1989年発売
私ー小川桃子は童話作家になるのが夢。大の仲よし、成美や奨二、喜芳たちと、17回目の夏をむかえようとしている。でも、長袖のブラウスは着たまま。1年前の交通事故の傷あとが左腕にあるからなの。その原因となったのは、姉の萌ちゃんの彼の拓哉くん。実は萌ちゃんにも言えない秘密が、私と拓哉くんの間にはあったの…。17歳の夏に、永遠を夢見た少女の、物語。
ボクは、小川モネ。かわいくも、きれいでもないけど、れっきとした女子高生。両親が離婚して、祖父母の所にやっかいになってる。ボクのいちばん好きなひとは、順三郎。彼もボクのこと、やさしく見つめ返してくれる。そして、親友の貴子が好きなのは、順三郎のイトコの綸堂。彼もお家の事情がかなり複雑なんだ。白い層雲の下のボクらのサマータイムロマンス。結果は、涙の夕立、のち快晴。
ひっこみ思案の過去を忘れ、今度こそ明るい学園生活を送るのよ!一大決心(?)とともに高校へ通いはじめた結花。クラスメートの島海緒や彩女とは気が合うし、勢いで入った軽音部も性にあっているみたい。ユーウツの種といえば、昔のいじめっ子・金太と再会したことぐらいだけど、でも不思議。金太とケンカするのさえ、楽しくなってきた気がするの…。学園恋愛ジャンクション、第1弾。
鳥取の砂丘でテレビCM撮影中の舞妓に毒が盛られ、祗園花見小路では同輩が殺された。しかも、事件は意外な方向に飛び火し、俳優の元の妻に続いて、疑惑の俳優自身も、琵琶湖畔の別荘で謎の死を遂げる。それは自らの犯行を侮いての自殺だったのか、それとも他殺か?トリックの女王山村美紗が、舞妓小菊と高名な日本画家沢木のコンビを配して描く、斬新華麗なミステリー・ロマン。
「猫の蚤とりになって暮らせ!」-藩校始まって以来の秀才、剣術の腕前も並み以上、それなのに主君の勘気に触れ、「猫の蚤とり」となって女客めあてに春を売る侍の、奇妙な運命を描く表題作。獄中で一世一代の枕絵に挑む絵師、浮気が露顕して女房に追い出された商家の婿養子、将軍家好物のかれいの煮付けの小骨を抜く侍…。愛すべき江戸の男たちをめぐる6つの物語。
しがない安月給のサラリーマン、ダグラス・クウェールは火星への憧憬を拭いさることができず、架空の記憶を売る会社を訪ねた。クウェールの記憶の分析した担当の技術者は困惑の表情を浮かべた。すでに、クウェールの記憶中枢には火星での生活が刻みこまれていたのだ。さらに、その深層に隠された記憶を探ると…偽の記憶を扱った「追憶売ります」など12編収録のオリジナル短編集。
トーニ・コンロイは166分署の婦人警官として、生まれ育ったマンハッタンの下町に赴任してきた。彼女は自分の娘と弟の生命を奪った麻薬に対して復讐戦を挑むつもりだった。だが、ひそかに当時の捜査記録を見て、2人の死が事故ではなく、殺人だったことを知る。トーニは勤務が終わると私服に着がえ、ひとり犯人を求めてジャンキーたちのたむろする街に出る…。異色の警察小説。
20世紀末のある日、ニューメキシコ砂漠の天文台が、奇妙な電波信号をキャッチした。それは厖大な素数系列で、発信源は26光年彼方のヴェガ系惑星と判明した。地球外知的生物からの電波探査機関〈アーガス〉の責任者エリーが、待ち望んだ瞬間だった。世界の専門家が協力しついに信号は映像化されたが、スクリーンに現われたのは、あまりにも意外な…。著名な天文学者の処女小説。
ヴェガ系惑星から届いた〈メッセージ〉解読のため、世界中の知識が総動員された。やがてそれはある機械の設計図であることが分った。再び全世界の協力の下で作り上げられたその〈マシーン〉に乗って、エリーたち5人の地球人代表が、ヴェガに向けて旅立つことになったー。宇宙の先進文明との接触を主題にして、最新の科学情報を基盤に、著者の卓抜な空想が展開する雄大な叙事詩。
中米の国、コスタリカ。国連食糧農業機関の職員であるイギリス人カーターは、この国の深刻な食糧危機を解決するべく派遣されたが。が、順調に進んでいた画期的な援助計画は突然妨害を受け、彼は失踪した。カーターを追って妻サマーズはジャングルに入り、陰謀の真相を知った…。世界的複合企業体の巨大な権力に翻弄される個人を描き、第三世界の現実に鋭く切り込んだ異色の冒険小説。
未亡人となった桂子さんの前に現れた、入江氏という謎の大物。実業家、編集者、作家たちがからむ秘密のプロジェクト。竹林の別荘での酒宴。ドイツの暗い森での密会。花を食べる酔美人の真紅の寝室…。桂子さんの身辺で交わされる、様々な“歓び”。ときに妖しく、ときに典雅で、めくるめくような-濃厚な小説世界。
今度の作品『人間の幸福』では、大自然の力である神は、人間の幸福を、どんなふうに考えているか、ということを書きました。人間の本当の幸福は、この現実の世界に生きながら、大自然の神の世界にいる人間のような気持ちで生きることだと教えられて、それはどういうことなのか、二人の女性が現代社会のなかでどう生きていくか、ということを書いています。
五十歳になったことをきっかけに書き始めた連作から、還暦を迎えて急逝したわずか三ケ月前に書き上げられた表題作まで、予感するように死を意識した日日の心情を私小説風に綴った短編群。「暴飲暴食」「五十歳記念」「心臓破り」「風と灯とけむりたち」「第三の男」「傷は浅いが」「引越貧乏」の七編を収録。
探偵ブルーが、ホワイトから依頼された、奇妙な、ブラックという男の見張り…。アメリカ文学に初めて現われたエレガントな前衛。カフカが書いたような探偵小説と評された、その代表作。ニューヨーク三部作の最高傑作。
刑事弁護士となったホープのもとへ、初めて殺人事件の弁護の依頼が飛び込んできた。依頼人は、妻の女流映画監督をナイフで惨殺したとして逮捕された夫のカールトンで、犯行に用いられたナイフが、血染めの彼の衣服と一緒に自宅の庭に埋められているのが発見されていた。ナイフと衣服はどちらも事件の十日前に家から盗まれたものだとカールトンは主張していたが、自宅に押し入るところや庭に何かを埋めているところを隣近所の者に目撃されており、ホープは、映画を見ていたという彼のアリバイの立証に全力を注いだ。だが、ホープにはひとつ気にかかることがあった。被害者の女流監督が秘密主義で撮影していたという映画のフィルムがどこにも見当らないのだ。その頃、ホープの知らないところでは、フィルムを求めて、さまざまな思惑を持った男たちが行動を開始していた…!新たなる展開で巨匠が放つ、殺人童話シリーズ最新作。
縦と横が50キロメートルの巨大宇宙母艦プラットフォームから射出された超弩級戦艦群が、惑星ルビンを包囲していた。《ブラック・ヒルズ》は、そこに釘づけのローダン一行を救出しようとするが、撃墜されてしまった。十数人の生きのこりとともにかろうじて脱出したドン・レッドホースは、スペース=ジェットで包囲網突破をもくろむ。だが、戦艦群の攻撃をかわしきれず、やむなくプラットフォームに不時着、何者が操縦するかもわからない巨大艦の内部に突入するが?