1989年6月発売
伊賀流の妖術・仙術を使い、室町末期に変幻自在に活躍した怪異の武芸者・服部半三保長は、徳川家康に仕え軍略智略に功のあった服部半蔵正成の父であるという。その彼を人は“魔界の忍者”と呼んだ。足利将軍の権勢衰え、世はまさに戦国乱世へと向おうとする時、物情騒然とする京の都に忽然と現われた半三保長は、宿敵・伴玄弥斎を倒し、幕府検断職代として都の治安維持を司どり、天下を窺う三好・松永・武田・今川らの諸将を迎えることとなるのだが…。痛快無比の書下ろし時代長編。
奇妙なマスターが経営する変な名前の喫茶店で、これまた奇妙なトンプソンと名乗る超能力(?)を持つ女性と出合った高校の同級生3人組、了子と和明とエマは不可思議な世界へと誘われて…美少女エマをめぐる“かぐや姫”もどきの楽しい事件が3人を振り回わして…書下ろしファンタスチックロマン。
不倫相手の家の近くで目撃してしまった事件を警察に訴えることは出来ない。しかし…〈あの男は、間違いなく殺人者だわ〉頭の奥の記憶板に男の顔が映った。殺人現場を目撃されたと気づいた男は、口封じしようとして、この二、三日マンションの近くに出没している…日常の間隙を突いてる迫る犯罪の魔手!
撮影が終了しても釈然としない、ウィリアム役のショーン・コネリーのもとに、新聞記者を装って謎の人物が訪れる…。本当の犯人は誰か?エコ教授は間違っていないか?真犯人を求めて、ウィリアムはアトソンを伴って、映画『薔薇の名前』の痕跡を彷徨する。
スチュワーデス養成講座“青空姫”は、若さと美貌、知性と熟れた肉体をもつギャルで大盛況。その事務長を勤める好色男は職権を利用して、次々に秘密の肉体関係を結んでいく。翔んでる女たちのハードな欲求を舌舐めずりする思いで叶えながら、男は世界を股にかけ、性の快楽空間を淫らに高く飛翔する。
超一流高校の教師になっためぐみは、理事長の罠に墜ち、ベッドでのクライマックスをビデオに撮られる。それをネタに理事長に肉体を奪われた女は、教頭や教え子達にまで犯されていく-連日連夜の責めに、被虐と禁断の歓びを知り、調教された美貌の女教師は、ひたすら男を求めて、性の地獄を這いまわる!
もし頼朝が伊豆以外に配流となっていたとしたら、後の日本の歴史も変わったものになっていたに違いない。まことに奇しく伊豆、そして火の国の女・政子との出会いであった。さすがの佐殿も、政子の情熱に寄り切られたのである。ここに最大の被害者は、政子の父・北条時政であった。-一方、都に目を移せば、反平家の気運は次第に強まり、洛中洛外、不穏な兵馬の動きにあわただしい。
鹿ケ谷事件は“驕る平家”への警鐘であったが、清盛にはどれ程の自覚があったろうか。高倉天皇の中宮徳子は、玉のような御子を産み、一門をあげて余慶にひたっていた。-だが反平家運動は、今や野火の如く六波羅の屋形を包んでいた。その総師はもちろん、清盛の圧力に屈せぬ後白河法皇、関白基房などの院方。そして意外と思われる人に、76歳の老武将・源三位頼政がいた。
源三位頼政は、殱滅された源氏一族にあって、異例といえるくらい、清盛の殊遇をうけた人であった。その彼が、何ゆえ76歳の高齢もかえりみず、平家打倒に起ちあがったか。そして戦いは断橋の悲痛な叫びを残して終ったが、これを境に反平家の勢力は、燎原の火の如く各地に蹶起する。-伊豆での旗挙げに1度は失敗した頼朝も、鎌倉に本拠を定めて都を窺う。つづいて木曽の義仲、挙兵!
中国は宋朝の時代、勅使として龍虎山に派遣された洪言は、厳しく禁じられた石窟の中を掘ったため、封じられた百八の魔星はどっと地上に踊り出た。やがて、その一星一星が人間と化して、梁山泊をつくり、天下を揺さぶる。-これが中国最大の伝奇小説「水滸伝」の発端である。「新・水滸伝」は、少年時代からこの中国古典に親しんだ著者から、思うままに意訳し、奇書の世界を再現する一大絵巻。
一介の毬使いから近衛大将にまで成り上がった高〓。専権をほしいままにする彼が腐敗政治を生み、庶民の血と涙が反骨の英雄を生む。禁軍の師範だった林沖、王進、楊制使の楊志、下級官吏の魯達など、官に不満を抱く諸豪傑、今孔明の異名を持つ呉学人や宋江、武松らいずれ劣らぬ錚々たる面々は、烈々たる想いを胸に、梁山泊への道を歩んでくる。聚護庁に同志の数の灯がともる。
伊豆湯ケ島の小学校を終えた洪作は、ひとり三島の伯母の家に下宿して沼津の中学に通うことになった。洪作は幼時から軍医である父や家族と離れて育ち、どこかのんびりしたところのある自然児だったが、中学の自由な空気を知り、彼の成績はしだいに下がりはじめる。やがて洪作は、上級の不良がかった文学グループと交わるようになり、彼らの知恵や才気、放埒な行動に惹かれていくー。