1989年12月1日発売
ジンバブエは揺れ動いていた。白人支配を脱して独立を果たしたものの、2つの部族の権力争いが激化していた。その抗争の中に巻き込まれたメローは、密猟とクーデターの首謀者である政府高官の手によって国家反逆の汚名を着せられ、故郷に再建した牧場を没収されてしまう。そして、からくも逃亡に成功した彼とサリー=アンを狙って、暗殺部隊が差し向けられてきた…。広大な原野と暗黒の洞窟に繰りひろげられる白熱の逃亡と追跡!男たちの野望と闘い、友情と愛をサスペンス溢れる筆致で描き上げる、ベストセラー作家の冒険アクション巨篇。
簡単な仕事で報酬は5000ドル。美容師のアンが恋人のトムから持ちかけられた話は最初から裏がありそうだった。トムの上司が麻薬中毒の妻を立ち直らせるため、4歳の娘の狂言誘拐を仕組んだというのだ。しかし娘を誘い出した直後に上司が何者かに殺され、警察も介入…誘拐はいつしか本物に!錯綜していく事件を緊迫感溢れるタッチで描く誘拐犯罪サスペンス。
『いさましいちびのトースター』ですっかりおなじみ、ぴかぴかボデイのトースターと愛すべき仲間たちが今度はなんと火星に行きます。火星の電気器具国家の野望をくじくため、よりパワーアップした活躍を見せてくれるトースターにご声援を。宇宙に旅立ったトースターの大冒険心のあたたまるSFメルヘン第2弾。
ソ連、イランに侵攻す!イランを支配下に置いてイラクとの共同国家を作り、ペルシャ湾を手中に収めんとする恐るべき“フェザー作戦”。ソ連軍は電撃的な攻撃により、イラン、ペルシャ湾のアメリカ軍を圧倒、作戦は成就するかに思えた。だが、その時、アメリカ側は奇跡的な反撃を開始した。反撃の砦となったのは、〈シルヴァー・タワー〉の意名を持つ〈アームストロング〉宇宙ステーション。その高性能レーダーをもってすれば、ソ連軍の動きは即座に探知でき、攻撃を封じることができるのだ。劣勢に立たされたソ連軍は、ただちに〈シルヴァー・タワー〉の破壊に乗り出すが…。中東の命運をめぐり、米ソの陸海空の大規模な現代戦と宇宙戦が始まった。『オールド・ドッグ出撃せよ』で鮮烈なデビューを飾った大型新人が放つ、待望の軍事スリラー第二弾。
野望を秘めた瞳と非情なマスク、そしてしなやかで強靭な肉体…伊達邦彦には英国諜報局破壊活動班員という別の顔があった。モンテカルロのGPレースで事故の混乱に乗じて、モナコ王子と王女が誘拐された。2人を救出せよとの女王陛下の命が下る。黒幕はギリシャの船舶王アナシス。法外な身代金でモナコ王国を破産させ、カジノもろとも乗っ取るのが狙いだ。邦彦は篭落した仏女優ミレーヌの手引きで、アナシスにルーレットの大勝負を挑み、大金を巻きあげる。凶悪な本性をむきだしにしたアナシスとの全面対決が始まった。
日本レース界を追放され単身イギリスへ渡った桜田は、癖の強いレーシングマシーン、アピオコリーナを駆り、ヨーロッパのF3、F3000シリーズを転戦。その特性を活かしたドライビングで頭角をあらわした。そして…。アピオコリーナの生みの親ウイリアム・マーチンの支援を受け、第一ドライバーとしてF1にステップアップ。独特の挙動を示すシャシーと市販のフォードエンジンを駆使し、上位に君臨するチームに挑むのだが…。肉体を極限まで追いつめた、精神を抑制した熱き疾りが、世界を魅了する。激闘のF1小説。長篇本格カーレース小説。
男の名は、無久路草平-斯界では即身仏や古噴研究家として知られるが、ミイラや非業の死をとげた被害者の声を聞くことから、全国の警察の特殊コンサルタントをひきうける、人呼んで“死に神探偵”だ。奥只貝の鳴神村で好きなミイラ仏と対面していた時、アベックのスキー客がライフルで狙撃されたうえに内臓物が取り出されて死体の側に並べてある酸鼻な殺人事件にでくわした。人の死に際に残した意識の声を追って、白髪の探偵が異界まで捜査の足をのばしてゆく…エンタティナー・田中光二の衝撃ミステリー傑作集。
文明9年、10年に及んだ応仁の大乱は終わったが、京の都は暴虐と掠奪の嵐が吹き荒れていた…。京に入る洛北の峠に、凄みをたたえた30まえの男が立った。名は堀辺牙王丸。諸国流浪の旅に出ていた拳法の達人である。牙王丸は、その峠近くで奇怪な集団に凌辱されていた京の大店の娘を助けた。大店の食客となった牙王丸は、主の中興宗雪から京に跳梁跋扈する奇怪な集団(鬼界衆)を殲滅してくれと頼まれるが、この集団を率いる黒幕の狙いは想像を絶するものだった…。大型新人が渾身の力で描く時代伝奇アクション。
内外化粧新聞記者・外池洋祐は引揚者。旧満州・シベリヤの強制労働所から命がけで脱出、日本へ舞い戻った男だ。その洋祐のもとへ警視庁の警部から「謎の男、第三房氏の正体をさぐってほしい」という依頼。第三房氏とは品川署の留置場、第三房に留置されている身許不詳の男。男の目的は密貿易か、スパイか、思想工作か?第三房に潜入した洋祐は、男の謎を解明しようとこころみた…。長篇アクション推理。
政界の黒幕として暗躍した服部宗十郎亡き後、日本各地で“ワタリの民”の大移動が始った。一方、関東一円の相互銀行では巨額の資金が流出、日本経済は大混乱をきたした。そんな中“ワタリ”の反乱分子・松田速人からの予告どおり、首相が誘拐されたのだ!?私立探偵・松永丈太郎は真相究明に乗り出すが、警視庁の公安に拉致され、ついに“荒服部の王”片瀬直人が立ち上った。痛快伝奇アクション完結篇。
「紅旗征戎吾が事に非ず」-栄耀栄華を極めた平氏は西海の藻屑と消え、鎌倉武家権力に席捲される朝廷・公家社会。巷は餓死者の屍臭に包まれ、野盗は貴顕の邸をも襲い、大地震と大火は末法の到来を教えていた。だがひたすらに現世の争乱に背を向け、和歌の架ける世界を追い続けた定家。後鳥羽院との確執、式子内親王への慕情を軸に。中世の歌世界に巨星として輝く、その八十年の生涯を描きつくす歴史大作。
1940年5月、ダンケルクの勝利に乗じて、ドイツ軍は、優勢な空軍による英国本土爆撃作戦を遂行。最前線と化した英空軍基地の全要員は、祖国の命運を担い、本土防衛作戦“バトル・オブ・ブリテン”に挺身した。いま、ドイツ軍の《鷲》作戦を迎え撃つべく、英空軍精鋭スピットファイアが飛びたつ。鬼才エルストン・トレバーが自らの青春を投影して描く、第二次世界大戦の趨勢を決めた空戦アドベンチャーの傑作。
陰謀と裏切、戦乱と飢饉、ペストと狂気-スペイン軍支配の下、あらゆる邪悪のはびこる17世紀北イタリアを舞台に、若い恋人たちの織りなすスリリングな愛の物語。卓抜な描写力と絶妙な語り口で、時代の風俗、社会、人間を生き生きとよみがえらせ、小説を読む醍醐味を満喫させてくれる大河ロマン。
西郷隆盛と大久保利通の宿命の対決ー。近代日本の行方を決定づけた西南戦争の蜂起は、しかしあまりに無造作であった。大西郷を慕い集まった私学校生徒たちや維新以来の幕僚・桐野利秋らの奮闘を、鹿児島県令・大山綱良の悲劇を軸に描く「私学校潰滅」から、その志を継いで決起する頭山満らの「波荒し玄洋社」まで、男たちのロマンを伝える雄渾な西南戦争叙事詩。あの『人生劇場』の著者の快作。
1941年、日本連合艦隊は、超自然現象によって、一夜のうちに北大西洋へと運ばれてしまった。すでにヨーロッパで展開されていた英独戦に巻き込まれた連合艦隊は、英が誇る無敵艦隊と激突…次々と命中弾を受け炎上する日本駆逐隊!ようやく英海軍の猛攻を回避し、プレストに入港した山本連合艦隊司令長官は、燃料等の補給を受ける代償として、ヒトラーからの対英共同作戦案を飲む。日独共同作戦を察知した英海軍は、独Uボートの出現に苦しみながらも、死力を尽くしての反撃に…!?ついに、ドーバー大海戦の火蓋が切られた!前作〈イギリス無敵艦隊撃破編〉に続く、大好評“ドーバー大海戦”シリーズ、書下ろし第2弾。