1990年11月発売
「お前の俳句は盗作だ」人気評論家・鏑木を告発した老人が、二日後ホテルで惨殺された。事件の真相を追う女性誌編集長の砥部進一郎は、疑惑の目を鏑木に向けるが、何一つ確証はでてこない。そして事件直後ロビーから消えた謎の女を追ううち第2の殺人が…。火まつりの地・鞍馬を焦がす真実の炎、驚愕の結末。
「俺は愛する妻と子を殺した男なのか?」-記憶を失った彼の過去が浮かび上がるにつれ、さまざまな断片的“事実”は、ある凄絶な犯罪を差し示す。20歳になったばかりの女との幸せな生活にしろびよる魔手。緊張と恐怖が最高潮に達したとき、彼は自分と同じ顔の男に出会う。彼を救えるのは御手洗潔ただ一人。
“空に太陽、心に喧嘩”。おもての勤めは、おもちゃのチェーン店の支店長、そして妻子も知らない裏の稼業は筋の正しいヤクザの若頭補佐。春日政次郎であり、“人斬り政”である俺に、組の壊滅をはかる謎の軍団が大猛襲!ヤクザの存廃をかけて振るう長ドスの先に、恐ろしい陰謀が。爆笑とバイオレンスの快作。
美奈-完璧な女の子だった。水着の跡さえない陽に焼けた肌。すらりとした肢体。そんな美奈に出会ったときから僕の「冒険」は始まった。美奈が誘拐され、もうひとりの美少女が殺され、奇妙な刑事が僕に迫ってくる。そして、そして僕の運命を変えた「あの人」。ゆれる青春を直視する新しい推理へのチャレンジ。
鈴鹿サーキット。ナガミチのカーブを出たところで、ミシェルのマシンがクラッシュした。スープのようにぐちゃぐちゃにつぶされたミシェルが運び去られた時、元レーサーで解説者のぼくは、友の死が仕組まれたものだと確信した。それからもぼくたちの周辺には奇怪な妨害と死がー。世界のグランプリを背景に描く、愛と勇気の恐怖の世界。
時速180マイルでコースを駆け抜ける、何百万ドルもするレーシング・マシン。そしてそれを駆って走らせる億万長者たち。そしてその背後には世界有数の企業が何十億ドルという金をうならせて控えている。そこには当然、どす黒い野望がー。死と隣り合わせのきらびやかな世界の裏面を抉る傑作推理。
作家たちが集まるパーティで釣部渓三郎は美女と知り合い、誘われるままに一夜を共にした。それ以来、謎の美女をめぐって連続殺人事件が発生。おなじみ蟹沢警部補と相馬刑事も加わって犯人を追う。釣部と恋人アキは朝日連峰に入山し、大鳥池で全裸の美女の溺死体を発見する。その美女の正体が割れたとき事件の背後のどす黒い連環が現われた。
ヴィーナスのごとき美貌と抜群の戦闘力を合わせ持つ沢村ゆりが、世界中の殺し屋たちに狙われた!陰でその指令を出す謎の男の目的は何か?単身血まみれになってその敵の本拠を襲う戦士ゆり。だが、その彼女の行手に、またもやあの魔女マダム・マヌーの巨大非情の魔手が…。佳境の戦士伝説・第3巻。
刻一刻と変貌を遂げつつある社会主義の現実の国家体制を背景に、鋭い洞察力で描かれた近未来小説。非能率的で膨大な官僚機構はそのまま、社会主義の夢すら奪われ、私利私欲と特権のまわりにうごめく血なまぐさい男たちの世界。失業した元CIAエージェントに占領軍警察が極秘に犯人捜しを依頼した理由は何か。そして恐るべき結末は?
第三次世界大戦は、結局米ソ間で戦われ、クレムリンは崩壊する。米軍と資本主義に占領され、ディズニーランドの建設が続いているモスクワの高級なホテルで、一人の男が殺されていた。それも鋸で手足をバラバラにされたー。書評誌『カーカス・レビュー』は「圧倒的魅力」と激讃、ブック・オブ・ザ・マンスクラブ選定図書にも選ばれた傑作長編。
落ちこぼれのエリート・一条寺文麿の完全無欠の恋人・尾花マリの誕生パーティが、六本木のディスコを借りきって行われた。鼻もちならないお坊ちゃまエリートの臭みに腹を立てた文麿は憤然とディスコを飛び出す。文麿に次々と襲いかかるバイオレンス野郎たち。六本木から青山墓地を疾走し、マリのために命を賭けるわれらのスーパーヒーロー。
出馬予定の県会議員選挙の前夜突如姿をくらました町長の行方は?地方の平和な田園風景の中に繰り広げられる珍妙・滑稽至極の人間模様の数々。事実に基づく題材を鋭利な認識と軽妙な文体で活写する記録文学の傑作小説集。
早瀬志津子の夫・亮介は、一流商社のエリート課長。関西の有名高校に通う一人息子の透。平凡だが幸せな家庭は、透が父親の車で人身事故を起こしたことから崩壊が始まるー。亮介は息子の身代わりとなって警察に自首するが、罪の意識を感じない透、息子のことしか考えない志津子に、亮介の心は変わってゆくー。現代社会の家族の在り方、親と子の絆を鮮烈に描く長編小説。
『ビラヴド』-忽然と現れた娘は名のった。逃亡奴隷のセスが、“愛されし者”との願いをこめて、自分が殺した娘のために彫ってもらった墓標と同じだった。壮大なスケールで描く愛と告白の物語。ピュリッツアー賞受賞作品。