1990年3月1日発売
イベント屋久慈克彦は、孤高の陶芸家篠原笙山に南武デパートの秘蔵展へ出品を依頼するため飛騨高山へ向った。だが、高山のホテルのベッドで彼を待っていたのは、東京駅で別れたはずの恋人・片山慶子の変死体であった。なぜ?どうして一番早い列車に乗った克彦よりも早く?謎を追い陶芸界の内実に迫る克彦に第2、第3の事件がー。全国の小京都を舞台に展開する長篇トラベル・ミステリー傑作。
昭和60年、低迷を続ける王巨人軍に彗星のように現れた球世主2人ー投手・嘉手納宗七と代打・飯村勇司。それぞれ古琉拳と剣道の達人で、嘉手納は相手バッターを思い通りの場所に打たせ、一方、飯村は必ず狙った所へ打ち返せるという。2人の大活躍で王巨人軍にペナントの光が射しかけたある日、嘉手納は投球動作のさなか、原因不明の目まいを感じた。ハイテク野球ミステリー快作。
1588年、スペイン無敵艦隊に奇跡的大勝利を収めた英国のフランシス・ドレイク。その操舵手であったマシュー・ローはスコットランドの魔女から「あらゆる海の水が干上がるまで生きる」と宣告された。時は移り1610年、彼は北西航路を求めて極寒の海をゆくハドソン船長の船にいた…。ドレイク、モーガン、ネルソンなど七つの海の支配に命を賭けた英雄たちを描く、巨匠モンサラットの遺作。3部作の第1作。
大江戸八百八町の老若男女が浮かれ立つ花の春は、市井にかくれ潜む悪の種子も芽生える季節…半七親分や銭形平次・むっつり右門・人形佐七・御宿かわせみのるいと東吾・音無し源に夢裡庵など、ご存知捕物名人たちの推理が冴えわたります。江戸の地誌・制度から四季折々の世相・風俗・人情までをいきいきと伝える異色のミステリー大江戸風物詩の誕生。
突然三人組の男に襲われた麻生徹と恋人の未果。強姦された彼女は徹の前から姿を消し、自殺を図った。憔悴しきった彼は男たちに復讐を誓い、三人の行方を追う。だが、その矢先、弟の久志が事故を装って殺され、しかも父親までが密告による脱税容疑で逮捕されてしまう。三人組の目的は?そして男たちを操る黒幕とは!?やがて、真相を追及する徹の前に現れた意外な人物に、彼は怒りの炎を向ける…。長篇バイオレンス。
山口組4代目が竹中正久に決まると、不満分子が一和会を結成し、狙撃班を編成したのは周知のとおり。風屋健三にも拳銃が渡された。全身が慄いた。当日から竹中組長を追う。ところが、別の狙撃隊が先に組長を斃したのだ。風屋は獣のように吠え、泣き喚いた。この表題作を含めた7編で、著者はアウトローの心理と行動に肉迫する。
鹿野沢ケイは3年前、高校生のとき、ちょっとした問題を起こして、ハワイに留学した。区議選に出る父親の厄介払いであった。学費を稼ぐ彼女は、危ないバイトの最中に囮捜査で捕まった。そして、日本人対策特捜課の秘密捜査員になることを条件に釈放された…。新境地を拓く著者のハードボイルドタッチ青春ミステリー。
東京・青山にある東洋商事の別館では、様々なオカルト現象に社員たちが頭を抱えていた。一方、経理課では、苗字の最初の音がアからエまでの4人のOLがいたが、その阿妻と入間の2人が屋上から墜落死した。続いて宇田が殺され、あいうえお連続殺人の様相が…。仕組まれた罠か?ビルにまつわる超常現象か?推理ホラー傑作。
燦然と輝く黄金づくりの天冠を額につけた巴御前は、この国を一人でしろしめす院政という名の独裁政治を国民の大衆僉議による新しい国づくりに変えるべく、愛する義仲と共に都入りを果たしたが…。
ロンドンの歓楽街ソーホーの貸しスタジオで発生した大量殺人事件。被害者はカメラマンと助手とモデルの男女。男はボディービルダー、女はアルバイトの女子大生。ボディービル専門誌のグラビア撮影中の惨事だったというが、はたして真相は?犯人の動機は?貴族階級出身の異色警視ペリー・トリソワンが、ネオンの巷に姿を消した犯人を追う。-好評『拷問』に続くシリーズ第2弾。“鋭い切れ味と抜群のユーモアセンス”と英米マスコミ絶賛。
英秘密情報局局員バーナード・サムソンは陰鬱な日々を送っていた。3年前、妻フィオーナがモスクワに亡命して以降、局の同僚や友人の目は冷たい…。そして発覚した莫大な公金紛失事件。妻はこの一件にからんでいるのか?警告を無視して、サムソンは真相を探る決心をした。ワシントン、ロンドン、ベルリン…そしてカリフォルニアで…。-ベストセラー3部作『ゲーム/セット/マッチ/』に続く新3部作『フック/ライン/シンカー』第1弾。
ロッキー山脈に抱かれた町バスティッド・フラッド。カントリーミュージックのスーパースターだったエンジェルは、いまは、酒場の女主人だった。さて、店を閉めることにしよう。そう思いドアの方を見ると、そこには見慣れない男が立っていた。豊かな髪。野性的な体つき。惹かれる心を押さえ、無視しようとすると、「仕方がないな…」男はつぶやくと同時にエンジェルを肩に担ぎ上げ-。
新聞に載っている写真に、ジャズは驚いた。イーサン・ワイルディング。ボストンの名門出身の銀行家。私を泥棒とまちがえた男-。非行少年カウンセラーをしているジャズは、腹を立てていた。まったく言いがかりもはなはだしい。車のホイールキャップを盗んだ少年をさとし、それを元の場所に戻してあげただけ。それなのに、車の持ち主に泥棒と思われてしまうなんて。後日、こんな相手に再び会うことになるとは夢にも思わなかった。
オスカー伯爵の従兄弟と名乗るジャーヴィス。実は彼は、伯爵の財産や爵位をねらっているらしい。伯爵に呪いをかける秘密の儀式を偶然見かけ、ドリナの胸は締めつけられた。ジャーヴィスの策略によって愛する伯爵を見殺しにすることはできない。「愛は奇跡を起こすの」と言った亡き母の声に勇気を得て、ドリナは伯爵のもとに急いだ。
江戸の街は初午(陰暦2月の最初の午の日)でにぎわっていた。江戸市中には大小4、5千からの稲荷社があり、それが初午の日には朝からいっせいに笛太鼓ではやしたてるのだから、まるで雷鳴のとどろきの中にいるようなもので、そんな喧騒に圧倒されでもしているように街角に立っている若侍があった。まだ24、25歳で、無紋ながら黒羽二重の柔らかものを着た気品のある若侍で、名を春野草四郎といった。その春野草四郎、烏森稲荷で知り合ったよろずの茂七という町人とともに、殺人事件の渦中へとまき込まれることになった。事件の謎と、春野草四郎なる若侍の正体は…?-事件は上州館林6万石は秋元家の世継ぎをめぐる2派の暗闘に連っていた。