1989年6月発売
時はフランス革命のさなか、スペイン人の父とフランス人の母をもつ貴族の娘、マリサは身を守るために、スペインの修道院に身を寄せる。断頭台に消えた母を思い静かな祈りの日を送る彼女のもとに、突如、一通の手紙が舞い込む。マドリッドの父からだ。マリサには思いもよらなかった結婚の勧めだった。自分の選ぶべき道は…。惑うマリサの耳に、あろうことか、その婚約者ペドロの下品な声が聞こえてくる。マリサにとって、運命にただ身を委ねる生き方は耐え難かった。「フランスに帰ろう」マリサはジプシーに姿を変え、修道院を逃げ出すのだった。
フランスに帰り、叔母エドマに保護され何不自由ない生活に明け暮れるマリサは、フランスの社交界でもその美しさで注目の的となった。命を助けてくれた貴公子フイリップに恋心をつのらせるマリサだったが、スペインから逃げる旅の途中で強引に体を奪った男ドミニックと再開し、無理やり結婚させられてしまう。そのドミニックも今は、マリサを独り残し航海に出かけている。孤独に追い打ちをかけるように辛い流産をしてしまうマリサは、警察長官フーシェの懇願に負け、ロンドンへと旅立つ。反ナポレオン派の情報をつかむために…。
亡き父の農園を訪ねて、ニューオリンズまできたマリサは、ドミニックと再会する。しかも、その傍には、美しい恋人までいる。仲睦まじいふたりの姿に、マリサは、しつこく言い寄るペドロの求婚を、つい受け入れてしまう。さらにマリサの心を傷つけたのは、かつて死んだと告げられていたドミニックとの子が生きているという事実だった。ドミニックは、子供に会いたいというマリサの願いを聞き入れ彼女をつれ出すと、責めたてるようにマリサを激しく抱き寄せる。フランス、イギリス、アメリカを舞台に革命の嵐に翻弄されるマリサの愛は-。
悪党どもから裏金を奪い、その首領をひそかに屠る、-それが“闇狩り軍団”だ。ある夜、闇狩り軍団行動隊長の影丸慎也は2人の部下とともに、世間を騒がせ黒い巨富を蓄えた実業家の隠し金を強奪した。そこへ、強奪金を狙う謎の黒覆面集団が出現した。この一味はその後、財界の重鎮を誘拐し、五大都市で軽機関銃を無差別に乱射するという狂気の事件を惹起した。その凶器は、ソ連製と思われた。敵は特殊部隊か…?影丸たち“処刑戦士”は、60億の身代金をせしめた犯人グループに迫った。その途端に襲いかかる外人武装団、謎のクーデターと、一連の事件には複雑なからくりが…!-これは今日の劇画か、明日の現実か?大型新人が贈る衝撃の“超活劇”の決定版。
小早川警視正は、リピーターによる政界汚職事件の鍵を握る人物で、代議士秘書の伊藤明の行方を追っていた。が、伊藤は心中死体となって発見され、捜査は暗礁に乗り上げた。一方、夏木梨香は親友の河井安里から、彼女と城ケ島でデートの約束をしたまま失踪した恋人友野主計の行方を探してほしいと依頼された。手掛かりは友野が残した、〈みすたくまか〉という謎の言葉。だが、その直後、安里は絞殺死体となって発見された。誰が、なぜ、彼女を殺したのか?小早川は、暗号マニアの友野が愛読していた北原白秋の詩〈片恋〉をヒントに〈みすたくまか〉の解読に挑むが…。政界汚職・伊藤の心中死に、友野失踪・安里絞撮事件の関連は?やがて事件は意外な展開を見せ始めた…。ミステリーの名手が贈る小早川警視正シリーズ第5弾。
7/1竹本美沙(17)大阪、7/16遠藤昌子(19)浜松、8/5佐倉真理(16)横浜…。ロックの超スターKAZUMAのコンサートに出掛けた少女たちが、次々に失踪した。真理の姉で雑誌記者の圭子は、単身捜索を開始したが、その直後、暴力団の売春組織が摘発され、美沙を含め10数人の少女が救出された。だが真理は?昌子はどこに?圭子は恋人の矢部吾郎と執拗に調査を続けるが、やがて友人の粕谷誠が何者かに殺害され、事件は意外な展開を見せ始めた…。はたして犯人は?少女たちの行方は?事件の真相は?気鋭の女流作家が魔性の世界をサスペンス豊かに描く書下ろし伝奇推理の異色傑作。
明治39年3月25日、米国の富豪ヘンリー・ジフの来日を機に中国の古美術に詳しい一人の老漢学者が失踪した。黒岩涙香の命によりシフの来日目的をさぐる「万朝報」の記者・天童晋介の前に陸軍参謀本部の影が…。シフと接触を図ろうとする功刀参謀本部少佐。そして参謀本部の裏文庫の地下に秘匿されている中国の古美術品の数々…。虹家コレクションとよばれるこの古美術品をめぐって次々におこる殺人事件。虹家コレクションとはいったい何か。その秘密とは…。中国の古美術の謎に挑む気鋭の長篇歴史ミステリー。
世界中の人々がかたずをのんで見守る中で、運動の私物化を許さない核廃絶のたたかいがあった。雪子や光彦、一人暮らしの久代たちの素朴な願いを集めて84年原水禁世界大会の準備はすすむ…。
兵器ファッション・デザイナー、ラーズは、兵器開発に鎬を削るこの時代の西側陣営の要だった。トランスにより霊感を得、兵器のスケッチを起こす。しかしこの兵器開発も、実際は全くのまやかしなのだ…だが、謎のエイリアン衛星が人類を考撃してきた時、彼は東側のデザイナー、リロと手を組み本物の究極兵器ザップ・ガンのデザインにとりかかる!
1953年3月、ジョゼフ・スターリンは脳溢血で到れた。ちょうどそのころ、デンマークの空港にポーランド国籍のミグー15が1機降りたち、亡命を求めていた。さらに、アメリカ空軍のF-84戦闘機2機がチェコ領空を侵犯し、ミグー15のミサイル攻撃を受けて撃墜されるという事件が発生、東西両陣営間の緊張はいやがうえにも高まった!そのさなか、NATOの合同軍事演習をよそに、アメリカ空軍が極秘裡に遂行した夜間侵入作戦とは…?
ミッドナイト・スラスト作戦、なんとそれはアメリカ本土爆撃演習だった。だがいったい何のために?超低空有視界飛行で大西洋を越え、アメリカ東海岸の防空網を突破すべく、アゾレス諸島の基地を飛びたつB-36 57機。この大演習の件が東側に察知されれば、東西間の緊張は限界を超えてしまうのだが…。一方、大編隊目がけて超大型台風が北上を続けていた!スターリンの死をめぐる戦慄の4日間を描いた軍事スリラー巨編。
イングランド地方の、悲劇と呪いの歴史に彩られた寒村ノーフォーク。形容しがたい力に導かれ、この地を再訪するさまざまな男女。おりしも、そこでは考古学者たちの古代ノルド人の遺跡調査が進められていた。やがて男たちの失踪を発端に、この町を惨劇が襲いはじめた。謎の力が秘められた古き護符をめぐって、ダン・ブレイディと“アラクネー”の死闘が幕を上げるー。本格アクション・ホラー、〈ナイトハンター〉シリーズ第2弾。
第一級のテロリスト、セグンダがパリに現われて不審な動きを見せているとの情報を得、スイス情報部は内偵を開始した。浮かびあがってきたのは、主要なテロ・グループを一堂に集め、統一を計らせようとするKGBの謀略。ヴェークミュラー課長は、会議の場に少数精鋭の奇襲部隊を送りこんでテロリスト撲滅に賭けたが、会議が開かれるのは灼熱の太陽輝くサハラ砂漠、しかもプロの傭兵たちによる鉄璧の警戒態勢が敷かれていた…!
オクスラン・ステーションへようこそ。ここは何かに憑かれた町。-6月のある晴れた日、デイルが営む玩具店の常連だった小学生の男の子が溺死した。小さな木彫りの人形を握りしめて。そして木彫り細工をよく店に売りに来ていた彼の父親も、謎めいた言葉を残したまま事故死する。一方、彼女のもとには子供の字の奇妙な手紙が届けられる。一連の出来事の背後に、デイルは奇怪な何かを感じ始めていた…。傑作ミステリ・ホラー第2弾。
ある時は人間、そしてある時は狠。ふたつの姿を使い分けることのできるあなたは、大勢の娘や幼子を誘拐した魔王を倒し、子供たちを取り戻すために、スミア王女とともに危険な旅に出た。魔王の居城がニムル村の上空に出現するという情報を得て、あなたたちはそちらに向かったが、その旅の途中でスミアが敵にされわれてしまった!シリーズ完結編。