1990年2月発売
八ヶ岳のふもとの町。小さな喫茶店でコーヒーを飲んでいた諒は、窓の外に登山姿の美子を見た。諒は、救助隊員、つい1週間前、八ヶ岳へ軽装で無謀な登山をして遭難しかけた彼女を救助したばかりだ。その美子がまた登山を…?いったい何を考えてるのか。あの時、意識のない中で彼女は「鈴音、待ってて…」と言ったが、何のことなのだろう。諒は急いで装備をつけて、美子の後を追った。
あたし、仙子。ドジなとこだけが先祖の久米仙人ゆずりかと思ったら、超能力まで遺伝するなんて。あたしは恋人の温海さんに触れられると空を飛んじゃうし、お兄ちゃんは人の心を読めるテレパスなの。ハンサムなのに、フラれてばっかりのお兄ちゃんだけど、最近、恋人ができたみたい…。親友の青葉とあとをつけたんだけど、行き先は荒れはてたお寺。お兄ちゃんの様子が、へんなの。
父王・プトレマイオス12世の葬儀も終わり、女王としての戴冠式を間近に控えたクレオパトラ。だが、ひそかに恋するアシラスやマルタのことを考えると、心に涙の雨が降るのだった。クレオパトラを手に入れようとするグナエウス。失脚させようとするアキラス将軍一派。さまざまな思惑が渦巻くなか、ローマへ向かったアシラスたちは、彼らの運命を大きく変えてゆく、英雄カエサルと出会った。
あたし(道子)は、高校2年生。街がクリスマス一色に染まったある日、図書館で侑と出会った。侑は2年前までつきあっていたカレ。その頃あたしと侑は、ずっといつも一緒にいるだろうって信じていたのに。高校が別になっただけで、あっさり離れちゃうなんて…。今のあたしのカレは、大学2年の龍一。侑にも由美子っていう恋人がいる。でも、その日からあたしの心から侑が離れなくなって…。
ちぎれ雲のそばをゆっくりと、しかし確実に落下してくるのは、大きな帽子をかぶり、パラシュートがわりの傘をさした…ね、猫!?空から魔法使いの猫がふってきたっ。猫の名前はテパ。異世界から、卒業試験を受けるためにやってきた。課題は、人間にひとつだけ幸福を与え領収証をもらうこと。選ばれたのは三杉カズヤ。彼がテパに頼んだのは、『裏庭の少女』へのラブ・アタックだった…。
彼は17歳。あたしよりひとつ上。そして…彼はアイドル。歌に映画に活躍している。ふとした間違い電話がきっかけではじまった恋。でも、アイドルとつきあうのって楽じゃない。いろんな邪魔が入ってくる。味方は、親友のさよこ。そのさよこと、今、あたしは新幹線に乗ってる。彼の東京ドーム・ライブを見るために…。しかし、彼の事務所には当日、会場を爆破する予告電話が入っていて…。
長い銀髪、青い瞳の美少女が、深夜に次々と美術館を襲う。いったい、その理由…は?一枚の絵をめぐるミステリー。『Seele』。光一郎の憬れの女性は四つ年上の女子大生。でも彼女には不倫相手が…。揺れ動く青春の心を描く。『プレミアム・プールの日々』。薫、恋人・鉄太郎、彼の親友・謙太ー3人で過ごす時間が薫の心に新鮮な息吹をふきこんでいく。『お子様ランチ・ロックソース』。
B・ホリディなんかブッ飛ばせ!19歳の美貌を含羞でくるんだ朝子のボーカルが古都の夜空を駆け抜ける-。大型新人の魅力満点ハード・ブギ作品。小説すばる新人賞受賞作。
父さんと2人暮らしの幹太の家に、見知らぬおばあさんがやって来た。掃除や洗濯はもちろん、おいしいご飯をつくってくれるし、いじめっ子のイノブタには熱いお灸をすえてくれるから、幹太は大歓迎。父さんが豊島園の遊園地に捨てて来ても、超能力ねこゴン太を連れてちゃんとご帰館。でも、優しくて賢いおばあさんをつけ狙う、とても悪いやつらが現れたんだ…。オリジナル文庫。
九月のある日、その男は新しいキャデラックに乗ってサンフランシスコへ向っていた。男の名はロック・ワグラム。アルメニア系の俳優だ。三十三歳になった今、ロックはどうしようもなく孤独で死んでしまいそうな気がしていた。死の怯えを振り払い、好きな女と結婚し、軍隊に入ろうと故郷へ向かっているのだ。人生と孤独と愛、そして家族の絆をハート・ウォーミングに描いた長編小説。
1959年のアメリカ。厳格な校風で鳴る東部の名門校に、新任の国語教師キーティングがやってきた。型破りなスタイルで熱っぽく詩を講じる彼に、生徒たちはとまどいながらも惹かれてゆく。クラスの有志は、キーティングが学生時代につくった秘密組織〈死せる詩人たちの会〉を復活させた。が、やがて思わぬ事件が…。自由を愛する精神と管理教育との対立を描く、感動の青春学園ドラマ。
英国秘密情報部員ダビナは、亡命したKGB大佐ササノフの尋問を任された。婚約者を美貌の妹に奪われた過去を持つダビナだが、誠実なササノフに惹かれ、二人は結ばれた。ササノフは残してきた家族の救出を条件に機密を明かすと約束する。救出作戦のためにソ連に潜入したダビナの周りに裏切者の影がー過酷な情報戦を生きる女性を描いた、新しいスパイ小説の誕生。シリーズ第1作。
ボリコウスキーはブルガリア情報機関DSの職員である。変装の名人で、演技力と語学力には自信がある。今回の任務は、米政府が開発した画期的なエネルギー源の研究成果を盗むことだったが、つい母国語で罵声をあげたのがもとで計画変更が重なり、無用の殺人を犯してしまった。彼を兄の仇とつけ狙う米情報部の男も、身近に迫っているようだ。追う者と追われる者が錯綜する緊迫の二週間。
武士道とは死ぬことと見つけたり-常住坐臥、死人となって生きる佐賀鍋島「葉隠」武士。死人ゆえに自由、死人ゆえに果敢、死人ゆえに晴れやかな主人公たちの、藩内外の、更には幕府相手の型破りの活躍。
武士道とは死ぬことと見つけたり-常住坐臥、死人となって生きる佐賀鍋島「葉隠」武士。斎藤杢之助、中野求馬、牛島万右衛門らの、死人ゆえに強烈、死人ゆえに爽やかな生きざま。藩の存亡をめぐって、老中・松平伊豆守信綱との対決が迫る…。