1988年発売
チャーリーが殺された。毒舌が得意で、事あるごとに周囲の神経を逆撫でにしていた男、それがよりによって、唯一の親友が結婚する朝、撲殺体となって発見されたのだ。日頃の言動ゆえ容疑者には事欠かなかったが、いざとなると、明確な殺意は杳として浮かんでこない。だが捜査が行きづまるかに見えたとき、事件は意外なところからほぐれだした…。
一度は〈闇の者〉ジェレラクの手により地獄に堕とされた伝説の騎士、ディルヴィシュ。いま、彼はこの世のものならぬ漆黒の鋼の馬ブラックを伴い、ボータロイに甦った。彼を待ち受けるものは〈西の将〉ライリシュ、そして宿敵ジェレラクの要塞、氷の塔…。神話性をたたえた、異才ゼラズニイの代表的ヒロイック・ファンタジイ、ここに邦訳なる!
諸国林立する〈百王国時代〉のアストゥリアス王国。戦略的才能を買われ、若くして王の旗手となった男、バード。王女との婚約さえ果たし、彼の未来は約束されたかに見えた。だがこのとき、この戦乱の歴史に奔弄される自らの運命を、バードは知るよしもなかった…。のちに“ギルガードの狼”と呼ばれ、王国の歴史を変えた男の若き日々を描く雄編。
アストゥリアス王国の危機に、放浪生活から呼び戻されたバード。人々は彼を英雄と讃え、“キルガードの狼”と呼んだ。折しもハスター家は百王国を統一せんと動き始めていた。この脅威を前に、バードと実父ラファエルは、ダーコーヴァを手中に収めるべく画策し始める。そして〈盟約〉を提唱するヴァージルの来訪。果たしてバードは百王国の覇者となるか?
家族というものには主人公がいない。イタリア統一の波乱の時代に生きた文豪マンゾーニの家族模様を、膨大な書簡を通して事実が自ら語るにまかせて再構成した、ギンズブルグの長編力作。
早野えりかは通訳の仕事でスポーツ用品メーカーを訪ねた。その関係で、そこの広報担当の中西、ホテル経営者であると同時に元スキー・レーサーでもある柏木らに出会った。えりかは柏木に魅かれるが、障害として中西が立ちはだかり、さまざまな事件が邪魔をする。愛と仕事のはざ間でもまれる二人の姿!!
沙織には双方の両親が決めた婚約者・秀一がいた。が、彼女にはまだその気はなかった。そんなとき、秀一の過去を偶然知る機会があり、沙織は荒れた。彼には最近まで別の女性がおり、堕胎までさせているというのだ。その弟・夏樹が秀一を追っていた。暴走族だという彼に、沙織は怖れと同時に魅力も感じていた。
芸能評論家・町田卓二はある夜、誰も入れるはずのないマンションの自室に帰ると、吸いかけの葉巻きが灰皿で煙を上げていた。そして深夜、失踪中のアイドル歌手・古三沢涼子から、町田のせいで自殺する、という電話がかかってくる。ちょうどその頃、ある男が町田の名刺を持って殺されていた。町田は身に覚えのない殺人事件の容疑者にされてしまう。「密室と瞬間移動」。不可能犯罪に挑む本格ミステリー。
全米最悪の犯罪都市ロサンゼルスでは、ストリート・ギャング団同士の凄絶な抗争が、日夜くり広げられていた。そのため、ロス市警ではギャング特別班゛CRASH゛を設置し、警戒にあたっていた。事件発生!ギャング団の黒人少年が対立するギャング団に撃ち殺され、事態は一挙に前面抗争の危機に。CRASHに所属するベテラン警官ボブ・ホッジスと新人のダニー・マクガヴィンのチームは、深夜のスラム街にパトカーを走らせた。7万人のストリート・ギャング対L.A.特捜隊。映画化!全米興収1位の衝撃作。
結婚3年目のサラ・バーニーは、大西洋に面したリゾート地で、夫とともに夏の休暇を過ごしていた。表面的には幸せな若夫婦に見えたが、夫の凄まじい暴力に、サラの忍耐は限界に近づきつつあった。逃げるのだ、それも夫が決して自分を捜そうとしないように。ある夜、サラはヨットでセーリングに出て海に飛びこみ、溺死を偽装した。名前を変え、かつらをかぶり、サラは新しく生きるためにグレイハウンドの乗客となるが…。息づまる心理サスペンスの秀作。
おれの名は間兵介。スパイになることを妄想しながら、細々と翻訳の下請けで糊口をしのぎ、女房にも頭の上がらない、しょぼくれた男だ。だが、そんなおれにもチャンスが巡ってきた。元陸軍中野学校の教官だったベテラン・スパイが助手を探しているというのだ。おれは喜びいさんでそのスパイを訪ねたが…著者会心のユーモア・ハードボイルド傑作集!
桂萌実は、女優を夢みる映画大好き少女。本格的に映画の勉強をするために、全寮制の札幌映画学園の2年生に転入してきた。萌実が住むことになったのは、ライラック館というロマンチックな女子寮。同室になった、すごい美少女・沙羅と大親友になった萌実は、僚と友樹という素敵なBFまでできて、毎日ルンルン。ところがある日、萌実の鏡の中に、恐ろしい女の顔が浮かびあがり、それ以来、教室やロケ現場で奇怪な事件が…。ライラック館の乙女たちを襲う、恐怖のシネマ・リハーサル第1弾!
〈愛〉がひきおこす困難と栄光。ロンドンとパリで開催された2つの国際シュルレアリスム展にはさまれた1937年に刊行された『狂気の愛』は、ブルトンがもっとも精力的な仕事を展開していた時期に当る。〈狂気の愛〉というテーマはフーコーの〈狂気の理性〉と通底する。絶対的な愛が現実に打ち克つ愛の栄光を止揚する。
それは、余りにも突然だった。死の定め、それが16才の少女に襲いかかってくる。それを知ったのは皮肉にも16才の誕生日だった。逃げ場の無い悲しみに心乱れ、自殺ばかりを考える少女。そんな少女を死の淵から救ってくれた冴えない青年に少女は心をひかれていく。そして愛するが故に、自分の気持ちを分かってもらうためについた嘘が思わぬ悲劇に発展していく。