1988年発売
謎めいた過去を持つ若き人気女形・嵐夢之丞が忽然と姿を消した。時を同じくして、江戸市中で夢之丞に似た美女が次々と惨殺されていく。夢之丞を慕う女掏摸・切支丹お蝶、碧眼の怪剣士・西東霊之介、女賊・雲居のおさよ、善玉悪玉入り乱れ、運命の妖しい糸が縺れ合い、怨霊渦巻く地獄の島で、いま夢之丞の恐るべき秘密が明らかにされる!新感覚の伝奇時代ロマン・シリーズ第二弾。
第三世界会議に出席中のエジプト・メキシコ両国の大統領、国連事務総長、そしてピットの父を乗せたヨットが消えた。偵察衛星の目からも隠れてしまった船の行方を、ピットは冷静な推理で捜し当てたが…。一方測り知れぬ価値を持つ古代の宝物の在処は、最新のコンピューターを駆使しても確認できない。北極から南極へ、古代から未来へ、現代のヒーローの時間と空間を超えた活躍。
どうして大きくならないの?なぜ返事をしないの-。マリオネットの手足がてんでに宙を舞う。狂気が胎児のように、着実に育ってゆく。友人の死にまつわる赤い記憶も、しだいに形をとりはじめ、そして-第1回日本推理サスペンス大賞優秀作受賞。
19世紀の末、大旱魃に見舞われたブラジルの奥地に、突如現われた流浪の説教師。世界の終末と人類の滅亡を説く男は、たちまちにして貧困や飢えに悩む人々の心をとらえる。やがて、預言者を中心に安住の地カヌードスにたてこもる宗教的熱狂者の集団と政府軍の過酷な徹底的闘争が始まる。著者の円熟さを示す壮大な野心的大作。
女流作家はなかなか書かない、おふくろはうるさいし、おやじは男と同棲してる。あたしの生活はネコと自転車と料理と映画、そして昼寝。小さな事件が名を連ね、錯綜とした日常性の中、小説は書かれ、お話は続く…。
明治維新前後の転変が、一家一族の上に及ぼした影響も描かれて、総体として、行きとどいた家族年代記、もしくは時代的展望を内にふくむ屈曲に富むグループ・バイオグラフィ。つまり、一個人の生涯と業績という枠をはるかに踏みこえた、いわば大河伝記の試みであり、この点での『渋江抽斎』のユニークさと斬新さは、今日の時点から改めて大きく積極的に再評価されるに足る。
匿名口座には巨額の金が眠り、隠し別荘の冷凍庫には見知らぬ男の死体が…夫の“遺産”にはどんな謎が隠されているのか?幼い頃から常に誰かの庇護の下で暮してきたトゥルーディは、結婚してからも旅行会社に勤める夫トレントに頼り切っていた。だが、二人がウィーンからイギリスに帰国した直後トレントが謎の事故死を遂げた。動揺する彼女が遺品を調べるうちに発見したのが、匿名口座と死体という奇妙な“遺産”だったのだ。彼女は怯えるネズミのように、一歩一歩生前の夫の行動をたどり始めた。だが、その時すでに彼女の周囲には死の罠が張りめぐらされていた…!冒険サスペンスの名手ルエルが、正体不明の敵を相手に独り闘う女を描く、戦慄のサスペンス・ロマン。
売出し中の美人作家ペイシャンス・マッケナは、新人作家サラの変死を目撃し、自らも病院に担ぎ込まれた。だが、九死に一生を得て、サラの死について話し始めた彼女にとって、刑事の言語は意外だった-「どこにも死体はなかった。倒れていたのはあなただけだ」周到な計画殺人が行われたと察したペイシャンスは、さっそく調査を始めた。事件の直前には、ベテラン作家が謎めいた事故死を遂げたばかりだった。事故と殺人とは関係があるのか?やがて、サラの死体は思わぬ所で発見された…!ニューヨーク風俗と華やかな出版界の人間模様が彩るペイシャンスの鮮かな推理!待望のシリーズ第二作。
恒星転送機の爆発により生じたエネルギー嵐の猛威から逃れようと、《クレスト3》はリニア飛行でアンドロメダ星雲の中心部から退避していた。その途上、島の王たちに仕えて恒星転送機を造る驚異の種族、恒星エンジニアの宇宙船が発見された。彼らを味方につけようと考えたパラスプリンターのウールヴァ兄弟とグッキーは、ただちにその宇宙船に突入したが…?
天文学者アーサー・ゴードンは、友人からの電話に息をのんだ。木星の衛星エウローパが、なんの前兆もなく突如消滅したというのだ。世界各国の調査にもかかわらず、原因不明のまま、次なる異常現象が地球を見舞った。アメリカのデスバレーに忽然と火山ができて、そこから異星人の手になるとおぼしき物体が発見されたばかりか、瀕死のエイリアンまでもが見つかったのだ。だが、この二つの事件を結びつけ、地球と人類に襲いかかる未曾有の危機を予見しえた者は、ひとりとしていなかった…。80年代を代表する俊英が雄渾の筆致で描く超話題作の開幕。
デスバレーで収容されたエイリアンは、冷酷な事実を告げた。新火山が実は邪悪な異星種族の手になる惑星破壊機械であり、今や地球がその標的にされているというのだ!その言葉を裏づけるように世界各地に同様の物体が飛来したばかりか、太平洋には途方もない質量の物体が落下し、海面の急激な低下と水温上昇、大気中の酸素量の危険なまでの増加といった異常現象がたてつづけに発生した。破滅へのカウントダウンがついに始まったのだろうか?現代SFの最前線に立つベアが豊富な科学的アイデアと壮大無比のスケールで放つSFスペクタル。
アーサー王はベイドン山の戦いでサクソン人に大勝し、見事ブリテン統一の野望を果たした。グウェンフウィファルの力添えもあって、その記念すべき戦を機に、アーサー王はしだいにキリスト教に傾倒していった。だが、〈湖の貴婦人〉ヴィヴィアンは、これを快く思わなかった。神聖なドルイド教の儀式でアヴァロンの王たることを誓った者が、キリスト教を重んじるとは、まさに裏切り行為というもの。そこでヴィヴィアンは、アーサー王と対決するためにマーリンと共に宮廷へと赴いた。ところが、そこでは思いもよらぬ運命が彼女を待ち受けていた…。
不治の病いの治療法を求めて、13世紀間という長い冷凍睡眠から目醒めた男が直面したのは驚異的な住宅難。地球のあらゆる地域をおおいつくした人類は、タイム・マシンを使って、ひとつの土地を時間単位で住みわけるまでになっていたが…。表題作「時間不動産」をはじめ、ヴィデオ・テープのダビングのように、あらゆる物質を、録物デッキでダビングして複製品をつくりだしてしまう「ダ・ビ・ン・グ」、煙草を喫わない人間が差別される世界の、煙草が喫えない男の悲劇「嫌煙権」など、SF短篇の魅力をあますところなく伝える書き下ろし短篇集。
1762年春、ワトスン司令官から命を受けたアダム・ホーム艦長は、部下のボンベイ・マリーン隊員を召集してマドラスへ向かった。その途上、海賊船に襲撃され苦闘の末にこれを撃破。ホーンらはようやくマドラスへ辿り着くが、そこで総督から困難な任務を申し渡される。東インド会社の買付代理人が、会社の金と貿易船を奪って失踪した。どうやらその男は、清国の広東で何事か企んでいるらしい。それを探り出せというのだ。フリゲート艦ヒューマ号に乗り、ホーンらは波高き海原へ出帆したが…!中国を舞台に展開する白熱の海洋冒険シリーズ第3弾。
風薫る初夏のパリ。今ここで核軍縮を目ざす東西五大国サミットが開かれようとしていた。続々と到着する各国代表団、そして報道陣。その中に四人の男女の姿があった。ケネディ暗殺は東側の陰謀と確信する元花形記者ドイル。無能の烙印を押されたアーンショウ前大統領。スキャンダルで国を追われたダンサー、メドラ。機密漏洩の疑いで職を解かれた元軍縮専門家ブレナン。地位も名誉も失った彼らは、再起を賭けてパリに集まったのだ。だが、そこで待ち受けていたのは、世界平和を脅かす恐るべき陰謀だった!圧倒的迫力で描く超大型国際謀略小説。
ソビエトの外交官ロストフは、ブレナンの潔白を証明できる人物だった。元記者ドイルの協力を得て、ロストフに接近を謀るブレナンは、偶然ジョー・ピートと名乗るアメリカ青年に出会う。ピートは、かつてソビエト政府当局と問題を起こしたことがあった。その彼がなぜ、パリにいるのか?国交断絶状態にあるはずのソビエトと中国が接近中との情報を得たブレナンは、メドラの友人を介してピートの正体を暴こうとするが…。当代屈指のストーリーテラーが、サミットをめぐる多彩な人間模様と、その陰で秘かに進行する戦慄の計画を描く画期的大作。
KGBに命を狙われたブレナンは、陰謀の存在を確信した。ソビエトと中国のタカ派が手を結び、軍縮交渉を反古にしようと狙っているのだ。アーンショウ前大統領の証言をもそれを裏付けた。だが、彼らはこのサミットで何を企てているのか?折しもサミットは大詰めを迎え、ヴェルサイユ宮殿では華麗な宴が開かれようとしていたー。
どんな事件が起きても不思議はない険悪な空気が町に充満していた。新任の新聞記者クィラランは畑違いの美術担当にまわされ、新進画家や批評家を取材してまわった。ところが、そこに渦巻いているのは、嫉妬、中傷、よからぬ噂話ばかり…。女流画家を妻に持つ町の画商がオフィスで刺殺され、画廊の絵が刃物で切られたのは、そんなときだった。家庭内のいざこざとも思えたが、次の殺人が起こるに及んで…。新聞記者クィラランが頭を抱えた難事件を解決に導く、不思議なシャム猫ココの推理とは?世の猫好き垂涎のシャム猫ココ・シリーズの処女作。