1988年発売
〈私は魔女なのよ-〉全寮制の名門聖真女学園で、高取恵が謎の言葉を残し焼死体となって発見され、続いて堀江千秋が刺殺された。それが恐怖の幕開けとなった。学園に転校して来たばかりの和泉冴子は、生理の度に、血の悪夢に悩まされ、相次ぐルームメイトの死に“もしかして私が”という不安に戦いていた。冴子には夢遊病の癖があったからである。さらに連続殺人劇は進行し、疑惑の眼は冴子に向けられた…。いったい魔女という言葉の意味は?殺人鬼は冴子自身なのか?推理文壇の若き俊英が本格推理の醍醐味と心理サスペンスを見事に結実させた注目作ここに誕生。
名古屋に向かう“ひかり87号”の車中で出版社の外注校正係、草田恭子が毒殺された。その直前に恭子と接触したと思われる“長身の男”を割り出した捜査員は、トラベルライター笹岡卓也と市役所勤務の折原俊彦を容疑者と断定した。しかし笹岡は同日同時刻、取材のため熊本に、一方、折原は新大阪発“ひかり23号”で博多に向かっていた。東京ー名古屋間をノンストップで走る新幹線での殺人は2人には絶対不可能に思われた。アリバイ崩しの名手が満を持して贈る本格推理の傑作。
紫の廊下を、薄い衣裳の裾を引きずりながら神の聖なる娼婦が歩く。その秘密結社「アメン神団」の幹部小泉博は、不思議な図形を記した手帳を残して失踪した。新沢大作はその図形をたよりに捜索を開始し、天橋立からギリシャへ、そしてエジプトでようやく彼の足取りを掴んだ。しかし、小泉の背後には“ギルガメシュの秘宝”を巡る壮大な陰謀があった…。失われた超古代の秘宝を求めて、ピラミッドの内部深く展開するアドベンチャー・ロマン“空白”シリーズの第4弾。
芭蕉の句碑が立つみちのくで、殺人、変死、拉致事件が相次いで起こった。しかも『奥の細道』に関する“ショッキングな新説”を執筆中の大学助教授橋本行三が謎の失踪を遂げた。僧侶で警部の鳥居快海は虎田警視監ことトラカンの密命を帯び、みちのくへ旅立った。やがて事件の発端は三百年前、芭蕉とその同行者曽良の不審な行動にあることがわかった…。ブルーのBMWで疾駆する気ままな美女岩波海子とともに、芭蕉の謎と連続殺人を追う、人気シリーズの第3弾。
こんなのはなにかのまちがいにきまっているー伸弥はなにがなんだかわからずに、無人の駅前広場に突っ立っていた。朝とまったく同じ、きれいさっぱり、あっけらかんと静かなのだ。電車も動いていず、人々はベッドやふとんの中で、あるいは道端で、ぐっすり眠っている。それも、みんな幸せそうな顔をして…。起きているのは伸弥のみ。パニックに陥って街中を走り回った伸弥だが、仕方ない、とりあえず年上の女友達・二谷静香さんのマンションにいってみようと、自転車を拝借した。走っているうちに、起きている人間に出会うかもしれない…。甲州街道を走っていると、車のエンジン音が聞こえてきた。ベンツが伸弥を襲った!男が運転している。その男、酔っ払いの郭と、伸弥は東京探険へと出かけた。伸弥の背後に取り憑いた少女の霊、深夜歩きまわる夢魔。不可思議なことが続く。伸弥たちのサバイバル。次々と意表を衝く気鋭のSFファンタジー。
重ねて前科が14犯。焼跡闇市に若い男も女も、命と身体を張って手傷をうけた。傷は癒えても心に染み込んだ毒はおいそれとは消えはしない。ちんぴらヤクザ水田順二の物語。人気作家・安部譲二の自伝的小説。
中世庶民のおおらかな笑い。ヨーロッパ中世のハレとケ、そのケの部分を描くのがファブリオーである。坊主や芸人、農民、町人らの愚かさや世渡りの知恵を笑いとともに生き生きと描く落語的世界の全貌を語る。
ゴルフは、ミステリー。いやしくもゴルファーたらんとすれば、様々な困難が待ちうけているもの。落雷、カートの暴走。ライバルの恨。奥方の小言。ましてや、シングル・ゴルファーへの道となれば…。魔のスポーツ、ゴルフに魅せられた男たちが繰り広げる、世界初のゴルフ・ミステリー傑作選。
アルコール中毒の“のぞき魔”が見た悪夢と、“のぞかれた女”が見た地獄。2人の男女が接触をはかった時、彼らの周辺に恐ろしい事件が起こり始めます。やがて、信じられない結末が…。「五つの棺」の折原一、待望の処女長編。
焼けつくように暑い7月のある日、テッサの前にひとりの女が現われた。名前はブレンダ。アル中気味の彼女は、動転しながらも、夫が突然失踪してしまったことを告げた。あんなに優しいひとが家族を捨てる?不審に思ったテッサは調査に乗り出したが…。女優テッサの活躍を巧みなプロットとドライなウィットで描いた、英国女流作家の長編初紹介。
大統領の様子が近ごろおかしい。いつも快活な人柄が孤独で粗暴な性格に変わってしまった。家族にも、友人にも、国民にも猜疑心を抱き、ついにソ連の全面核攻撃を妄想するに至った。何が彼をかくも狂わせたのか?それは主治医サッチャー博士だけが知る秘密であった。追真のストーリーに実在の大統領医務官も絶讃したポリティカル・スリラー。
ロンドラ会戦より5年の歳月が過ぎ、カマルグには再び平和な日々が訪れた。だがある日のこと、ホークムーンのもとへ、戦死したはずのブラス伯を見たという知らせがもたらされる。ホークムーンを知らず、あまつさえ彼を裏切り者と呼ぶ、このブラス伯は何者か?一方、旧暗黒帝国の残党は不気味な活動を始めていた。待望の《ブラス城年代記》三部作。
ジェミニ星系デクストロ第二惑星で人類が出遭った種族は、カイバーと呼ばれた。全身を金色の甲殻に覆われた彼らは、言語学者・高橋恵子から恐るべきスピードで人類の知識を吸収していくが、奇妙にも自らの文化を語ろうとはしない。一方、デクストロはノヴァ化を迎えつつあった。英米SFの最前線に立つ二作家が放つ意欲的ファースト・コンタクトSF。
この物語は、墓地に逃げこんだ男の悲鳴で幕があがる。そして展開するのは魑魅魍魎の世界-たとえば、「貴様は…一体…何者だ。亀頭は震え声で叫んだ。声を出すことによって、萎縮してしまった魂をふるいたたせようとしたのだ。おれか、赤い濁った双眸から鬼火のような燐光がほとばしった。おれは地の底の闇より幾多の呪われた自我を担って地表の物質界に蘇生した魂だ。おまえのような痴愚な凡夫とは人間の種類がちがう。特殊な頭脳の持主なら、おれの背髄中に息づいている超太古の叡知を視ることが出来るだろう」というように!欲がうず巻く・性が疼く・力が暴れる-人間の胸の奥の呵嘖をゆさぶって文が跳ねる。-著者会心の長編伝奇ロマン第5巻乾の項。
箱根のホテルでアルバイトをすることになった大江星夫の仕事は、前庭でアイスクリームを売ることだった。やっと売れたアイスクリームを客がひと舐めした瞬間、星夫の面前ですさまじい苦悶の形相で死んだ。ちょうどその時、ホテルから出てきた美女が、蜂が入ったと悲鳴をあげてスカートを高くまくり上げた行為は、星夫には事件と無関係とは思えなかった。警察から釈放された星夫は、井澄晶子という美女を追及せずにはいられない気持ちで、ホテルの近所にある広大な母神教本山の安楽境に乗り込んだ。晶子の美貌に圧倒されて、怒りを忘れた星夫は、安楽境に滞在することにしたが、そこではどろどろした派閥争いから地獄のような怪事件が続発する。最後の1ページまで逆転の連続する書き下ろし長編本格ミステリー。
いつ終わるともしれない戦いを続けるマントル王朝連邦国とコア王国。ルーニ・シューイは、マントル王朝連邦国の少年空中隊員として、いつものように出撃したが、“ルシアの谷”上空で奇襲をうけてしまった。ルシアの谷に墜落してゆくルーニ。その先は敵国の領土だ。コア王国スルガール島の周辺に不時着したルーニの命を助けたのは、チェルト・フレイユというひとりの少女だった。戦いのない平和な国があるというチェルトの祖父の言葉を信じ、ふたりは第四世界へ旅立つ。ねこまんまのポチを仲間に、ふたりと一匹の旅が、今始まった。
ボクの名前はヒロユキ。高校1年。平凡な学生だったボクはある日交通事故にあってしまい、そのまま気を失ってしまった。気付くとそこはまるでみたことのない世界だった。そのうえ、ボクの意識は異世界の冒険者アドル・クリスティンと名乗る少年の体に入りこんでしまっていたのだ。魔王ダルク・ファクトに支配されたここエステリアで、ぼくはイースの本をめぐる壮絶な戦いに巻きこまれた。