1989年10月1日発売
ふとしたきっかけで56才の女性に、65才の男がせっせと恋文を送り始める。男側の恋文だけで成り立つこの小説は、デリベス得意のモノローグもので新小説の萌芽といわれる「マリオとの5時間」の延長線上にある。ユーモアとアイロニーに満ちたスペインの書簡小説。
四国の名家に生まれ、東京の女学校に学んだ百合子。だが、大正14年雑誌「文芸日本」を興こした進藤延との結婚は破局に終わり、やむを得ず3人の子供を両親に預け、一人東京で暮らしていく。転々と職を変え、やがて蒲田の大部屋女優となるが、ついに我が子と気持ちを通じ合えぬまま、一人孤独のうちに生涯を閉じる。死後、長男の著者の手に渡った遺品の日記からは、我が子を手放さざるを得なかった母親の切実な叫びが聞こえてくる。-あたしは愛したい-この言葉を残して逝った母親の姿を綴った一代記である。
フィリッピンの古老がいい伝える。男を狂わせ女体を悦楽に落とす幻の魔草があるという。この妖草を求めて、現代になお残る石器時代人が守るテリトリーへ、1人の日本人が潜入した。カカリ族の目を盗んで採取された妖草は、密かに日本へ運ばれ、東京湾沖の埋め立て地へ移植された。妖草は男たちの欲望をかきたて、彼らの血と命を求めた。海と空を舞台に繰りひろげられるネオサスペンスの書き下ろし長編。
同じことをしても、夫とは違う。夫なら、もう少し大胆に吸い、あるいは指を差し入れたり、アヌスにまで舌を這わせる。しかし、新鮮な感じに酔って、彼女は増々大胆なポーズをとっていた…。濡れて悶えて、一瞬の悦楽をむさぼりつくす、様々な不倫の関係を赤裸々に描く傑作群。
モンディン、ミナクス、そしてエクソダス3人の悪魔を滅ぼし、ブリタニアは平和と繁栄を享受していた。しかし、国王ロードブリティッシュは、ある懸念を持っていた。かつてこの世に恐慌を引き起こした悪魔は倒れた。が、それは人々の心の奥底にある内なる悪徳が呼び寄せたものなのだ。このままではいずれまた邪悪な力が生じるに違いない、と…。クエスト・オブ・アバタール、聖者への道。それがライキュームの哲学者たちの導き出した結論であった。アバタールとは、人類のあらゆる徳を極め、愛と勇気、そして真実の現理を知り、この世の公理を修めた聖者である。しかし聖者を目指すためには、想像を絶する苦難を乗り越えなければならない…。ロードブリティッシュの呼びかけにこたえ、8人の勇者が集い、究極のパーティが結成された。そして彼らは目指すのだ、聖者への道を。
熟れきった肉体を持つ人妻・菜央は、熱い身体をもてあましていた。そんな時、たくましくなっている息子を発見し、見境いもなくしゃぶりついていく。-若い男をふくみ、吸い、蜜壺へ誘うと、危険な愛は想像を絶した快感をもたらした。禁じられた関係に悩みつつ、我子との性に溺れていく女は…。