1988年発売
3カ月前、あの有能で世間知らずな学者ペロラットとともに、トレヴァイズはターミナスを発った。考古学者であるペロラットは遥かな昔に見失われた地球のありかをつきとめたいという情熱に駆られており、トレヴァレズは自分自身の真の目的-第二ファウンデーションの発見-を隠すためにかれを利用したのだ。二人は地球を発見することはできなかった。だがそのかわりに、ゲイアを見いだしたのである。やがて第一、第二両ファウンデーションとゲイアとの間で行なわれた壮絶な闘い…。『ファウンデーション』に始まる〈銀河帝国興亡史〉とロボット・シリーズとを融合させるべく、巨匠アシモフが壮大なスケールで描きあげた待望の最新長篇!
トマス・マクスウェルはニューヨーク在住の作家だが、著名作家のペンネームだろうという説が強い。評判となった処女作『キス・ミー・ワンス』につづいて発表した本書は、ボストンの上流社会とニューヨークを舞台に、友情と復讐と裏切りと禁じられた愛を描いた期待作である。
家庭さえも仮の宿にすぎず、もはや安らぎの場所はどこにもない。きびしい現実のなかで幸福を求める、アメリカの女たちのさまざまな心を鮮やかに描く、短編小説20編。
京都美大生の藤井美和と池内冴子は、ある日著名な彫刻家・加川昌に嫁いだ美和の姉・雅子を神戸に訪ねた。チャイムに応答がなく、不審に思った二人が塀を乗り越えアトリエに回るとガスの臭いが…。中には瀕死の雅子が倒れていた。昌の愛人問題で夫婦仲は冷えきっていたらしく、自殺未遂説、失踪した昌の殺害説、遺産狙いの共謀説が飛び交う。美和と冴子も事件解明に乗り出すが…。軽妙タッチのミステリー。
景気のどん底を迎えた昭和3年、小田原の奉公先「八百辰」で見こまれた天堂草平は、主人の長女・和枝と結婚した。早々の独立を企む草平、天秤棒一本で熱海へ行商、実はこれ、綿密なる市場調査だったのだ。2年後、義父から千円を借金、熱海の旅館街に倉庫の軒先を借り受け、露天商まがいの八百屋を始めたが、後に「ヤオタツ」と海外にまで知られる草平の第一歩であった。時代に先駆けたスーパーの雄、熱血記。
大正6年3月初め、広田大尉は密命を帯びて単身シベリアへ潜入した。が、怪しまれて牢につながれた広田はそこで三井家の八男海彦と知り合う。二人は牢を逃がれ、赤軍の戒厳令下にあるシベリア国境線一帯を抜けるー「風来坊と軍事探偵」他、明治、大正、昭和と三代にわたる動乱の時代を疾風の如く駆け抜けた青春群像を描く。夕陽に赤く染まる大陸の原野に日本男児の夢と野望が炸裂する痛快冒険大ロマン。
ロシア貴族のヴァレンスキーとハリウッド一の美女フランチェスカの間に双生児の女の子が生まれた。一人はこの物語のヒロイン、プリンセス・デイジー、もう一人は不幸にも障害をもって生まれたダニエル。しかし、母は交通事故で、父は航空機事故でこの世を去った。残されたデイジーは幾多の困難や苦悩を乗りこえて美しい娘に成長していく。女の愛と哀しみ、そして自立への道を鮮かに描くスーパーセラー。
大学を中途でやめて広告業界に身を投じたデイジーは、プリンセスの肩書きを心ならずも利用し、馬狂いの金持ちたちのために絵を描きはじめる。だが、デイジーにとって母とも呼べるアナベルが白血病に倒れた。ダニエルという重荷を背負いながら、果たしてアナベルを助け養っていけるだろうか?積極的な生き方で苦悩を切り拓くデイジーに、マンハッタンの愛の鐘はいつ鳴り響くのか…。待望の本邦初訳。
シカゴの一匹狼、私立探偵ポール・パインは、ある名家の老女主人に呼びつけられた。娘が脅迫されているのでカタをつけてくれというのだ。事情を詳しく説明もせず、高飛車にいう老女に、パインは一度は断わる。だが翌日の夜、前任者の探偵ジェルコの妻から電話がかかってきて…。ハメット=チャンドラーの遺産を継承し、熱狂的なファンをもつエヴァンスが綿密なプロットと味わい深い文体で綴る、正統派ハードボイルドの傑作。ポール・パインの栄光シリーズ完結篇。
桜井家に名目上養子で迎えられた晃二は、年上の妻玉乃に采配を振るわれ、苛立ちがつのるばかりだった。いっそ妻を殺してしまえばー化学者である彼は、秘かに実験を続け、功妙な手口を見出した。実行に移すのは玉乃の誕生日を祝う夕食会で、しかも客人の目の前で堂々とやってのける!!周到に準備された計画には、一分の隙もないように見えたが…。日常の中にひそかに息づく殺意を鋭く描いた、傑作本格推理。
防衛庁に極秘で兵器製造を企てる西浦電工。産業スパイの伊坂征一郎は、西浦電工のライバル会社からの依頼を受け、西浦電工のOLや若妻たち甘美な罠に陥れ、その謀略解明に乗り出した。一方で、兵器売買と政財界を陰で操る黒幕・芦沢は、機密漏洩を恐れ、兵器バイヤーたちに伊坂の抹殺を指令する。次々と伸びる魔手をかいくぐり、伊坂が察知したものは…。著者渾身の長篇官能サスペンスミステリー!
茨城県東海村にある東海第2原発に異常震動が発生!日本原子力研究所の湯原博士は原子炉を停止させるが、東菱研究所の井沢は、形ばかりの点検を済ませると、独断で運転再開に踏みきった。だが、再び異常震動が起こり、原子炉は破滅への暴走を始めた!膨大な資料を駆使し、原発倒壊の悲劇を赤裸々に描いて世界に問う、著者渾身の書下ろし長編小説衝撃作!
スナックのホステス、森園由香子が絞殺体で発見され、森園の愛人で、区役所に勤務する郷秀哉が逮捕された。だが、事件の成り行きに不審を抱く石倉練造刑事は、弁護士になりたての冬野尽に郷の弁護を強引に依頼した。1人ではからっきしだめな尽も、美女秘書の野村綾子、石倉の娘で新聞記者のさくら子、郷の娘で不良女子高生の淑子らの強力な助っ人を得て発奮!斬新な本格推理小説の秀作!
その日、会社社長西条宏助の家には、すでに結婚して家を出ている息子英一と妻馨子、英一の妹聖子が来ていた。兄妹は父に財産の生前贈与を願い出ていた。彼らは遺産が後妻に行くのが我慢できなかったし、緊急にお金がいる事情があったのだ。そして夜、惨劇の幕が上がり、殺戮は為された。女流俊英が描く完全犯罪の謎。
通り名が、“二本差(りゃんこ)”の弥太郎。跳ねッ返りそうな小気のきいたやくざ渡世の旅烏。そんな弥太郎が惚れた娘のために上州松井田宿で一暴れ(表題作より)。他に「次郎太川止め」など、計5編を収めた、痛快股旅小説集。
貴族の家を嫌ってロンドン警視庁の警官となったペリー・トリソワン。彼が実父の死を知ったのは、《タイムズ》の死亡欄でだった。事件の担当となったペリーの悩みは深い。世間の笑い者になるどころか、警官としての生命も危うい。というのは、父親は中世の拷問具にかかって死んでいたからだ。それも、薄いスパンコールのタイツをはいて…。-「抜群のテクニックとユーモアセンス」とNYタイムズ、ワシントン・ポスト絶賛。ペリー警部シリーズ第1弾。