1988年発売
仮釈放を十日後に控えて、模範囚・西崎洋平が高崎の刑務所から脱走した。おなじみ、神奈川県警広域捜査班の新人類刑事・五月千春は、その謎を追って、愛車MGで九州・熊本へ飛ぶ。ところが、同じ西崎を追う警視庁のエリート女刑事・錦由多加が現われて…。
燃えるアフガン!愛に生きるか、大義に死ぬか?パリに暮らす美しい女性ジェーンは愛した男がCIAのスパイだったことに心を傷つけられ、フランス人医師と結婚した。ふたりはアフガニスタンの医療奉仕に出発する。ソ連軍の侵攻に必死の抵抗をするゲリラの村が新しい仕事場であった。戦闘が激化したある日、ジェーンは信じられない光景に出くわす。夫がひそかに会っていた人物はソ連KGBの情報員だったことがわかり…。アフガン戦争の戦火の陰に、ケン・フォレットが愛と死を見つめる傑作。
フランスで行われた重賞レースで進路妨害をした騎手ラミレスは失格になった。馬主のモローは激高し、マネージャーのライにラミレスを処分するように命じた。ラミレスを受び出したライは,馬主の意向を伝えたが,逆上したラミレスはナイフを抜いて、「おまえと女房を殺してやる」と捨て台詞を残し立ち去った。数週間後、ラミレスの死体が発見され、ライに疑いがかかる…。
「触ってもいい?こんな風に触ってもいい?こうしても?あたしに撫でられて、気持悪くない?よかったら、あたしに好きなことしていいわよ…」ブエノスアイレスの刑務所の中で生まれた、テロリストとホモセクシュアルの、妖しいまでに美しい愛。アルゼンチンの作家、マヌエル・ブイグの野心作。映画化では、ウィリアム・ハートが、その名演技で〈アカデミー主演男優賞〉を受賞して、世界の話題をさらったものである。
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、〔世界の終り〕の街から〈僕〉は脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?
犯罪的な暗い過去を持つ自動車整備工の雪森厚夫(49才)は、病める神経に苦悩している女子大生池端和香子(24才)に愛情を抱きはじめた。1969年1月、彼女はT大生の恋人守屋牧彦の影響で大学紛争に参加、牧彦はT大学を占拠し、機動隊や和香子の父池端教授と戦い敗退した。’69年2月、雪森と和香子は、新幹線爆破事件の容疑者として逮捕された。悪魔的な捏造で引き裂かれる魂を描く。
恐ろしい冤罪に耐える和香子と雪森を救うため、奔走する若き弁護士阿久津純。1969年2月11日の二人のアリバイが立証され、無罪の判決に至るまでに10年近くの年月が流れた。和香子は述懐するー監獄の現実は監視し管理し命令し密告し人間を家畜みたいに取り扱うと。今、和香子は雪森の故郷北海道根室に彼を追う。この土地で二人で生きるために…。人間の魂の救済と愛を描く力作長編。
「ジョン・レノン対火星人」のサインを出されたバッターはいったいどうすればいいのだろか?打つ?一球待つ?その奇妙な三塁コーチャーが死んでしまった現在では、わたしたちには確かめる術がないのであるーというわけで、頭の中がスプラッタしちゃった「すばらしい日本の戦争」を救うべく、T・Oとわたしの奮闘が始まった。世界初の三島賞作家が贈る60年代3部作完結編。
いたるところでブルドーザーがうなりをあげ、ついでに若者の頭の中も工事中だった東京、60年代。サルトルを片手に女の子をくどき、路地裏でチンピラと乱闘、就職試験トレーニングの合い間に火炎ビンを投げていたあの頃。唐十郎、三島由紀夫、安西水丸など数百人の実名オールスター・キャストで、オリンピックと安田講堂の東京を再現する、嵐山光三郎初の自伝的大河青春小説。
結婚したガープは3編の小説を発表し幸福な毎日を送るが、妻ヘレンの浮気に端を発した自動車事故で1人の子供を喪い、ガープ夫妻も重傷を負う。女性に対する暴力をテーマに、傷ついた心と体を癒しつつ書いた小説は全米にセンセーションを巻き起こした。一躍ベストセラー作家となったガープは悲劇的結末への道を歩み出していたー。現代をコミカルに描く、アーヴィングの代表作。
暗殺犯の凶弾を浴び傷を負いながらも、若手上院議員ファロンが行った演説は、全米に深い感動を与えた。再選が危い大統領ベイカーの顧問と、党の長老たちは、一躍マスコミの寵児となったファロンを副大統領候補に大統領選を乗り切ろうと図る。この動きを察知した副大統領イーストマンは、大統領に公然と反旗を翻す一方、ファロンの弱点を探り始めた…。迫真のポリティカル・サスペンス。
副大統領イーストマンの爆弾発言で大統領は苦境に陥った。一方狙撃事件の謎を追うFBIの老捜査官マンクーソは、精神病院にいるファロンの妻を訪ね、清廉潔白とされていた彼の意外な秘密を知らされた。大統領候補指名の党大会を数日後に控え、ファロンをめぐって大統領、副大統領、そして長老政治家たちの思惑が渦巻く…。アメリカ大統領候補選出の舞台裏をリアルに描く長編。
シャトルの事故で片目を失い引退した元宇宙飛行士ドーヴァーのもとに1通の呼び出し状が届く。アメリカの宇宙監視システムが、ソ連の打ち上げた奇妙な物体をキャッチ。その正体を探る極秘任務は、ロシア語堪能で宇宙工学の知識があり、しかも隻眼の人間にしか務まらない…。ソ連秘密基地への潜入工作に始まり、ついには宇宙空間にまで舞台を広げる、波瀾万丈の軍事サスペンス長編。
元警官のウォルシュは度外れた潔癖さが災いして、今は賞金ハンターになっている。マフィアの金を横領して捕まり、保釈中逃亡した元会計士の逮捕を10万ドルで請負った彼は、すぐに会計士を見つけ出し、“仕事は簡単”に思われたがー。会計士の命を狙うマフィア、賞金の横取りを企むもう一人のハンター、そしてFBIに追われて米大陸を横断する2人には、奇妙な友情が芽生えた。
弟子の試合を前に、自らも再起に賭けようとする元チャンピオン。減量にトレーニングに、時間を逆流させるかのような熾烈な自分との闘いが始まる。襲い来る幻覚、繰り返される崩壊のイメージ。果たして彼に再起は可能か。-ボクサーの肉体と精神の闘いを見事に内側から描き、文学として結晶させた話題の長篇。
70年代、一人の青年がアメリカを旅立ち、インド、ネパールを放浪し、日本へやってきた。名前はランサム。京都で空手の修業にはげむ寡黙な彼が求めていたものは何か、その秘められた過去が語るものは…。70年代の若者の精神の漂流、そして宿命を、日本を舞台に描いた、ニュー・ロスト・ジェネレーションの作家の自伝的作品。