンス溢れる凍血の緊迫ドラマ。乱歩賞作家が全力投球で書き下ろした問題のサスペンス・ミステリー決定版。
小笠原諸島へ向かう船上の人となった孔雀警視笙子。ヤシの葉陰で恋人と波の音をBGMにキスを…ん、もう、それなのに!いきなり女性が全裸で刺殺されたのを始めとして、事件続発。さらに笙子はある特命をうけていた。事件と事件が交差するとき、そこに…。面白すぎてクセになる孔雀の大活躍、シリーズ第12弾。
京都在住の大月信平・エリ子夫妻には子供ができない。だが信平は36歳。若い。交際誌で『私たちの夫婦生活を見て!』という記事を読み、名古屋の神田夫妻を訪問。さらに松本夫妻と交際し,鑑賞より実践が迷路を聞くことを悟った。そこに快感未体験の八木夫妻も加わりスワッピングは盛り上がる。鬼才が性を通して人間の業を描く。
赤垣美晴は美しい未亡人。レッド・ウイドウ相談室のカウンセラーだが、実は警視庁の特別秘密捜査官でもある。ある日、夫の不能を相談に来た人妻が全裸で殺され、その後、次々と殺人が。股間に残された写真の謎!危機一髪、美晴の拳銃は火を噴くか!?ヒット作「赤い闇の未亡人」シリーズ第2弾書下ろし長編力作!
TV編成局長、宗城雄一郎の妻香子は、婚前に青い目の混血児を生み、養子に出していた。妻の秘密を知った雄一郎は、娘・美香のバレエ仲間で黒人少年ジョーを家に引き取って陰湿な復讐を。一方、香子は不幸な混血児が母を呪う血盟団の結成を知る。ところが香子が彼らに捕えられて処刑場へ駆り出された。香子の運命は?
推理トリック研究家・久我京介と助手・明夫、その女友達の洋子は、瀬戸内海の別荘に招待されて夏のバカンスを楽しんでいた。「あっ、首がない!」無人島の浜辺に、まるで日光浴でもするかのように横たわる、男の首なし死体。続いて起こる密室殺人。本書主人公同様、推理トリックに造詣深い著者が放つ長編第2弾。
横地邦生の婚約者、河内三枝子は、一人旅に出た水上温泉で他殺体で発見された。邦生は、三枝子の親友、桃谷順子とともに、犯人探しを始める。意外にも数多い男性関係の中に、一人の男が浮かび上がった。そして、彼女は過去、見知らぬ男女の殺人事件にも関係が!意外な結末を迎える、男と女の謎に挑む、著者渾身の書下ろし。
韓国の国家的威信を失墜させる謀略“テロのオリンピック”計画が発覚した。ハイジャック、暗殺、さまざまな妨害工作、そのすべてを表面化させては、テロリストの思うつぼだ。砦洋介二佐率いる特殊部隊員たちは、密かに行動を開始した。ソウル五輪の聖火は無事に点ったか?世界的視野をもって描く、シリーズ第4弾。