1988年発売
敗戦。混乱と飢餓の中に、悩みつつも爽やかに輝く春青群像。新しい社会へ踏み出していく若い恋人たち、希望を抱いて働き学ぶ若者の群れ。折しも、ゼネストに立ちあがる労働運動のうねりが彼らをつつむ…。新生日本への息吹きと旧体制の崩壊をダイナミックに描く長編。
17歳のある朝、僕は死んだ。それは、僕の長い墓場人生の始まりだった。おじさんとは、墓地に来てすぐ友人になった。10年前に死んだおじさんは、墓地の生活に不慣れな僕にさまざまなことを教えてくれる…。処女作が中村真一郎氏に激賞された大型新人の長篇第二作。
戦乱の中で父を失い、武将らしくない夫を捨てて、江戸城に入り、家光の乳母となって、周囲の権謀術数と闘いながら、家光を三代将軍の座につけた強い女の心の底には…。偶然から将軍の乳母という特殊な立場に立った女の強さとその裏側にある“女”の心を描ききった本格的な力作長編小説。
あなたは〈子育て〉に悩んでいませんか。にせの家族だからこそほんとうの家族よりも確かめられる親と子のきずながある。家族とは、親と子のきずなとは何かを問うハイブリッド〈子育て〉の試み。六つの短篇集。
都会では時間がめまぐるしく流れ万物が変化させられるのに、田園では今もなつかしいものがしっかりと生きていて影響を与えつづけています。風のささやきも緑のざわめきも、その他のすべてが意味のある言葉で人を動かすのです。この物語は、そんな悠然たる時間をかかえた村の出来事です。久しぶりに帰郷した探偵の前に古い殺人事件がよみがえり、山野を怪獣が疾走し、埋蔵金伝説の村が震撼します。
ニューヨークを発ち、一路リオへー。船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して2日めの夜、乗客の一人が殺されるという事件が突発した。状況からして存在するはずの目撃者が証言すれば結着はつくのだが、名乗りでる者は1人もいない。かくして閉ざされた船上、密かに目撃者捜しが展開することになったが…。才媛の秀作、待望の初紹介。
1940年代、シカゴ。とある路地で、3人の郵便屋が相ついで殺されるという事件が発生した。弁護士マローンは飲み代欲しさに首を突っ込んだが、世の中そんな甘くはない。ただでさえ厄介なこの事件、例のごとく友人のジャスタス夫妻にかきまわされて、滅茶苦茶な様相を呈していったのだ!笑いとペーソスが彩るライスの秀作、待望の新訳決定版。
冬野尽は29歳の弁護士だ。が、やっと司法試験に合格し、やっと居侯弁護士から独立して事務所を開いたばかりだから、客はめったに来ない。とにもかくにも尽ちゃんが弁護士になれたのは、秘書で美人の野村綾子のお陰である。綾子は尽ちゃんのかつての家庭教師だったが、それは猛烈をきわめ、物差しでビシバシひっぱたいて鍛えたのだった。子持ちで離婚歴のある33歳の綾子と毎日ひまな事務所で顔をつき合わせている尽ちゃんは、アッチの方がダメなのだが、女盛りで魅力たっぷりの綾子に時には股間が刺激されるのだった。-男と女の微妙で深い襞を軽快なタッチで抉ったユーモア・ミステリー。
日本とフランスにまたがる刑事事件を追って渡仏した兄の死亡通知ー。妹の摩梨華は父の代理で渡仏するが、兄の死を確認する前に、奇妙な事件に巻きこまれる。その渦中で彼女は“失なったはずの恋”に再会する。めくるめく愛とサスペンスに満ちた極上のエンターティンメント。第一回「小説賞」受賞作。
かつてメネス大陸を統一していたファルコン公国は、辺境伯の力が滅ぼされてしまった。数年後、ファルコン公国のお姫さまレミーを中心に、主人公ロム、魔術師ガーディは公国復興に立ち上がる。「ツァクト ザク ラグディオ ル ラバン」という謎の合言葉。これをもとに5人の協力者にコンタクトをとり、公国のシンボル「ファルコンの円盤」奪還作戦を決行する。目的地“沈黙の地”へ向う彼らを待ち受ける計略、裏切り、死闘。そして、辺境伯の巨大な野望が明かされていく…。今、ここに大河アドベンチャーの幕が開く。ようこそ、ドラゴンロックの世界へ。
おいらはナム。霊幻道士の修業中のおいらは,ひょんなことからデパートで開かれる、「キョンシー展」の警護をするこになった。そこへ怪盗ウーロンと名乗る男が、展示品の中でも特に価値のある“桜蘭玉”をうばうと予告状を送りつけてきた。それからが、もうたいへん!デパートの中はキョンシーたちが暴れ回るし、ベビーキョンシーは超能力を使っていたずらするし,おいらどうすりゃいいんだ。こうなったら、デコボコキャンシー軍団をたたきのめして、桜蘭玉を守りぬくぞ。