1990年3月発売
射手座区にある恒星ルクバトの第3惑星パーンー緑ゆたかなこの星に、いま、地球から三隻の植民船が飛来した。FSP(生命既存惑星連邦)の法にのっとりこの地に理想の植民地を建設するのが目的だ。ヨコハマ号の船長ポール・ベンデンの指揮の下、処女地パーンにふさわしい、科学技術にたよらない共同社会を築くための政策がつぎつぎと実行にうつされた。地球から冷凍輸送してきた植物や家畜もパーンの自然環境に適応し、人びとは広大な土地を自由に開拓していく。植民地として、パーンにはなにひとつ欠点がないように思われたのだが…。
スペースホームの考古学者ホワイトディンプルと、土星研究ステーション出身の天才少年バディルの活躍なよって発見された異星人の遺物。そこに書かれたメッセージの解読結果は、驚嘆すべきものだった。人類へのプレゼントとして、太陽から850億キロの距離に恒星船が置かれているというのだ。その船をつかえば、謎に包まれた異星人〈ヘキシーズ〉の母星に到達し、進歩したテクノロジーを人類のものにすることも夢ではなくなる。かくして本格的な調査が開始されたが?より壮大なスケールで気鋭が放つファン待望の『サターン・デッドヒート』続篇。
発見された〈ヘキシーズ〉の宇宙船は、全長860メートルにもおよぶ巨大なものだった。同時に見つかった大量のデータから、この船で彼らの母星に行けることが裏打ちされた。ただちに太陽系精鋭の科学者たちからなる遠征隊が組織され、人類史上かつてない旅が開始された。船長ホワイトディンプルの指揮のもと、幾多の危機を切り抜けて、ようやくヘキシー星にたどりついた地球人一行を待っていたのは、奇妙きわまる異星人たちとあらゆる想像を絶した不可解な文明の姿だった…。新星キャリンが、雄渾の筆致で描きあげた話題のハードSF巨篇登場。
ガリオンは邪神トラクを倒して、真のリヴァ王になった。これで〈予言〉は成就された、と誰もが信じて疑わなかった。ガリオンはセ・ネドラ妃の夫として、また王として国と民を治め、かたや不思議な少年エランドはベルガラスやポルガラと共にアルダー谷で幸福な日々を送っていた。そして2年の歳月を経たある日、ガリオンとエランドの頭の中で予言の声が響いた。-「ザンドラマスに気をつけよ」だが、果してザンドラマスとは何か?答を求めてガリオンは『ムリンの書』をひもとくが…。〈ベルガリアード物語〉に続く新シリーズ、遂に開幕。
東西ドイツ再統一の気運高まるボン。今そこの英国大使館から職員が1人、機密書類とともに姿を消した。彼の名はリオ・ハーティング。現地採用の臨時職員にすぎないが、消えた機密文書が公になれば英独の関係悪化は必至。事態を重く見た英国外務省は、公安部のターナーを派遣、極秘にリオの行方を追わせる。ターナーは失踪した男の経歴、背後関係を探るべく、大使館スタッフにインタビューを重ね、リオの実像に迫ってゆく。果たしてリオはソ連のスパイだったのか?巨匠が自らの体験をもとに外交社会の虚妄を描き新境地を拓いた傑作スパイ小説。
言葉巧みに真実を隠蔽しようとする官僚たちに、苛立つターナー。大使館の閉鎖的な人間関係を辿る彼は、リオが数カ月前から何事かに取りつかれていたことをつきとめる。一方、リオ失踪の噂に、西ドイツ公安局が動きはじめた。醜聞を恐れる大使館はターナーの帰国を決定。だが、真相究明への情熱断ちがたいターナーは、指示に背いて調査を続ける。やがて彼は、事件の背後にドイツ統一をめぐる権力者の卑劣な取引があることを知るが…。国益のためには手段を選ばない非情な国際政治の世界と、その中で正義を貫こうとする人間の苦闘を描く力作。
英米ではホラー・アンソロジーがブームだが、中でも〈ナイトヴィジョン〉シリーズは独自の編纂で知られる。つまり、3人の作家がそれぞれ250枚の中短篇を各巻に書き下ろすことで、一作家一短篇に限られた従来のアンソロジーにつきまとう物たりなさを解消したのである。本巻には、ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ、SF界の実力派エドワード・ブライアント、クーンツをしのぐ人気作家ロバート・R・マキャモンの3人を収録する。
第二次世界大戦が終了した1945年。ニューヨーク近郊の町ポート・フィリップの貧しいジョーダーシュ家に生まれ育った姉弟の生活にも転機が訪れていた。中年実業家ボイランとの出会いから奔放な恋愛遍歴を重ねていくグレーチェン、ハイスクールの陸上競技選手で優等生の兄ルードルフ、不敬事件をひき起こし町を追われる弟トマス。自身の価値観にのみしたがい相容れない3人は、それぞれの新たな生活へと足を踏み入れていく…。現代アメリカ文学を代表する人気作家が戦後の混乱した社会を背景に壮大な人間愛のドラマを描いた大ベストセラー長篇。
大学を卒業後、大学院への進学を断念したルードルフは、地元のデパートで要職に就いた。幅広い経営の手腕を発揮する彼は、次第に有能な青年実業家としての名声を築いていく。そして、最愛の女性クロチルドにめぐり逢えたのも束の間、乱交事件を理由に叔父の家を追われ、行き場を失ったトマスは、ボクシングの世界に自分の住む場所を見出そうとしていた。心の底にまだ消えやらぬ互いの愛憎を秘めたまま、運命の糸に操られるよように、2人が思いもよらない再会をする日がやってくる。さまざまな出会いが織りなす人間模様を綴ったショーの代表作。
3人の姉弟は、母親の死によって長い間縛られていたジョーダーシュ家の血の怨念から解き放たれた。グレーチェンは最愛の夫と死に別れ、長く望んでいた学業へ戻ることになる。一方、ルードルフは市長として政治の世界に、トマスはヨットの船長として航海へ出ることになる。3人はそれぞれの求める道を見つけていくが、たがいを理解し合えたと思った矢先、思いもよらない大きな悲劇がかれらを待ちうけていた…。都会的で洗練された短篇の名手として知られるアーウィン・ショーが、家族とは、人間の本質とは何かという問題にとりくんだ傑作長篇。
犯罪は時と場所を選ばない。が、時と場所は犯罪を選ぶ。本書はその証明である。ペルーではインカ帝国の幻の財宝をめぐって醜悪な争いが演じられ、18世紀のスコットランドでは千里眼の存在を信じる迷信深い人々が洞窟に棲む魔物におびえ、未来の火星ではサム・スペードの衣鉢をつぐ私立探偵が事件解決のためにシャーロック・ホームズのロボットを雇う…。ちょっぴりロマンチックで神秘的な、好奇心をくすぐる時と舞台をめぐる魅惑の旅。その土地ならでは、その時代ならではの16の事件を収録する。かつてない試みのユニークなアンソロジー。
スーザンがカウンセリング指導をしている少女エイプリルが姿を消した。もともと悪い噂が絶えず、売春組織に関わっていた可能性もある。母親に懇願されたスペンサーは、たった1ドルの報酬で娘を連れ戻すことを請け負い、ホークとともに背徳うずまく歓楽街に潜入した。ところが何者かが圧力をかけているらしく、関係者は固く口を閉ざし関わり合いになろうとしない。やがて、複雑な糸を手繰り寄せ、ようやくエイプリルの居所をつきとめたスペンサーの前に、狡猾な売春組織がたちはだかった。揺れ動く少女の性に鋭くメスを入れたシリーズ問題作。
インディアン保留地で、3件の殺人と警官殺害未遂事件が連続して起こった。何のつながりも見えない4つの事件を結ぶものはナヴァホ族の呪いなのか?呪術を嫌悪するリープホーン警部補と呪術師をめざすチー巡査ー対照的な生き方をする2人のインディアン警官の活躍を描き、全米の熱い注目を集めるベストセラー作家の人気シリーズ。アンソニー賞受賞作。
フォークランド紛争で重傷を負い、ビクトリア十字勲章を授与されたニック・サンドマンは、二度と自力では歩けないと宣告された。だが、彼には絶対にあきらめきれない夢があった。唯一の生きがいである愛艇〈シコラクス〉に乗り、広大な南の海へ船出するのだ。ところが、〈シコラクス〉を繋留しておいたデボンへ帰ってみると、岸壁には別の船が繋がれ、〈シコラクス〉は装備を略奪されて陸上に無残な姿をさらしていた。繋留位置を占領していたのは、テレビの人気ニュースキャスターで有名なヨットマン、トニー・バニスターだった。彼はまた、海の悲劇に遭った男としても知られていて、外洋レース中の事故で妻を失っていた。だが、バニスターの妻は父親である海運王ヤシア・カソーリは、この事故が殺人ではないかと疑っていた。海を愛し自由を愛するヨットマン、ニックが捲込まれた洋上の陰謀と、不自由な体での不屈の闘いを描く、疾風怒涛の海洋冒険サスペンス。
ワスプの弁護士ヴィンス・ハラーを介して、タフト大学当局がスペンサーに妙な依頼をしてきた。タフトは全米大学バスケットボール・リーグの有力校なのだが、最近、試合には勝っても故意に得点を減らしている、という噂が校内で流れている。その噂の出所をたどって真偽を確かめ、この一件に決着をつけてほしい、と。大学に出入りし、聞込み調査をつづけるうちにスペンサーは、最強のパワー・フォワードといわれる黒人選手ドウェインが巧妙に得点操作をしていることに気づく。輝かしい将来が約束されたスター選手なのに、なぜそんなことをするのか?もし発覚すれば、経歴に傷がつくだけではないか。背後に何かあるのか?大学内部の人間や選手たちが調査に非協力的であるにもかかわらず、スペンサーは何としても真相をつきとめたかった。八百長に巻込まれたスター選手のために一肌脱ごうと意気込む私立探偵スペンサー。完全復調なったシリーズ第16作。
新江戸市は東京湾の広大な埋立て地に建設された電脳都市だ。ハイテクノロジーを駆使した、SHOGUNと呼ばれるバイオ・スーパーコンピュータにより、都市機能の全てが統御されている。が、市の数ブロックがシステム統制不能に陥り、その区域が拡大し始めた。霊囿空間が出現したのだ。突然のコンピュータの反乱に、秘密組織TAJIHIは破極拳の遣い手・川神乱武郎を派遣する。ブロックの住民は憑きものに侵され、殺し合いを始めた。SHOGUNの目的は何なのか!?その人工頭脳に秘められた、恐るべき過去とは?
11月5日、JR東部日本の新清水トンネル内にある土合駅で、中年男性が階段から転落死した。現場にいたのは旅と鉄道の好きな植宮隆生。19日、北陸本線の筒石駅で男性が〈北陸5号〉にはねられて即死。目撃者は上田孝とカメラマンの樋口清美。12月10日、野岩鉄道の湯西川温泉で高校生の刺殺事件。何れも日曜日に起きたトンネル内での変死事故である。鉄道警察の高杉春雄警視は、この3件には繋がりがあると確信し、3人の行方を追った。一方JR北海に「今度は青函トンネルを爆破する」との脅迫状が届いて…。トンネル駅で次々におこる怪事件の恐るべき真相とは。
運命に導かれ“知る者”ヤケィと戦士マシューは、途中知り合った盗賊のヌーラ、ダールと伴に、リクラノームへ向かった。総督ガゼルが治め、栄華を極めたが、百年前忽然と消えたという伝説の都へ。しかしそこには、魔法に溢れた漆黒の水が横たわり、水辺に少年が一人暮すだけであった。この水が都?突如として津波が彼らを襲い、ダールは攫われた。ヤケィらは水に潜るのだが…。全ての感覚を狂わす魔の水。その中に広がる驚愕の世界。神・アゾース、黒い甲胄の騎士の襲撃!永遠とは?宝石とは?著者渾身の魔界都市物語。