1988年発売
結婚をめぐって揺れ動く女心をきめ細かに描き、高雅な香りあふれる短編小説集。忍ぶ恋に悔いのない生き方を想い、密やかな愛のなかで男の優しさを求める女の心情。“幻の辻ケ花”と呼ばれる家康着用の小袖を京都・南禅寺でかつての恋人と共に見る知左子を描く表題作など、現代の女の生き方を問う名品8編。
狂気のテロリスト・グループが、地中海航空のボーイング727をハイジャック。200人の乗客をバスに押し込んでレバノンの砂漠に消えた。「要求が入れられなければ、子供を含む乗客を1時間に1人づつ殺す」。アメリカ大統領は直ちに、直属の極秘部隊(コーディズ・アーミー)を現地へ送った。ウージーが、マグナムが、手榴弾が、最新鋭戦闘機が、ヘリが奏でる地獄の交響曲。
長いあいだ埋もれていた「横山大観」の若き日の傑作が発見された。そのニュースに美大の助手・茂木は愕然とする。数ヵ月前、雪深い秋田の商人宿で、行きずりの男が茂木に見せた絵がそこにあった…。次第に明らかになる12年前の殺人事件の真相は?名探偵・岡部和雄警部の推理が美術界の暗部に迫る。
ローラは、シルバー湖のほとりの払い下げ農地へ引っ越していくとき、すばらしい馬に馬車を引かせた青年アルマンゾに出会った。日々の糧を得るのにも苦労したローラ一家と対照的に、ワイルダー家は、富裕な農場主で納屋に入りきれないほどの家畜をもっていた…。後にローラの夫となったアルマンゾ・ワイルダーの少年時代をつづった物語。
「万人の幸福のために」もっと上等のたばこをつくりたい、そう考えたために国助は専売公社を追われた。ある日、巷の古ぼけた食堂で見知らぬ男に声をかけられ、運河のほとりの秘密たばこ工場に雇われる。そこで次々に奇妙な体験を重ねるが…。表題作「鷹」のほか「珊瑚」「鳴神」を収録。透徹する深遠な幻想と独特の文体のリズムに、痛烈な世相批判を篭める傑作諷刺小説。
霧の深い夜、碓氷峠を走る白いメルセデスが、きまって事故を起こす…。横浜に帰ってきたジロー、ミハル、竜さんの三人組を待っていたのは、避暑地・軽井沢での次の事件だ。なぜ、白いメルセデスばかりが襲われるのか…。事故に誘いこむ赤い尾燈の謎に、逆ハンぐれん隊が挑戦!碓氷峠を舞台に、3人の軽妙なドラテクが霧を裂く。はたして白いメルセデスに隠された秘密とは…。
フィアンセの宙太がいながらも、いまだあきたらずにイイ男さがしのひとり旅を続ける、自称“恋の狩人”星子サン。しかし、今回ばかりはワケあって、宙太とふたり、ブルートレイン『北斗星』で北海道へ旅立つことに。ところが星子、一流ホテルの雰囲気漂う素敵な客室に酔いしれる間もなく、女性の死体を発見。そしてそれが、星子にとって生涯忘れえぬ、つらく悲しい旅の幕開けになろうとは?
「学校には悪い大人がいる」そう言い残して辞めていった後藤先生。あたしたち、何のことかさっぱりわからなかった。ところが次の日の朝、英語の岩根先生が密室状態の音楽室で殺された…。怪しいのは岩根先生とつきあっていたハンサムな森川先生、それにPTAの綿引会長。あたし・南子は早速、事件解明に乗り出した。…でもコアラ先生、犯人について何か知っているんじゃないかしら?
おなじみ聖クレア高校の由季、邦彦、浩一、そして地縛霊の今日子たちは、琵琶湖に面したホテルへ修学旅行に出かけた。もちろん新聞部の連中も一緒である。このホテルには、重症のアトピー患者のサッちゃん親娘と、行方不明の花婿を捜している三人組と、正体不明の暗殺チームがいた。聖クレアのおせっかい焼きの四人は、怪異現象の起こるホテル周辺で、花婿捜しの手伝いで飛び回っていた。
あたし、沖田五月。道場の娘で剣道の達人なの。正義感が人一倍強くて、ケンカっぱやいのが玉にキズだけど。ある日あたしは西麻布のプール・バーで数人のチンピラをたたきのめし、鎌倉の高校に転校させられることになったの。転校当日、カッコいいフェンシング・ボーイ・藤原秋と出会ったのもつかのま。あたしは、すぐにきびしい校則をおしつけようとする体育教師・石本と対立することに…。
皐の友人として、家住湊の家でのパーティーに招待された蒼。ほかの級友の女の子たちは有名な作家である湊を前にして、はしゃいだりしているものの、皐に思いを寄せる蒼としては、湊と皐の関係が気になった仕方がない。湊の恋人である亮子にとっても、それは同じことだった。パーティーの後、皐を家まで送る帰り道、蒼の「好きだよ…キスしていいかな」という言葉に、皐は戸惑ってしまう。
お好み焼き『ペーパー・ムーン』はパートさんがお休みしてるんで、商店街の福引きの当番が割り当てられた日は、あたし、奈々子と耕介くん、マスターの三人は大変。急いでるのに遅刻して怒られ、苦手のネギで指切って、ついでに階段でコケてカワイイ女子高生を踏んづけてしまった。そしてその女子高生が大富豪の柿の木御殿のお嬢さまで、耕介くんを恋人にしたいと、あたしにライバル宣言をした。
失恋の痛手を忘れるため、自分の道を見つけるため、美也子はロンドンに留学中。優しいホスト・ファミリーや陽気な仲間に囲まれ、いそがしいけれどにぎやかな毎日だ。ある日、大事な試験に失敗して落ちこむ美也子のもとへ、日本からの電話が届く。相手は瞬。美也子の想いがかなわなかったひと。その瞬が、夏休みを利用してロンドンに遊びにくるという…。好評『恋のむこうにオフロード』の続編。
七生は中三、努力のかいあって成績はいい。が、運動だけはダメ。まったく泳げない七生に、保健の先生は「このままでは、赤点をつけるわよ」と脅かす。七生のもう一つの悩みは、どんなに努力しても、クラスメイトの伊戸川君を抜けないことだ。七生は友達のテルコと塾に行くことにした。ところが、その塾には伊戸川君がいた。もっと驚いたのは塾の先生。-水泳を教える塾なんてあるの?
あたし、八彦沢リサ。16歳。リサって呼んでね。ふつうの女の子のつもりだけど、食欲だけは誰にも負けない!って特技があるの。今日も“青山グルメガルーズ”の仲間、歌子やめぐと、おいしいもの屋さんめぐり。というのもね、学園のアイドル・東山薫くんの好みの女の子が「ポッチャリしたタイプ」っていうじゃない。彼好みの女の子になって彼の愛を、とガンバってたのだけど…。
おれ、城西潤、18歳。渋谷学院大学一年生。実は好きな女の子がいて。名前は、真田慧子。同じ刑法クラスの子。明るくて気まぐれで、ミステリアス。だから恋人同士になりたいのに、彼女にはその気はないみたい。非常に残念ですけど。-でもクラスの仲間、慧子や詩織たちとスキーに行くことになって…。恋する男の子の心をのぞいてみたい女の子は必読!やさしく哀しく甘やかな青春物語。