1988年発売
六千枚に及ぶ「魔法陣」シリーズの記念碑的大長篇ミステリー!医療ミスによる死亡事故に端を発した連続殺人事件…。本シリーズでお馴染みの梶記者と真部警部が活躍!
〈魔道神話1・2のあらすじ〉ヒマラヤの魔道行者ジャハーシンラは、全宇宙の支配者たるべく、失われた真言を求め、日本へやってきた。竜神の裔であり、超人的なカンフーの達人・竜門剛と丹の比売神子との間に生れる子が、その真言を有するのだ。真言をめぐって、CIA特別顧問N・ハーツバーグや葛城一族の再興を計る夢の暁円と葛城の姫・環、謎の雲水・木喰の山楽、紅の民の長・蹈鞴道雲など、敵味方混然とした抗争が続き、遂に三輪山の志貴是範の屋敷で闘いは頂点に達した。まさにその瞬間、雷鳴が轟き、ドラゴンの水柱が奔しり、剛と比売神子は結ばれた。
死ぬことはなかったのだ-紀元前1496年、エジプト女王・ハトシェプストは自ら建設した巨大な葬祭殿の前にたたずみ、自害した忠臣・センムトに思いを馳せていた。葬祭殿建設の最大功労者であり、愛人でもあったセンムトを、女王は忘れることができなかった。葬祭殿の一角に自らの像を刻んだことが発覚し、毒を仰いで死んだセンムトを-それから150年後、「死人起し」と呼ばれ、かつて凄腕の墓あらしだったパキの許に、昔の仲間が転がり込んだ。葬祭殿で死んでいる筈の女王を見たというのだ。パキの冒険が再び始まる…。書下し長篇英雄活劇。
会員20万人、日本舞踊界最大流派・草柳流家元の草柳少緑は、実質的な家元の座を一人娘の夏子に譲っていた。が、実力の伴わない夏子に対する反発が次第に高まり、逆に夏子は、批判に対して厳しい制裁を加えていた。そんな折り、草柳流筆頭後継者の流山竜子が、夏子を無視して単独公演を計画、夏子は、強力なスポンサーを紹介するという名目で竜子に近づくが…(「姦通」)、他9篇を収録。社会派ニュー・ロマン。
長州から京に戻った鞍馬天狗は再起を期して白河三位との連携を計るが、勤王派公卿の連判状を握る裏切り者・梶谷主馬が白河卿に付きまとっていた。一方、杉作の手習いの師匠・香取任蔵は新選組隊士斬殺の容疑で捕えられ、その間に香取宅から海北友松作の名画が盗まれていた。連判状の隠し場所は?盗まれた名画はどこに。吉兵衛と杉作を従えた勤王の志士・鞍馬天狗が幕末の京を舞台に活躍する傑作時代長篇。
〈私〉のライセンスが再交付された。とたんに父親捜しの依頼が舞い込んできた。恋人ケリーとのよりも戻ったし、幸先のよいスタートだった。ところが、〈私〉はとんでもない殺人事件に巻きこまれたらしい。浮浪者になって行方不明だった依頼人の父は殺され、妹も姿を消してしまった。もと砂金の町、オロビルを舞台に十五年前の殺人事件が暴きだされ、新たな殺人劇が…。好調、“名無しの探偵”シリーズ最新作。
ロシアはアシュウィールドにとって禁じられた国だった。彼は以前、情報機関に属していたからだった。そんな彼がある日、元の同僚から1か月レニングラードに行かないかと誘いを受けた。語学研修コースに参加するだけでいいというのだが…。偉大なロシア文学と革命の地である、古都レニングラードの夏を舞台にくりひろげられる異色のスパイ・ミステリー。「プルトー・クライム賞」受賞作。
イギリスはホームズを生んだ国だけあって、シャーロッキアンも数多く、そうそうたるメンバーが顔をそろえている。たとえば本書に登場する、「熊のプーサン」のA・A・ミルン、推理作家のドロシー・セイヤーズ、ディクスン・カーなどもそうだ。彼らはホームズ物語と作者ドイルをめぐって蘊蓄を傾け、多彩な話題をくりひろげる。本書はその有名なエッセイを集めた古典的なアンソロジーである。
ロサンゼルスの私立探偵ジェイコブ・アッシュはシルヴィアという挙動不審な女性の依頼で、彼女のフィアンセ、ホフマンの素子調査に乗りだす。彼は埋立て地の技師なのだが、政治家とも親しいらしい。また特殊な趣味も持っていることがわかる。ある日シルヴィアが車にはねられる…。ハメット=チャンドラーの伝統を引き継ぎながらも独自の手法で現代を描きつづけているユニークなハードボイルド作家、アーサー・ライアンズの傑作。
南房総の海岸で3人組の男に襲われた冴子と母。だが、心の傷が癒えた頃に母は突然自殺をする。一方、男たちが残した1枚のフィルムについて父は口を開こうとはしない。孤独に犯人を探す冴子だったが、男たちは殺されてしまい、ネガフィルムが示す16年前のある出来事を軸として公判が開かれた。両親の秘密が明らかになり、二転三転する審理の末に弁護側証人として出廷した意外な人物は?著者会心の本格推理。
奥多摩・青梅の神社で、高校生の死体が発見された。被害者は医学部進学を目指す秀才。しかも、系列大学医学部への推薦枠をめぐる不正を探っていた。続いて、ライバルの女生徒を教えていた東大生家庭教師も殺される。背後には巨大な黒幕が…。そして舞台は成田へ。斬新なアイデアと、卓抜なトリックを駆使した気鋭の本格推理。
盟友明智光秀と共に足利義昭の将軍擁立に奔走し、やがて信長に臣下に。戦国の世を生き、傍ら茶道・和歌の世界に独自の境地を切り開き、世に“文芸大名”と称された細川藤孝(幽斎)・忠興父子の数奇な生涯を描く。
島帰りの牢人が、浜田旧城下で贋の公卿に化け、維新の世に不平不満をもつ旧藩士や庶民を引きこんで、ひと騒動を企んだ(浜田騒動)。-時代小説界の巨匠が、武士世界の悲喜こもごもを綴る珠玉の短編集。
死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説。
大統領の演説草稿担当官から核エネルギーの最高機密“Qクリアランス”を扱うポイントに出世した平凡な政府職員ティモシー・バーナム。彼の当惑をよそに、KGBのスパイは新たな“重要人物”の登場に色めきたち、大統領の取り巻きたちは右往左往。バーナムを陥れようと…。-ベストセラー『ジョーズ』の原作者が、自らの体験(ジョンソン大統領のスピーチ・ライター)を生かして、ホワイトハウスの内幕を辛辣なタッチで描いた痛快傑作ノベル。