1989年12月発売
首都をめぐる9番目の環状道路、リングロード・ナイン。その沿道に生起する黄昏色の希望と失意をクールに描くサバービア・ストーリーズ。26人の登場人物が連鎖して、時に甘く、時に苦い物語を演じる。男と女、出会い、わかれ、そして、もういちどはじめから。時速70キロで展開するわれらの時代のドラマ。
誰かを好きだと言ってしまいたくて、誰かを嫌いだと言ってしまいたくて、でも、それがとても恐いことを招きよせてしまうような気がしてー。甘えと優しさが毀れると、その向う側には闇と憎悪がぽっかり口をあけている。サイモンとガーファンクルの名曲にのせて、80年代の《青春》の重さを描く15の物語。
17歳で子供を産み、しかもすでに夫に置き去りにされていたメリディアンが、もっと広い世界と過去と現在を意識しはじめたのは1960年4月半ばのある日のことだった。黒人運動にかかわり、世の中の矛盾に苦悩し、挫折しながらも選挙権啓蒙運動を続けたのは、曽母や母に流れる黒人民族の歴史の重さ故であった。“カラーパープル”の著者による自伝的長篇小説。
フィリピンのアメリカ空軍基地から、ベトナムの戦場へ。-熱風、手に負えぬ部下、そして奔放な女たち。極限状態のもとでの友情を、胸を震わせる文体で描く。
「ジェイク、あたし脅迫されてるの」そう言って、ラジオのスター歌手ネルは姿を消した。彼女の元恋人を訪ねてみると、出くわしたのは何と相手の射殺体。おまけに、追い討ちをかけるように当の死体が失踪し、ジェイクの困惑は頂点へ…。1930年代のラジオ界を舞台にお馴染みマローン、ジェイク、ヘレンが活躍するユーモア・ミステリ、待望の文庫化。
目的も知らされず、未開の惑星デルマク・Oに送り込まれた14人の男女。使命を告げるはずだった通信はメッセージの受信中に途切れ、やがて一人また一人とメンバーが殺されはじめた…。謎めいた建造物が聳え、物質をコピーする生物が俳徊する、この星に閉じ込められたまま、彼らは狂気に蝕まれてゆくのか。ディックがつむぐ、逃げ道なしの悪夢世界。
1931年8月24日。この日、7人の人物が上海の地を踏んだ。ギャング一味の4人は航空便、女性新聞記者とそのフィアンセは船便、そしてスパイがひとり列車で。しかもいかなる運命のいたずらか、彼らはみな同じ場所へと足を向けたのだ。そう、フラミンゴ・カフェ、上海でも指折りのナイトクラブへ。オーナーは謎めいた男ハリー・バード。これで役者はそろった。満州事変前夜の上海を舞台に繰り広げられる、いまひとつの〈カサブランカ〉。
恋愛における男のエゴイズムを冷徹に分析した「アドルフ」、自堕落な若き日の回想「赤い手帖」、スタール夫人と妻をモデルに愛の苦悩を描く「セシル」。フランス心理小説史上に不朽の名をとどめるコンスタン3部作。
共に軍神としてまつられ、理想の明治人として崇敬されてきた、陸軍大将・乃木希典と元師・東郷平八郎。しかし、伝説の影に隠れたその実像を知る人は余りにも少ない。明治を象徴する二人の軍人の対照的な生き様を通じて、人間の生き方とリーダーのあり方の本質に迫る感動の大作
平成51年の東京IC(インテリジェント・シティ)に一大事件が勃発した。人間に長寿と健康をもたらす王乳の開発に貢献した和久努太郎が、行方不明になった。東京ICの警備担当の沖、松原両巡査は、今では国際特殊観光地区として江戸時代の遊廓を復元した吉原に、足を踏み入れた時、殺人事件に遭遇してしまった。和久総裁の足取りも吉原の中にあると思われ、その捜索で再び吉原に入った両巡査の目前で、第二の殺人が起きた。そして怪人21面相からの犯行声明も舞い込んだ。和久総裁誘拐と連続殺人事件の解明に関わった若い巡査の活躍は…?
あたし高校生。大好きな藤田先生のマンションに勇気だして行ったの。そしたら赤ちゃんが空から降ってきてビックリ!赤ちゃん殺そうとしたの、誰?あたし、探偵しちゃお。
母が再婚気分で一人ルンルン。ところが新パパがつれてきたのが、なんとアイドルのトオルだなんて。でも、トオルったら、ちっともあたしのことわかってくれない。
大阪府警捜査一課の立石兵吉警部は47歳。もちろん妻子持ちである。それどころか愛人までいる。その上、若いコとのロマンスも夢みるという、ケシカラン刑事である。毎日、殺しや暴力団員を脅しあげたりしているのだから、美しい夢を見たくもなるのだろう。おまけに大のうどん好きときている。-右手に女、左手にうどん、立石警部の推理は冴える。