1988年発売
競馬界では三大クラシックレースのひとつ、ケンタッキーダービーが間近となり、有力馬の馬主たちは盛大なパーティを催して前景気をあおっていた。そんな折、謎の脅迫状が馬主たちに送りつけられ、最有力馬の馬主が刺殺されという事件が起きた。三大クラシックの実況放送のためにケンタッキー州ルイビルを訪れていたレース・アナウンサーのジェリー・ブローガンは事件解明のために調査を始めるが…。注目の競馬ミステリ、第2弾。
第一次大戦のさなか、スイスに亡命中のレーニンは、ドイツの支援を受けてロシアへの帰途についた。ドイツ側の見返りは彼が政権をとった際の両国の講和。この情報を察知した英国は彼を暗殺すべく、スパイあがりのアメリカ人バウアーを派遣する。が、合衆国やロシアの思惑もからむなか、レーニンらが乗るヨーロッパ縦断列車に潜入したバウアーを待つのは死と陰謀の渦だった。史実を基に壮大なスケールで描く第一級の冒険サスペンス。
〈二年前のことだ。そのころから、ぼくのあたまはおかしくなり始めたー〉ぼくの名前はチャーリー・デッカー。プレイサーヴィル・ハイスクールの最上級生だ。ぼくは、代数のアンダーウッド先生と、歴史のヴァンス先生を父のピストルで射殺した。あっという間のできごとだった。しかし、だれもいまおこっていることを信じられない。警官隊がやってきてぼくたちを遠巻きに包囲している。ぼくとクラスメートたちは日常世界から切り離された世界に漂いだした。まるで白日夢のような、しかし緊迫した時間がながれていく。五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。
7月2日夜、ヤミ金融会社社長、天本禎夫が失踪し、1週間後、横浜の木材港に死体となって浮かんだ。ルポライター浦上伸介は、社員瀬田えりの証言から、天本が失踪した日に、秋田から持ち帰った土地の権利書を探り当て、秋田へ飛んだ。しかし、天本殺害の重要な物証となる権利書は、秋田の素封家中野家の大金庫に収められていた。はたして、犯人はこの物証を移動することが可能か!人を乗せない急行列車とは何か?大阪-東京-秋田を結ぶトリックに、浦上が挑む!“アリバイ崩しの名手”津村秀介待望の書下ろし長編推理最新作。
恋人に裏切られ、暴漢にレイプされ、地獄を見てしまった女ー。サドを気取る男に拾われ、マゾプレイを仕込まれ、苦痛の裏に潜む、とろけるような甘い疼きを感じはじめるー。が、それでもなお、満つることない女の性ゆえ、秘めたる濡壺からは、滾々と蜜汁が湧き出し、新たなる牡を待ちつづけるー。
憂いを含んだ美貌の未亡人、絵里子。彼女発する牝の匂いは周囲の男たちを「けもの」に変える。年老いてなお盛んな義父と、獣欲に身を焦がす義弟の肉茎がしとやかな唇を穢し、秘肉を割る。けものの交わりに嫌悪を抱きながらも、淫牝と化した絵里子の媚肉は弄ばれる期待にうち震え灼熱の猛りに悦びの蜜をあびせかける…。
孤独な老人の飢餓死によって発見された500巻の壮大な長篇小説は、人類に何をもたらしたか?この小説をめぐって、狂騒するマスコミ、昏睡する読者、跳梁する犯罪集団ー想像力の盲点を突いた過激な表題作に、無為の日常からの脱出を幻想的寓意で描いた「迷宮生活」を併せて収録。
「新しい第一級の作家の出現」とガルシンに激賞され、颯爽と文壇にデビューしたチェーホフの短篇から、「あるがままの生活を描く」という手法で書かれた前期の傑作「ともしび」、当時のロシアを閉塞した精神病棟になぞらえた問題作「六号室」、崇高な愛と凡俗な生活との間で揺れ惑う男女を描いた「犬を連れた奥さん」など6篇を収録。
愛をあげよう、ポケットの中の愛を。そうたんとはあげられないが、心が渇いたときは思い出してくれ、先生のポケットの中の愛を-。息ぐるしい中3の秋を、今日も金八先生は、生徒たちといっしょに歩いていく-。
「竹千代さまを、ご立派にお育て申さねば、なき権言さまに申し訳けがたたぬ…」“反逆者の娘”という烙印を胸の痛みとしながらも、完璧な乳母として竹千代(家光)の成長を願い、気丈な女として大奥取締り・朝廷と幕府との確執に心を砕き、徳川家安泰を肝に命じて華やかに生きた春日局(お福)の、波瀾の生涯を描く書下ろし歴史長編!
制服を着てのデイトに応じてくれた彼女は、肘を張って彼を押しのける仕種をした。しかし、激しく抵抗するという感じではない。体臭が匂う。酸っぱいような刺激的な匂いだ…。ユニフォーム会社の営業部員である志木明は、仕事と遊びに奮闘。今日も制服の美女を求めて、充実のアフター・ファイブを。
ウェルティーの全作品を系統的に論じた、わが国最初の書。現代のミシシッピー州ーこの狭小な時と場所に生きる名もなき人々を通して、人類の歴史と宇宙の星々にまで及ぶ、壮大なイメージを展開させるウェルティー文学の真髄に迫る。
女性週刊誌記者樺山葉子、シンガーソングライター花岡月子、大手商社OL北井澄子は横浜山手の、港の見える町を故郷に持つ幼なじみであった。三人は経済的にも恵まれたキャリアウーマンであり、自由で華やかな生活を楽しんでいた。彼女たちは、結婚は魅力ある女性の天敵と考え、否婚の人生を歩もうと誓い合う。結婚は否定するが、恋とセックスは充分楽しむというのが否婚女性のモットーであった。年下の恋人、銀髪のパトロン、不倫…奔放な愛が、独り生きる女の夜を妖しく彩ってゆく。だが、時に、彼女たちをとらえる、この深い淋しさはいったい何であろうか。結婚に背を向けて生きる女の青春と哀感を通して、愛とは何か、結婚とは何か、性とは何かを問う新都会派小説-。