1989年11月発売
王道の武術を志す宗近恭平。前編〈疾風編〉の北海道から舞台は転じ、より雄大の地・中国へ。統一前夜の大陸で、待ち受けるは試錬の罠、必殺の双竜刀、牙剥く匪賊、妖麗の美姫。一難去ればまた新たなる強敵が!新興教主、満州浪人、愛弟子次郎らをまじえ、求めざる闘いに巻きこまれつつ、磨かれる武技、悲願はなるか往け恭平。
アラブ過激派に人質にされているアメリカ人27名の救出作戦。極秘裡に進行するこのトップシークレットが『ワシントン・ポスト』紙にかぎつけられる。記事にせぬよう圧力をかける大統領。「国民の知る権利」を主張する記者。そして、記者は謎の事故死を…。事件解明の過程で暴かれるホワイトハウスの陰謀!-ワシントンを舞台に、政治とメディアの中枢に生きる者たちの悲哀と葛藤を鋭くえぐったポリティカルフィクション秀作。
暗殺された両親の復讐を果たすベく、テロ組織“スカルペル”に身を投じたドルー。だが、ホメイニ暗殺作戦を遂行中、標的の中に自分の忌わしい過去を発見し、現場から逃走。そして6年…。戒律厳しいカルトジオ修道会の修道僧となり、祈りの日々を送るドルーのもとに刺客が…。僧院を脱出した元テロリストは、その日、再び血にめざめた。-映画「ランボー」の原作者が、好評『ブラック・プリンス』に続いて放つ長編冒険アクション。
イギリス植民地時代のスリランカ。コーヒー園主の娘アレックサは、射撃と乗馬が得意なお転婆娘に育っていた。男性の目を常に意識するような、しとやかなレディになどなりたくもないアレックサだが、18歳の誕生日は明日にせまっていた。誕生日には、総督邸で開かれるパーティで、社交界にデビューすることになっている。しかし、夜になって美しい月が輝きはじめると、持ち前の冒険心が顔を出し、こっそり海へと抜け出した。ニンフのように波とたわむれるアレックサだったが、つかのまの夢をやぶるようにあらわれた見知らぬ男に、生まれて初めて唇を奪われてしまった。
夫、ジョン卿の死をきっかけに、ひとりロンドンへと旅立ったアレックサ。目的はただひとつ、母と自分を捨てさった実の父、ニューベリー侯爵とその母、アデリーナへの復讐だった。だが、実の娘とも知らず誘惑の手をのべてくるニューベリー、そして権力を握るためなら手段を選ばない母アデリーナの虚飾に満ちた姿に、アレックサは、憎しみと共に深い孤独をもおぼえるようになっていった。そんなある日、かつて激しい愛をかわしたあのニコラスが、突然アレックサの前にあらわれた。
南北朝争の世に文芸の心を持して生きる兼好法師はきびしく己を律しながらも、また夢みる法師でもあった。あやしく揺れる幻の女人は延政門院一条であり、苛烈な政治家として知られる足利直義との間にも不思議に相通う心の微妙な共鳴があった。異色歴史小説。
男にとって女は美しい一匹の蛾なのかもしれない…。ふとしたはずみで、教え子の女子大生に手を出した大学助教授。それが、転落の始まりだった。-日常生活の奥にひそむ人間心理の危うさを華麗なタッチで描く、サスペンス・ロマン。
訓練中の米空母を鳥の大群が襲った。乗組員は全滅、最新鋭の見えざる戦闘爆撃機が行方不明に。シリーズの棹尾を飾るにふさわしくレモとチウンが凄絶な戦いをくりひろげる。
突然、背中に銃が突きつけられた。今のわたしには、こういうことをされる謂れはない。幸いプロともいえない男だったから、諜報部仕込みの技で叩き伏せ、ポケットを探った。出てきたのは曰くありげな手紙が一通。意味は判じかねたが、銃を持った男を送りこむ輩をこのままににしておけない!陽光きらめくイタリアに展開する哀感のハードボイルド。
その年のイギリスは最悪だった。政治や経済は破綻の一途をたどり、絶望的ムードが国全体を覆っていた。このままでは、ソヴイエトが介入してくるのも時間の問題だ。それだけは阻止しなくてはならない。先手を打つのだ。イギリスを武力制圧せよ!アメリカ合衆国大統領の命令が下った。かくして、イギリスを内乱状態に陥れるために、秘密工作部隊が潜入を開始した。だが、この謀略劇の裏にはさらに…。迫真の近未来サスペンス。
ジェフ・コクレインは10歳になる一人娘を連れ、ゴーストハンティングを職業として生計を立ててきた。怪奇現象が頻発するピットハーストの農場に招かれた彼は、調査を進めるうち、人知れず穿たれた謎の坑道を発見する。開けてはならぬ暗黒の神殿に足を踏み入れた彼らを襲う、アラクネーの恐怖ーやがて彼はダン・ブレイディと合流し、この神殿攻略に乗り出すが…。だがその頃、ジェフの娘にもアラクネーの魔手が及ぼうとしていた。
平家討伐の謀議に加わったという罪で鬼界ヶ島に流されたはずの俊寛が、姿を変えて京の都に現れた-自分を裏切り陥れた七人の人間に次々と怨念の刃を向ける“復讐のファンタジー”。