1989年12月発売
宇賀神邦彦、関東テレビ総務部総務課制作庶務係。人呼んで、トラブル・バスター。タレントや局の連中が撒きちらす面倒ごとを裏側から始末する、落ちこぼれのテレビ屋だ。彼の仕事はいつも、田所局長のお決まりのセリフで始まる。「宇賀神か?バカヤロー」
さらに淫らに欲望する自由を授けられたロベルトは、クロソウスキーの原作をはるかに凌ぐ背徳の世界を生きる。至高のモダン・ポルノグラフィー。ひたすらエロスの側面から人間を凝視する孤高のモダン・ポルノグラフィーの巨匠、山口椿。有数のチェリスト、画家、かつて秘かに三島由紀夫に激賞された枕絵師、緊縛師、刺青師…。あらゆる異端美学を極め、我が国モダン・ポルノグラフィーにおける孤高のアーティザンとして知られる著者の第一作品集。「罌粟のように」「薔薇と夜鴬」併録。
チャルノブイリ原子力発電所の事故から早くも3年半あまりが経過した。この世界中を震撼させた事故は、ゴルバチョフのグラスノスチのおかげで、かつてのソ連のようにニュースの隠蔽あるいは報道管制はとられず、事故とその事故処理の様相が詳しく全世界に報道された。本書はこのチェルノブイリの事故に関するドキュメンタリーを2編収録したものである。
狂暴の徒と化した男たちの剥出しの欲望と、愉悦の境地をさ迷う女たちの本能との交錯のなかで、深奥から湧き上がる呻き声は、犯罪を招く悪の囁きと変わり…。男と女が奏でる飽くことなき快楽への執着が巻起こすさまざまな事件を、叙事的に描き切る実録犯罪小説。
好事家垂涎の幻の性文献がここに甦る。血肉が踊る好色文学!。大胆な性描写を中心に好事家の官能を刺激してやまない秘本名作集。埋蔵図書会が満を持して世に贈る不世出の発禁好色文学。平成元年の掉尾を飾る大悦楽の第8弾。
ブスカーリア博士の、あたたかくユーモアあふれる文章で語られる七つの物語。新米教師として生徒たちと上演したクリスマス劇の想い出。南の島バリで島の若者たちと過した不思議なクリスマス・イブ。心臓手術後の回復を待つ病院でのクリスマス…。クリスマスは年に1回だけではないこと、家族を愛し隣人とともに生きること、平和、喜び、善意が私たちの人生を高めること、つねに希望を持って生きること-を説いた人間愛の名作。
今や、武蔵は吉岡一門の敵である。清十郎の弟・伝七郎が武蔵に叩きつけた果し状!雪の舞い、血の散る蓮華王院…。つづいて吉岡一門をあげての第二の遺恨試合。一乗寺下り松に吉岡門下の精鋭70余人がどっと一人の武蔵を襲うー。
吉岡一門との決闘を切り抜けたことは、武蔵に多大の自信とそれ以上の自省を与えた。そしてまた、大勝負の後に訪れたゆくりなき邂逅。-それはお通であり、又八であり、お杉婆であった。その人々が、今後の武蔵の運命を微妙に織りなしてゆく。山ならば三合目を過ぎ、いま武蔵の行く木曾路、遥かな剣聖を思い、お通を案じる道中は風を孕み、四合目の急坂にかかる。
大正の末年から昭和の初め、「少年倶楽部」の目ざましい躍進期に、その中心読みものとなったのが、佐藤紅緑の諸作と、「神州天馬侠」である。織田、徳川の連合軍に滅ぼされた武田勝頼の遺子・伊邦丸が、忠義の士に護られて、健気にもお家の再興をはかる。しかし、戦国群雄の圧力の前には…。当時、子供も大人も、この小説に熱狂した。今も、その底力を保ちつづける大衆児童文学の記念碑。
伊那丸を護る人々。軍師の民部を別にすれば、鉄杖の忍剣、剣の木隠、槍の巽、弓道の山県が四天王。いずれ劣らぬ一騎当千の猛者。さらに女ながらも、一管の笛で胡蝶の陣を指揮する咲郁子。これらの勇士に愛されるのが鞍馬の竹童である。果心居士の弟子、だが幻術は初手。彼と仲の悪いのが、泣き虫の蛾次郎。鼻かけト斎の弟子、ぐうたらだが、石投げは天才。2人は鷲を争い、互いの技を競う。
父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。
日本海を臨む美しい学園から、竜堂4兄弟にSOS!そこは悪の巣窟、黒い私兵の生産工場。謎の転校生として潜入した三弟・終は久々のバトルに胸躍らせるが、つかみきれぬ敵に長兄・始も苦闘。またしても4兄弟に卑劣な罠を仕掛ける巨悪どもよ、若きドラゴンたちの怒りを知れ!本当にお侍たせの第5弾特別篇。
長い遍歴をともに重ねてきた城太郎は、木曽路でぷっつり消息を絶ち、武蔵は、下総の法典ケ原で未懇の荒野を開拓しはじめた。恃むべき剣を捨て、鍬を持った武蔵!これこそ一乗寺以後の武蔵の変身である。相手は不毛の土地であり、無情の風雨であり、自然の暴威であった。-その頃、小次郎は江戸に在って小幡一門と血と血で争い、武蔵の“美しい落し物”も、江戸の巷に身を奇せていた。
わが国の新聞小説で「宮本武蔵」ほど反響を呼んだ小説はないであろう。その一回一回に、日本中が一喜一憂し、読者は武蔵とともに剣を振い、お通とともに泣いたのである。そしていまひとつ気になる存在ー小次郎の剣に磨きがかかればかかるほど、読者は焦躁する。その小次郎は、いち早く細川家に仕官するという。宿命の敵、武蔵と小次郎の対決のときは、唸りをうって刻まれてゆく。