1990年10月1日発売
くもの巣の小道くもの巣の小道
『くもの巣の小道』は『木のぼり男爵』、『マルコ・ポーロの見えない都市』等の奇想天外な現代小説の作者として知られる、イタロ・カルヴィーノの長篇代表作である。物語の舞台となるのは、第二次大戦中のドイツ占領下のイタリアの片田舎。娼婦の姉を持つ少年ピンは、姉の許に通うドイツ兵からピストルを盗み出したのがきっかけで、パルチザン部隊の一員となる。だが彼が加わったパルチザン部隊は、他の部隊からはみ出した奇妙な、愛すべき“落ちこぼれ”たちのふきだまりであった。自分が「病気だ」と主張してはばからないニヒリストの隊長ドリット、元船コックで“過激派”の食糧係マンチー、ガンマニアで元黒シャツ隊員のペッレ等々いずれ劣らぬクセ者たちとピンは“森の生活”を共にする。そして少年ピンの目の前で裏切り、待ち伏せ、報復、戦闘とパルチザンの“日常的光景”が次々と繰り広げられて行く…。本書はカルヴィーノの文学的原点であり、著者自身のレジスタンス体験から生みだされた、リリシズムに満たちネオ・レアリズム小説の傑作である。
秘説妖雲の辻秘説妖雲の辻
関々原の役も家康方が勝利し、慶長8年ともなると、江戸市街は飛躍的な発展を逐げ変貌しようとしていたが、一方、大名家取潰しによる浪人が巷にあふれ、徳川幕府転覆を窺う不穏の動きを煽って…。家康の命を狙う魔性の女に翻弄される男たちの運命は…。波瀾の時代大長編。
2:022:02
失ったものは、たくさんある。たとえば気に入ってたサンダル。子供の時のクマのぬいぐるみ。そして、たくさんの言葉。うっとりする気分と、ときめきの混じった恋人の視線。2:02。それを見つけに、私は目覚める。